イギリスではホームレス人口が年々増加しているが、このほど裁判所で22歳のホームレスが判事に悲しい訴えをし世間の注目を集めている。『Gazette Live』や『Mirror』などが伝えた。


自閉症を患い、7歳の頃から16年間施設で生活してきたブラッドリー・グリムズはここ半年ほどの間、ミドルズブラのタウンセンターにある店先などでホームレス生活をしていた。そんな彼はナイフを所持してうろつくなどの反社会的行為を繰り返していたことにより、4か月間の執行猶予付き判決が言い渡されていた。

しかし仕事もないブラッドリーが保護観察中にホームレス生活から抜け出せるはずもなく荒れた行為により再び逮捕となったのだが、裁判が行われる予定だったティーズサイド刑事法院に1日早く現れた。そして判事に「10月2日は自分の23歳の誕生日なので、どうか刑務所に送って欲しい。そうすれば少なくとも屋根がある場所で温かい食事を与えられるから」と懇願したのである。

9月29日、裁判所ではブラッドリーが自閉症に加え脳腫瘍を患っていることが伝えられた。
サイモン・ボーン=アートン判事は「短い刑期を与えただけだと、被告は再び路上生活に戻るだろう」と被告の将来を懸念し、判決を10月9日まで延期した。

裁判所と連絡調整をする保護観察官は「彼を救えるようベストを尽くしているが、本人がそれを受け入れるかどうかはわからない」と述べ、ブラッドリーのことをよく知るソーシャルワーカーは「これは悲しいケースではありますが、解決は容易ではありません」と話している。現在のブラッドリーは判決が下されるまで拘留されており、本人の希望通り「屋根がある場所」の拘置所で23歳の誕生日を迎えることとなった。

幼い頃から親と離れ、自閉症を抱えながらの人生に行き詰まったブラッドリーに同情する人も少なくない。ニュースを知った人からは「こういう若者こそ助けが必要」「7歳から施設で過ごしていたなんて…きっとこれまで大変な苦労をしてきたんだろうな。本当の親はどこで何をしているんだろう」「刑務所の方がいいから故意に罪を犯して、出たらまた犯罪を繰り返して…って生きてきたんだろうね」「望み通り刑務所に送ることは短期の解決にしかならないからね。
なんとかして救える方法を見つけるべきだ」といった声があがっている。

画像は『Gazette Live 2017年10月1日付「The ‘sad case’ of Bradley Grimes: ‘At least in prison he will be warm and fed on his birthday’」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)