娘を亡くした母を慰めるために、娘の代わりとなって20年間女性の服を着て母親の世話をする息子がいる。このほどその親子の動画が中国の人気SNS「微博(ウェイボー/weibo)」に投稿されると、420万回以上の再生となり多くの反響を呼んだ。
英メディア『BBC』や『The Telegraph』、『Oddity Central』が伝えている。

中国・広西チワン族自治区の桂林市在住の50代の男性(名前は明かされていない)は20年間、チャイナドレスを着て女性として暮らしている。娘を亡くして以来、母親が精神疾患にかかり、男性はなんとかして母の悲しみを癒すことができたらと娘として生きる決意をしたようだ。動画の中で男性はこのように話している。

「精神的に病むようになった母親は、私が女性の姿をするとすぐに、『娘が帰って来た』と信じたようでとても喜びました。それ以降、私は母が幸せならと女装することに決めたのです。
20年も続けているので、この格好にも慣れています。男性用の服は持っていません。母のためにしていることなので、世間がどう思おうと気にならないし笑われることも恐れてはいません。私の格好が気に入らないなら見なければいいだけです。」

髪を伸ばしサイドに大きくスリットの入ったチャイナドレスを着て生活している男性は、仕事を持たず、唯一の収入はフルートを吹くことで得るわずかなお金だと明かす。母一人子一人という貧しい生活の中で、男性を支えているのは「母親が自分(娘)と一緒にいられて幸せを感じている」という事実のみのようだ。一方で母親は「この子は私の娘よ。
もう一人の娘が亡くなって、息子が娘になってくれたの」と嬉しそうに話している。

決して容易ではなかったであろう男性の決断に心を打たれた人は多く、ネット上では「母親を喜ばせるために世間体を気にせず20年も女性の格好をするとは…なんて親孝行な息子なんだ」「彼の決意はとても男らしい」「ドレス姿が女性のように可愛い」といった称賛が相次いだ。しかし「母親は息子がどこに行ったか尋ねもしないのか」「母親が息子の人生をいいようにコントロールしているのでは」「母親のことは言い訳で単に自分が女装したいだけなんじゃないのか」といった批判も見受けられる。世間の反応はどうれあれ、親孝行の在り方は人によって異なる。笑顔で母の脚をマッサージする息子の思いやりは、母にじゅうぶん伝わっているに違いない。

なお2015年には、山西省で白血病の息子の医療費のために、女装して物乞いを続ける父親の姿が話題となった。




画像は『Pear Video 2017年7月17日公開 YouTube「Men wearing women's cloth for 20 years, to comfort his mother for the loss of daughter」』のサムネイル
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)