昨日3日、小池百合子代表率いる希望の党が、第一次公認192名を発表した。いったいどんな独自新人候補を立ててくるのかと思いきや、さっそく、そのなかにとんでもない過去をもつ人物が入っていた。



 希望の党から東京7区に出馬する予定の前熊本県議・荒木章博氏だ。荒木氏は、小池氏の元秘書で側近の荒木千陽・都民ファーストの会代表の父親なのだが、いまから約20年前に女性から「性的関係の強要」で訴えられ敗訴。裁判所から慰謝料など300万円の支払いを命じられているのだ。

 当時の新聞記事によれば、荒木氏は熊本市議時代の1993年9月ごろ、当時会長を務めていたスポーツ協会に所属する元スポーツ選手の女性と知り合い、練習後に食事に誘った。女性は当時20代前半で、荒木氏よりも約20歳も年下。女性の訴えによると、練習後に荒木氏から食事に誘われて、〈食前酒を勧められ、性的関係を強要する同氏に抵抗できなかった〉という(読売新聞97年6月25日西部夕刊)。


 また、毎日新聞99年5月28日西部朝刊には、被害女性は荒木氏に〈ホテルに連れ込まれて乱暴され〉、〈「その後も関係を強要されたが、刑事告訴すれば選手生命が絶たれる」などの理由で、94年春ごろまで断れずに関係を続け〉ざるを得なかったとの訴えが記されている。

 つまり、当時すでに結婚して千陽氏ら子どももいた荒木氏は、スポーツ協会会長という地位を利用して女性を食事に誘い、酒に酔わせたうえでホテルに連れ込み乱暴、その後も性的関係を強要し続けたというのだ。

 事実、裁判で「関係は合意の上。女性の方が(自分に)好意を抱いていた様子だった」と主張した荒木氏側に対し、熊本地裁は「選手生命を失うかもしれないという状況で関係を強要された」「(女性は)性的な被害を受け、恥ずかしくて口外できなかった」と性的関係強要の事実を認定。女性の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を指摘し、「会社を退職するなど多大な精神的苦痛を受けた」として荒木氏に慰謝料など300万円の賠償を命じたのである。

 荒木氏側は「個人的に非難されるところはない」などとして控訴したが、その後、荒木氏が〈自らの行為に遺憾の意を表し、解決金として三百万円を支払う〉という内容で和解が成立。
報道によれば、女性側は荒木氏が社会的地位を利用したことを認めたので和解案に応じたという(前出・毎日新聞)。女性が「刑事告訴すれば選手生命が絶たれる」と怯えていたことを踏まえれば、これは極めて卑劣な行為あり、刑事事件になっていてもおかしくなかったと言えるだろう。

●小池百合子も「おとうさん」と呼ぶ仲、リベラルは排除しても身内なら「性的関係強要」でも公認

 いずれにしても、荒木氏が妻子持ちでありながら、議員やスポーツ協会会長という社会的地位を使い女性に乱暴したのは、裁判の過程で認められた事実だ。とんだ"クズ野郎"と言わざるをえないが、なぜ、希望の党はこんな人物に公認を与え、東京へ送り込もうとしているのか。

 それは、前述したとおり荒木章博氏の娘が、小池代表の右腕である荒木千陽・都民ファーストの会代表だからではないかと言われている。

 そもそも、章博氏は今月2日に県議辞職願を提出し、当初は熊本2区と比例九州ブロックでの重複立候補を表明していたのだが、一転、小池代表の指示により東京へ落下傘候補として送り込まれたかたち。
東京7区は立憲民主党から出馬する長妻昭・元厚労相が強い地盤をもつため小選挙区を勝ち抜くのは難しいが、希望の党の組織力がほとんどない熊本とは違って、小池都知事のお膝元である東京ならば、小選挙区で負けても比例復活の見込みが高いということなのだろう。

 実際、章博氏自身、都知事選の応援にいち早く駆けつけ、小池氏からは「おとうさん」と呼ばれていると自ら明かしており、親密な関係にあるらしい。熊本から東京へのお国替えも小池氏直々の指示だったと言われる。ようするに露骨な"身内びいき"によってイエスマンを優遇し、党内の求心力を無理やりつくりだそうという手法が透けて見える。

 そもそも、民進党との合流をひとつとってみても、希望の党が選挙のためになりふり構わないのは自明。先日本サイトでもお伝えしたとおり、希望の党は民進合流組の公認希望者に「政策協定書」の署名を強制したのだが、そのなかには「党に資金提供をすること」などと記されていた。
ようは、政策など二の次で、カネを用意できるかどうかで公認を与えるということだ。

 そんな希望の党だから、自前で擁立する公認候補も政策能力や理念などより、いかに小池氏のシンパであるかや、カネを出せるかを重視したことは容易に想像がつく。

 他方、自民党では、2012年衆院選で大量に生み出された安倍チルドレン、いわゆる"魔の2回生"が相次いで不祥事を起こしているが、言うまでもなくこうした現象は、もともと政治家の資質に欠けた人間が時の風だけで国会議員になってしまったことの帰結である。今回の"小池チルドレン"たちも、同じようなことになるのは火を見るより明らかだ。

 さっそく性的関係強要の過去が明らかになった荒木氏だけではない。とにかく頭数をそろえようと候補をかき集めた希望の党は、まだ明るみになっていないだけで、今後もスネに傷をもつ候補者のトンデモな事実が次々浮かび上がってくるはずだ。
実際、すでに各週刊誌の記者が身体調査に走っているとも聞く。少なくとも、荒木氏と小池代表は公示の前に、性的関係強要事件と公認した理由について有権者に説明する必要がある。
(編集部)