「エロ動画をDLしたら警察に捕まる?」「もう二度とネットでエロが見られない?」。韓国ネチズンの間でこんな悲鳴が上がったのが4月中旬。
同施行令によると、韓国国内のオンラインストレージなどの業者には、今年10月末から「違法わいせつ物」のフィルタリングが義務付けられる。同時にその検索、送受信が制限され、2年間の運用管理記録の保存も必須。違反すると2年以下の懲役、または1億ウォン(約1,100万円)の罰金。また青少年に販売するスマホには、施行令改正案の実施と同時に「違法わいせつ物」をフィルタリングするアプリのインストールが義務化された。
朴槿恵大統領が2013年から政権スローガンのひとつとするのが、“非正常の正常化”。
電気通信事業法施行令の改正から1カ月を過ぎたが、今のところ大きな騒ぎにはなっていない。韓国のネットユーザが過剰反応していた面もあるが、同施行令はまだ安定運用に向けた移行期間中だ。一方でこの間、エロ規制をめぐるさまざまな問題も提起されてきた。
中でも重要なのは、違法でない成人コンテンツと違法わいせつ物の違いだ。日本と違って韓国は露出部位の制限が多い上、レイプや獣姦など、行為の内容も規制の対象。しかも、それを0~4の等級に区別する。
もうひとつ根本的な問題は、政府のエロ規制は当然ながら国内企業にしか及ばないこと。韓国は日本と異なり、国内企業がSNSはじめ各種ウェブサービスで圧倒的なシェアを占めてきた。だが政府による国内企業への締めつけが、海外企業へのユーザ流出を招いているという。その代表例が、写真や動画を共有するSNSサービスInstagram。
ユーザを奪われる国内企業からは、“逆差別”の声も漏れるエロ規制。そうかと思えば、青少年のスマホにインストール必須のフィルタリングアプリは、早くも無効化アプリが出回って制度が崩壊状態。エロ撲滅のためネットに挑戦する韓国政府だが、前途は多難だ。
(文・コリアラボ)