女性アイドルの「地獄のリプ欄」問題再燃 SNSでの性的言及は「普通にいじめ」

欅坂46の人気メンバーである長濱ねるさんのTwitterアカウントに対して、性的いやがらせと言えるリプライが大量に寄せられて批判が巻き起こった。かねてよりアイドル的な活動を行う女性芸能人に対して“ネタ”のつもりで迷惑行為を働くファンの存在が問題視されている。


「アイドルには人権ないと思ってる人多すぎ」


長濱さんは8月にTwitterアカウントを開設した。しかし、どうせ人気芸能人はファンのリプライなんてチェックしていないと踏んだのか、それともチェックしていることを期待した上でなのか、一部のファンが性的な内容のリプライを送りつけた。自慰や性交を示唆するような非常に露骨な内容のものも多く、「明らかにイジリのレベルを超えてる」「アイドルってこんなものも受け入れなきゃならないのか」「相手が人間であることに思いが及ばない人が多くなってきた」といった批判が巻き起こった。

中には、長濱さんへの性的嫌がらせに苦言を呈するツイートを投稿した女性ファンに対して、また性的嫌がらせをぶつけるTwitterユーザーも存在した。そういったTwitterユーザーは当然批判されるのだが、批判に対して「あくまでネタだ」と返しているのが印象的だ。

ハロー!プロジェクトを始め女性アイドル好きとして知られるエッセイストの犬山紙子さんは8月28日、「アイドルには人権ないと思ってる人多すぎ」とツイート。「匿名なのをいいことに女に上から説教してストレスを発散する人、芸能人に暴言を吐いてストレスを発散する人、アイドルに性的な嫌がらせをしてストレスを発散する人よく見かける みんな相手を人間扱いしていない、自分が気持ちよくなるための道具としか見てない 全部一つもしょうがないことじゃない」「何回も言うけどアイドルに性的な言葉リプライで投げかけるの、普通にいじめです。
アイドルってよってたかって嫌な事言われていい存在じゃない、人間。意見といじめは全然違う」と厳しく批判した。

問題になった「#上坂すみれ地獄のリプ欄」


過去には、写真集やカレンダーを発売するなどアイドル的な活動も行っている声優・上坂すみれさんのリプライ欄が大きく問題になった。こちらも性的嫌がらせが殺到し、「#上坂すみれ地獄のリプ欄」というハッシュタグまで出来た。むしろハッシュタグが生まれるほど話題になったからこそ、一部のTwitterユーザーがお互い“気持ち悪さ”を競い合うような事態に拍車がかかったのかもしれない。上坂さんのTwitterアカウントに対して性的なリプライを送り、ブロックされるかどうか試す行為が、「上坂すみれチャレンジ」として流行してしまった。

もともと上坂さんは2016年3月に「以前から心ないリプライを直接送る方がちらほらいらっしゃいましたが、それが看過できない数になってきてしまっていたため」としてTwitterを一度休止している。
その後、更新を再開したのだが、「上坂すみれチャレンジ」のような嫌がらせは絶えなかった。昨年7月にTwitterアカウントとInstagramアカウントが正式に閉鎖されたのは、そういった心ないリプライも影響しているのではないかとネット上でささやかれている。

アイドルがSNSをする限り仕方ない?


アイドル的な活動を行う女性芸能人が性的嫌がらせに晒されてしまう問題に対して、「アイドルなのだから仕方ない」「SNSなのだから仕方ない」といった意見もある。彼らも嫌がらせを擁護するつもりはなく、「本気で受け止めたところで疲弊するだけだ」と伝えたいのだろう。

しかし、先述した犬山さんはそういった意見に対して、「全く同意できないです」と断言。「どの学校にもいじめはあるんだから学校に行ったいじめられるのもやむないと覚悟するべきって言われているのと同じでは もちろん嫌な書き込みを全てなくすのは無理です、でも仕方ないって言ってしまったら減りません リテラシーはまだ向上する余地ありだと思っています」と主張した。


さらに犬山さんは、その後のやり取りの中で、「私が呼びかけてるのはアイドルの子にどうしろではなくて、リテラシーもうちょい高くできない?ってことです」「何もしないよりはマシという話です。こういうのダメだよねってら空気はないよりある方がいいと思いますよ」(原文ママ)ともつづっている。

確かに根絶は難しいとはいえ、「クソリプ」や「バカッター」といった言葉が生まれて大々的に問題とされたことにより、抑止された行為というのはありそうだ。たとえ本人は単なる“ネタ”のつもりでも、そのリプライは性的嫌がらせでしかなく、批判されるべき行為だということは、繰り返し伝えられていく必要のある意見だろう。

(原田イチボ@HEW)