女子高生ミスコンで誹謗中傷。子供のミスコンはアリかナシか?
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ミスコンプロジェクト「女子高生ミスコン2017‐2018」のセミファイナリスト66人に選出された秋田県代表の「さやごん」さんに関して、Twitterであまりにも酷い誹謗中傷をする投稿が相次ぎ問題となっています。

さらに「さやごん」さんはTwitterのアカウントを削除してしまう事態に発展しており、既に女子高生ミスコン公式サイトの情報からも削除されているようです。
おそらくエントリーから辞退してしまったのだと考えられます。

誹謗中傷をした人々は本当に卑劣極まりないと思います。残念ながら侮辱罪は親告罪であるため、本人が告訴しない限り有罪となる可能性はゼロですが、犯罪行為に該当することをしているという自覚をしっかりと持ち、謝罪し、反省し、二度を同じこと繰り返さないことを誓うべきです。

運営側の責任も重大だ


一方で、運営側にも大いに責任があると思います。ミスコンビジネスはそのような誹謗中傷リスクが付きまとうのは当然のこと。ですので、実施をするのであれば、誹謗中傷が起こらないよう努力をして、実際に起こってしまった際は候補者を守るためにあらゆる手段を尽くさなければなりません。それができないようであれば、事業者として失格です。


今回のケースでは運営側も一応Twitterで注意を喚起しましたが、それくらいでは誹謗中傷に対応したことにはなりません。誹謗中傷は侮辱罪に当たる可能性があることや、運営側としても損害賠償等の法的対処も辞さない覚悟を予め大々的に打ち出すべきでした。

それをせずに一人の未成年を傷つけたわけですから、責任は重いと思います。しかも、それについて謝罪と説明を掲載していません。サクッと公式サイトの情報から削除しておしまいとは、あまりに酷い対応です。

18歳未満ミスコンは禁止にするべきだ


そもそも、18歳未満を対象としたミスコンは禁止にするべきです。18歳未満という未成熟の子供ではまだしっかりと人格形成ができていない場合も多く、誹謗中傷されると後々まで引きずりコンプレックスになる確率が高いと思われます。
そのような子供たちを大人たちが外見でランク付けして“消費する”ことは、子供の人権を侵害する行為でしょう。

確かに、未成年者も対象に含んだ様々なオーディションが行われていますが、ミスコンとオーディションとは訳が違います。オーディションはあくまで専門家が芸能に関する専門性の観点から判断するものであり、マナーの悪い聴衆がなだれ込む可能性は低いです。

また、AKB48グループで行われている総選挙とも違います。もちろん容姿も評価の対象になるかもしれませんが、それ以上にキャラクターや姿勢等の中身が重視されており、投票者は総合的な評価で順位を決めるはずです。さらに、投票するのは既にAKBグループのファンですから、基本的には肯定的な言葉が並びます。
AKB総選挙も問題があるので決して全肯定はできませんが、ミスコンよりはリスクは低いと言えるでしょう。

このように、専門家が決めるオーディションやファンが決めるAKB総選挙に比べて、ミスコンはマナーの悪い素人が参加しやすいという構造にあるのです。それらの理由から、18歳未満を対象としたミスコンは禁止にするべきだと思います。


ミスコンはオワコン!?


一方で、私はミスコンそのものを無くすべきとは思っていません。確かに現状のミスコンは問題だらけです。選考過程でのセクハラもあると言われています。男社会が女性の外見を品評する文化や、女性に対するルッキズム(外見至上主義)の強化をしている側面もあるでしょう。


でも、それらはミスコン自体に内在する問題よりも、ミスコンが社会の中でどう扱われているかの問題や、どのようにしてミスコンを行うかという運営の問題だと思うのです。

たとえば、男性にもミスターコンテストがありますが、それによって男性へのルッキズムが強化されているわけでも、男性に対して必要以上に外見で評価する文化ができあがっているわけでもありません。男性の事例を見れば、ルッキズム打破とコンテストの開催は両立可能だと思うので、ミスコン自体を禁止にする必要はないと考えています。

ただし、多様性を重視するこれからの社会において、単一的な基準で人の外見を序列化することの意味自体は薄れているようには思いますが。


「美」を愛でることと「醜」を憎むことは違う


では、どうすれば負の側面を出さずにミスコンを実施することができるでしょうか? それは当然ルッキズムと戦う姿勢を強く打ち出すことが重要です。日本映画大学准教授の韓東賢氏が「『美』を愛でることと『醜』を憎むことは違う」と述べていますが、その姿勢を開催とともに大々的に宣伝するべきでしょう。


また、欧米先進国では「自立した女性こそ美しい」という考えが定着しているため、世界規模のミスコンでは選考基準でそれに即した様々なスキルが求められます。それに対して、日本ではその点が重視されません。それどころか男性に対する従属性を「良い女」として評価する傾向が根強く残っているため、自立した女性像はやや毛嫌いされる傾向にすらあります。このような選考基準はいち早く見直すべきでしょう。

今回は女子高生ミスコンにおける誹謗中傷の事件を発端に、ミスコン全体の問題について言及しました。ネット社会でヘイトが渦巻く現代社会だからこそ、これらの点をしっかり守れないミスコンの運営会社は即退場するべきだと思います。

(勝部元気)