第3週「そんなん絶対ウソ!」 第14回10月16日(火)放送より
脚本:福田 靖 
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」14話。野呂と牧善之介のコンビが楽しい
連続テレビ小説 まんぷく Part1 (NHKドラマ・ガイド) NHK出版

連続テレビ小説 まんぷく Part1

14話のあらすじ


憲兵に捕まった萬平(長谷川博己)が心配で心配で、福子(安藤サクラ)は鹿野敏子(松井玲奈)と池上ハナ(呉城久美)を伴って東大阪分遣隊に向かう。

ほぼ13話と同じ


13話と話がほぼ同じだったことに驚く。進展ほぼなし。
萬平が捕まってしまい福子は心配で夜、うなされる。

助けて助けてと苦しそうな福子を見て鈴(松坂慶子)は咲(内田有紀)が亡くなったからだと
思い込んでいる。ここはほぼ13話と同じ。

鈴が孫の見た夢の話もスルーして咲の話にすり替えてしまうところは身勝手だが、意外と憎めない。
こういうふうにほんとうは責任の重い立場なのに世間知らずのお嬢さんみたいな人いるいる。
ただ、福子の笑顔が不自然なことは気づいている。

少し進展したのは、保科(橋本マナミ)。

野呂(藤山扇治郎)と牧善之介(浜野謙太)とが「ケンカをやめて〜♪」状態。困惑していることは、
やはり13話と変わらないが、保科さんは鈴とは違い、福子の様子がおかしい(笑顔が引きつっている)ことに気づいて、野呂と牧善之介を偵察に出す。
ここが14話の肝。
野呂と牧善之介が福子を尾行するときのコンビネーションがじつに面白い。このふたり、ほんとうにいいキャラになっている。
結果、福子友人三人が雨の中で憲兵にすがっているところに出て行って、身内を亡くして・・・などと方便を使って助け出す。


福子と敏子とハナと野呂と善之介と保科が集結。
そののち、みんなで今井家に福子を送り届ける。

善之介と野呂がいつの間にか「恵さん」呼びになっていたのが可笑しい。

キャラクターの役割の違いで


それにしても、福子を取り巻く人たちのほのぼのしたトーン(従来の朝ドラぽい雰囲気)と、激しい訊問にあう萬平のトーンが別のドラマのようだ。
食事をとらずハンガーストライキを行う萬平のやつれ果てた姿(丸メガネは壊れてしまってかけてない)は、長谷川博己ファンへのサービスみたい。ここを絵に描く人多そう。

やっていないことをやったとは言うくらいなら死んだほうがいいと言うような信念の人・萬平。
それにしてもいったい誰が彼に濡れ衣を着せたのか。
そしてなぜ、こんなに極端に違うトーンのエピソードを描くのか。
こうしてこの時代を端的に表しているのではないか。
世の中はだんだん戦争の色が濃くなってきてはいるものの、ついこの間までは軍需景気で豊かだった。
みんなノーテンキに生きていたら、じつはその裏でこんな怖いことがはじまっているということを、キャラクターの役割の違いをうまく使って描いているのでは。

昨今の朝ドラ視聴者が、暗いのは嫌いと言ったり、リアリティーがなさすぎると言ったり、好みが千差万別なので、一度にあらゆるニーズを叶えようという苦肉の策ともいえるか。
いずれにしてもいわく言い難い味わいを感じる。
ただ、同じようなことを繰り返し書かず、話をもう少し進ませてほしい気はする。
(木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝ドラ「べっぴんさん」もBS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。 
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