真海「長年の夢を叶えるため」
5月3日(木)放送の木曜劇場『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系列)第3話。
モンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)が、復讐を遂行するために幸男(大倉忠義)、神楽(新井浩文)、入間(高橋克典)へ積極的に接触していく。
復讐に関わる新たな登場人物たち
3話では、真海の復讐に関わる登場人物が次々に登場した。
まず、幸男のマネージャーである江田愛梨(桜井ユキ)と真海の秘書・土屋慈(三浦誠己)は、真海の復讐をサポートする。原作でのエダとジョヴァンニ・ベルトゥッチオにあたるキャラクターだ。
そして、神楽の妻・留美(稲森いずみ)と入間の妻・瑛理奈(山口紗弥加)。真海の主催したパーティでは初対面を装っていたが、留美は入間と面識がある。真海が買った鎌倉の別荘で、2018年から22年前、入間は留美が産んだこどもを生き埋めにしていた。そして、その様子を密かに目撃していたのが、真海の秘書・土屋だった。
土屋「真海さんはすべて、すべてを知っているんですよね。だから私を秘書として雇って、この別荘を買い取って……。何を考えているんですか?」
真海「パーティを楽しむことだよ」
そのほか、幸男とすみれ(山本美月)の娘である明日花(鎌田恵怜奈)や、入間の娘・未蘭(岸井ゆきの)、そして神楽の秘書・牛山直紀(久保田悠来)が新たに登場している。
殺人という秘密を入間と共有している留美、悪気がなく愛想の良い瑛理奈。
ドドッと増えた登場人物。一人ひとりに割ける時間は短かったはずだが、それぞれの人間性や性格がはっきりとわかるような言動が印象的に差し込まれていた。
瑛理奈は、庭の花を見て骨が埋められていたことを言い当てた。また、有無を言わせぬ圧を放っている入間の態度に対し、明るく制止できる人物は瑛理奈だけだ。
気取らない素直な人に見える一方で、スポーツジムで自分を追い込むようなストイックさも持っている。その性質が、真海の復讐にとって有利な存在になるのか邪魔者になるのか。
西谷弘監督の演出の細やかさと演者の力
山本美月へのインタビューによると、監督の西谷弘の演出は細かい。自転車の乗り方やポケットに手を入れる仕草など、演者が気付かないような無意識の言動にまで及ぶ。
たとえば、パーティですみれが作ったタルトを食べるシーン。
幸男は「真海さん、妻は真海さんのためにいつもより気合い入れて作ったみたいなんで、ぜひ召し上がってください」と言う。そこまでは普通。そのあと真海から目をそらさずに、ほんの一瞬だけ挑戦的に笑う。
かつて自分が陥れた漁師の暖が真海の正体だと気付いているのか? それとも、すみれの深海へのまなざしに嫉妬心があるのか? 見逃してしまいそうな一瞬の表情がハラハラ感を増す。ともに、人を疑ったり試したりしてしまう幸男の性格がにじみ出る。
あらゆる物に対する神楽のぞんざいな態度と、他人への関心のなさ。
脱ぎっぱなしの幸男の靴を、怒りもせず自然に揃えるすみれの心根の良さ。
帰宅したすみれの荷物を必ず受け取る幸男の優しさと、すみれへの執着心。
一瞬感情的になっても、スッと姿勢を正して平常心を取り戻す入間の強い警戒心と自制心。
多くの人間が登場しても混乱が起きないどころか、つい表情や態度の裏の裏まで想像してしまうのは、無意識の仕草や習慣まで徹底的に演技に落とし込まれているから。
すみれには手を出せない真海。幸男への復讐はどうする
愛梨「こんな回りくどいことをする必要があるんですか? あの3人を直接狙った方が早い」
真海「殺すなんて簡単すぎる」
愛梨「じゃあ、どうするつもりなんですか」
真海「本当の不幸って、何だか知っているか? 壊すんだよ、大切なものを全て」
愛梨は、幸男のマネージャーでありながら、すみれの仕事のサポートや明日花の世話まで担っていた。
しかし、彼女もまた復讐心を持っている。原作に沿えば、その対象は幸男だ。
次回予告では、幸男が暴力を受けているようなシーンが映された。幸男の大切なものはすみれと明日花だろう。でも、真海は大切な2人には手を出せないはず。
第4話は、今夜10時から放送予定だ。
(むらたえりか)
【配信サイト】
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・TVer
木曜劇場『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系列)
原作:アレクサンドル・デュマ(仏)『モンテ・クリスト伯』(1841年)
脚本:黒岩勉
音楽:眞鍋昭大
主題歌:DEAN FUJIOKA 『Echo』(A-Sketch)
プロデュース:太田大、荒井俊雄
演出:西谷弘
制作・著作:フジテレビ