「ひよっこ」153話。人生は、3歩進んで2歩下がるくらいがいい

連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第26週「グッバイ、ナミダクン」第153回 9月27日(水)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出: 黒崎 博
イラスト/小西りえこ

153話はこんな話


1968年、みね子(有村架純)は、久しぶりに、奥茨城村へ帰る。と、そこには・・・。

それぞれのハッピーエンド


これまで、15分(ときには、15分×2回のときも)かけて、女たちのおしゃべりを描いてきた脚本家・岡田惠和。1週間かけて、グランドフィナーレを描こうとしているようで、毎日が、それぞれの登場人物たちの最終回みたいになってきた。
これが舞台だったら、それぞれの見せ場をもらって、拍手もらいながら花道を通って退場していくような感じだ。
時間も少し進んで、1968年。日本はますます豊かになって、登場人物たちはみな、未来に向かっている。

みね子の谷田部家への手紙形式で、皆の様子が紹介される。
呼びかけが「お父ちゃん、お母ちゃん」になったことが、モノローグではなく手紙だからとはいえ、なんとなく感慨深い。

愛子(和久井映見)がついに省吾(佐々木蔵之介)と結婚。すずふり亭(の中の住居)に住むことになる。
目と鼻の先に引っ越すだけにもかかわらず、お約束のように寂しがる愛子やみね子。

福翠楼の五郎(光石研)と安江(生田智子)夫婦が養女・茜(上杉美風)を皆にお披露目。人見知りしてしまう茜に、ヤスハル(古舘佑太郎)が、自分も養子だが、幸せになった と勇気づける。
それを養父・一郎(三宅裕司)が聞いていて嬉し泣き。

朝ドラでは、ヒロインが結婚して、子供ができて、その可愛さもドラマの魅力のひとつになるが、「ひよっこ」では、ヒロイン・みね子が未婚で、幼子が出せない。なんとか子供を出して、ほっこりさせようという気遣いか、突如、出てきた茜ちゃんが可愛さを振りまいた。
それも、単なる賑やかしでなく、“もらいっ子”という社会的背景をうっすら匂わせているようだ。

そして、奥茨城村


父(沢村一樹)に手紙で呼ばれ、みね子が久々に実家に帰ると、バスがワンマンバスに変わっていた(名前までhinoからhiyoに変わっている)。
車掌の職を失った次郎(松尾諭)は、村長選挙に打って出ていた。この展開に、SNSでは「シンゴジラ」を思い浮かべる人が多数いた。

「長崎は今日も雨だった」という歌が流行したのは69年だが、奥茨城は今日も雨だった(田植えの日も雨だった、みね子が雨女なの?)。
みね子がバスから降りたときは晴れていたが、歩いている間に雨が。
濡れた田舎の緑は、いっそう鮮やかだ。
実家の畑が、お花畑になっていて、みね子はびっくり。
父の用事とは、このことなのだろうか?

迎えに来たちよ子(宮原和)と進(高橋來)と、「365歩のマーチ」(68年)を歌うみね子。
「3歩進んで2歩下がる」の歌詞について、なんで下がるんだと、幼い進には、この歌の、ちょっとずつでいいよ、という優しいメッセージがピンと来ないようす。名前が進だけに、下がりたくないのもわかる。
何も進んでないように見える主人公も、ちょっとずつ進んでいる意味をこめての選曲だろう。
思えば、高度成長期でイケイケの日本への、ある種の警告のような歌詞でもある。

なんといっても和夫さん


みね子がヒデ(磯村勇斗)と、休みのたびに行うランチデート。
ある日、懐かしいカレーに出会ったら、乙女寮の料理人、さすらいの渡り鳥ふうに去っていった和夫(陰山泰)だった。乙女寮で美味しいカレーを出してくれていたことがなつかしい。
松下(奥田洋平)といい、彼といい、久々に会っても、わりとあっさり。乙女たち(愛子含む)がいつだってきゃーきゃー大騒ぎなのとは大違い。でもその素っ気なさは照れに違いないし、どんなに長く遠く離れていても、ふつーに、さりげなくというも素敵なことだ。
(木俣冬)
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