『わにとかげぎす』(TBS系)が、本日放送の第10話で最終回を迎えてしまう。はっきり言って、私は悲しい。

「わにとかげぎす」無神経すぎて本田翼を泣かせる有田哲平、だが2人ともはまり役で今夜最終回
原作

まず、羽田梓を演じる本田翼が「こんな彼女だったらいいな」と思わせてくれる“本田翼像”に非常に近かった。ただ美人なだけの女優には、決して抱かない感慨である。そのルックスに反し、三枚目的な要素が強い彼女だからこそ向けられる期待感だ。
羽田は、絶妙に変人。そして、美的感覚も変。有田哲平扮する富岡ゆうじを見て「超絶カッコいい!」と悶絶する審美眼の持ち主である。
こんな本田翼だったらいいな!

有田もいい。ドラマで主演を務めるのは今回が初めての彼だが、演技力は意外に悪くなく(相方の上田晋也と全然違う!)、何より「富岡ゆうじ」という役どころにハマってる。キャスティングの妙に唸らされたという感じだ。

何よりドラマに重要なのはクオリティだが、深夜ドラマという特性を活かし、原作の魅力をできる限りスポイルすることなく映像化できている。というか、原作とストーリーにそれほどの相違はない作りにもかかわらず、原作とは少し異なった新しい印象(“明るさ”とでも言おうか)を視聴者に提供していたように思う。
このドラマ、実は『逃げるは恥だが役に立つ』の泉正英監督や『カルテット』の坪井敏雄監督が演出として関わっている。
ネット上のリアクションを見ると、原作ファンからも好評を博しているようで、皆が幸せになれたドラマ版だったのではないだろうか? さすが、“ドラマのTBS”!

いちいち羽田の逆鱗に触れる富岡


第8話で、めでたく童貞を喪失した富岡。しかし、今までの交際経験がゼロなだけに、羽田への態度があまりに無神経だ。誕生日に気持ちを綴った手紙を交換するよう羽田に提案された富岡は「羽田さんの誕生日っていつでしたっけ?」と口にし、「あさってです!」と羽田を怒らせてしまう。おいおい……。

そして迎えた羽田の誕生日、彼女から渡された手紙には「生理がまったく来ません」と書かれていた。この時の富岡の対応が最悪だ。
羽田 検査して、私がもし妊娠してたら……。

富岡 妊娠してたら……結婚しましょう。
羽田 ……そんな事できるんですか!? 結婚して、一緒に子どもを育てていける覚悟が富岡さんにはあるんですか!?
富岡 いや、あるも何も、そうなっちゃったらそうした方が……。
羽田 「そうなった以上はそうした方が」って……、ひどい事言うんですね。なんか、すごい悲しくなってきた。
富岡 羽田さん、すみません。言い方が悪かったですね……!
羽田 (ベッドに顔を埋めて泣く)
富岡 羽田さん、基本的にはいい事なんですからね。

羽田 (顔をガバッと上げて)帰ります! だって、富岡さん、なんか他人事なんだもん……。

後日、羽田に生理が訪れ、彼女の妊娠は勘違いであったことが発覚した。しかし、実は富岡は自分が父親になることを内心では期待しており、ワクワクの数日間を送っていた。羽田から妊娠していなかったことを告げられた富岡は「それはそれとして、僕と結婚してくれませんか」と、唐突に口にしている。
それにしてもだ。ドラマ版ではバンドTシャツを愛用する富岡だが、結婚を切り出した際に着用していたのは、『地獄のハイウェイ』(AC/DC)のアルバムジャケットがプリントされたものである。
ゲンが悪いよ!

エンディングを目前にピンチが連続発生


あと一話でエンディングだというのに、このドラマはまだ忙しない。

富岡が夜警をする運動公園に、車泥棒に励む窃盗グループが入り浸るようになる。なんと彼ら、パチンコ店オーナーでありヤクザの東金直弥の自動車を窃盗してしまうのだが、そのトランクには訳ありの外国人女性が詰められていた。
この女性を引き渡さないと東金にどんな仕打ちをされるかわからない窃盗グループは、運動公園の事務所に保護していた彼女を連れ戻しに来る。しかし、富岡は女性の逃走を手助けし、窃盗グループを激怒させる。職場が相手にバレているにもかかわらず、良識と優しさを取った格好だ。


一方、羽田の方はかつて盗撮されていた“トイレ動画”“お風呂動画”を材料に、元カレからお金を要求されていた。借金取りから「沈めちゃうぞ」と迫られている羽田の元カレは、背に腹は代えられない状況。なんと、羽田の自宅にまで現れ「絶対、逃さないからな」という捨てゼリフを残している。

せっかく結婚を意識し始めた2人だというのに、なぜこんなピンチが訪れるのか……。

この“不穏”は、どのように転がっていくのだろう? 「2人で結婚を夢見ましょうよ!」と羽田に勇気づけられた富岡になったつもりで、最終回を待ちたい。
夢が待っていてほしい第10話は、本日深夜から放送です!
(寺西ジャジューカ)