大人気女の子向けアニメ「プリキュア」シリーズの9作目、「スマイルプリキュア!」
「スマイルプリキュア!」では、スマイルパクトというコンパクト型のアイテムでプリキュアに変身する。

一ヶ月前の6月4日。ネットを見ていたら、びっくりするような情報が飛び込んできた。

「スマイルパクト シャイニーフェイスパウダー」
「『スマイルパクト』が大人向け・本格化粧品になって新登場!」
「バンダイとコーセーが共同企画した、持ってもかわいい! 使ってもかわいい! ママのための変身コンパクトです」
な、なにぃ?!?
化粧品? バンダイとコーセーが? ママのために!?
これはすぐバンダイまで話を聞きにいかねばーー!

「いままでだと、親子で一緒に着ることができるパジャマという商品もありましたね。母親単体の商品としてははじめてだと思います」(バンダイ ガールズトイ事業部 プリキュアチーム・古屋菜奈さん)

じゃあ、なぜ今回母親向け商品が出たのだろう。

「『プリキュア』シリーズのメインターゲット層は、3〜6歳の女の子です。このくらいの子たちは、お母さんといっしょにテレビを観ている。
お母さんの年齢は、だいたい30歳代が多い。小さいころ、魔女っ子などのアニメのヒロインにあこがれていた世代でもありますね。そのあこがれを『プリキュア』に投影して観ていたりして、ここ数年はお母さんもファンになっていただいているなと感じています」

おれも、子どもに付き合って観ているうちにだんだんハマっていってしまった親の知り合いが何人かいる。『大東京トイボックス』でお馴染み、漫画家のうめさん(エキレビ!ライターでもある)もそうだ。

「お母さんたちに、もっと『プリキュア』を楽しんで、お子様と一緒にその世界観を好きになってほしいと思いました。お母さん向けということは、ごっこ遊びではなく、本当に使える実用的なものでないといけません。
現在放映中の『スマイルプリキュア!』では、変身アイテムはコンパクトという形なので、これなら『プリキュア』へのあこがれを盛り込んだ商品ができるのではないかと思いました」
と、「Yes!プリキュア5」から6年、ずっと「プリキュア」玩具の開発に関わってきた古屋さんは続ける。

実際に商品を見せてもらった。……けど、開け方がわからなくて戸惑ってしまった。今回、母親向けのプリキュア商品が出る! ということでびっくりして取材を入れたけど、おれ、化粧品ってわからないじゃん! ファンデーションとフェイスパウダーの違いもよくわかっていなかった。ファンデーションは肌色のベースとして塗り、フェイスパウダーは最後の仕上げに使うものかー。

大きさはスマイルパクトの半分くらい。
いやもう少し小さめ?
「玩具そのままの大きさだとポーチに入らないんです。いきなりあの大きさのものを取り出して化粧直しをはじめたらびっくりしますよね」
……たしかになあ。大きさの問題ってあまり気にしたことなかった。気になってたんですけど、色も違いますよね。違うというか一色。
「本当はスマイルパクトと同じカラフルな色分けにしたかった。
でも、化粧品のケースは色の商品の塗り分けが難しいという制約があり、玩具と同じようにはできなかったんです」
ああ、だからピンクメッキに。
「私たちもはじめて知りました。その分色味にはこだわり、大人の女性が持ち歩ける魅力を残しつつ、プリキュアのかわいらしさやキラキラ感を出しました」
すごく綺麗な色で、大人の女性のイメージです。お母さんの化粧台においてあっても違和感なさそう。言われて気づいたんですけど、化粧品ってもっとツルンとしたイメージがあるけど、デザインはスマイルパクトそのもの。比べてみたらよくわかるけど、ディテールがすごい細かい。
小さく書いてある「PRECURE」ってロゴまでいっしょだ。
「そうでしょう? コーセーさんもびっくりしていました。(フタの先を指さして)ここにスワロフスキーを入れちゃいましょうというのはコーセーさんのアイデアなんですよ。私たちからは出ない発想でしたね。いいコラボレーションになりました」

シャイニーフェイスパウダーは、「スマイルプリキュア!」の変身アイテムがコンパクト型と決まってから、バンダイから出された企画だそうだ。
女性が安心して使えるものにしよう、中身にもこだわろうということで、コーセーと組んだ。

「6月14日から17日にかけて行われた「東京おもちゃショー2012」では、お母さんたちが『コーセーなんだー!』とチラシを見て驚いていました」
大変いい感触でしたね。とは、webを中心に宣伝企画を担当するの岡田千明さん(バンダイ ガールズトイ事業部 事業推進チーム)。商品にはもちろん、今回のために配合したオリジナルパウダーが使われている。

「正直、思っていた以上の反響をいただきました。6月14日から予約を開始して、目標としていた数字を大きく上回りました。『プリキュア』シリーズは『スマイルプリキュア!』で9年目。初代「ふたりはプリキュア」を観ていた子はもう中高生になります。この積み重ねがあったから、はじめて母親向けを出せたということもあります」

今回好評だったということは、もしかして次の展開も? ええと、マスカラとか、ルージュとか……。

「うーん。闇雲に、かわいいから、人気があるからというだけの理由でラインナップを追加する、それはできないことではありません。でも、そこに魂がありますか? お母さんが『プリキュアに変身する』というあこがれを商品に投影できるかどうか。これが非常に大事なポイントです、お母さんだって女の子なんです」(古屋さん)

シャイニーフェイスパウダーが発表された6月4日、ネットでの反響はすごく、特に印象的だったのが「セーラームーン」「おジャ魔女どれみ」の佐藤順一監督や、「スイートプリキュア♪」の境宗久監督がツイッターで感想を言い合っていたことだ。「シャイニーフェイスパウダー」関連ワードは、ツイッターで話題のキーワードをまとめた「トレンド」にも入っていた。

佐藤監督と境監督が話し合っていたように、アニメと連動した子ども用コスメは企画としては何度も出ているけど、安全基準が厳しいなどの条件から、なかなか実現できていないそうなのだ。

「バンダイとしても、子ども向けのプリキュア商品のラインナップを考えたときに、安全基準などの条件からも、ファンデーションのような化粧品はマストではない、なのでシャイニーフェイスパウダーは子どもには提供していません」(岡田さん)

シャイニーフェイスパウダーと玩具のスマイルパクト、お母さん向けと子ども向けを明確に区別しているのだ。それは徹底していて、玩具売り場に商品が並ぶことはなく、提供しているのは通販サイトもしくは、化粧品売り場など、子どもの手に届かないところだけなのだ。

プリキュアファンに耳寄りな情報も聞いた。
スマイルパクトはふつうのコンパクトと同じくフタの内側に鏡が付いているじゃない?
鏡はコスト的にもかなり厳しく、入れるかどうかでかなり迷っていたそう。最初は「シャイニーフェイスパウダー」と蓋のような、キラキラのメッキ仕様で、鏡はついていなかったんだって!
本物の鏡を入れるのってけっこうコストがかかるんだね。そういえば、銀紙を張り合わせただけじゃないの? って玩具を駄菓子屋で買った記憶がある。

「鏡がないとコンパクトじゃない!」
決め手となったのは、「スマイルプリキュア!」プロデューサー、梅澤淳稔のひとこと(エキレビ!にもインタビューで何度も登場している)。
「コンパクトでお化粧するときは、必ず鏡を見るはず」とコンパクト論を語っていたそう。バンダイ開発女性陣はみなこう思っているそうだ。
「一番女子力が高いのは梅澤さん!」


「スマイルパクトには、やはり本物の鏡をつけたい!」バンダイの開発担当の熱い思いも重なって、最終的にはきちんと鏡をつけることができたそう。
光ったパフを顔に当てた時、頬に光が反射するのをコンパクトの鏡で見れるようになっていて……女ゴコロをくすぐる商品になっていますよね。

エキレビ!から、親子セット(スマイルパクト シャイニーフェイスパウダー+カラフル変身!スマイルパクト)を3名様にプレゼント!

(加藤レイズナ)

バンダイ公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」