高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

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NHKを含めたテレビ各局が夕方に放送するニュース番組(それが情報番組かワイドショーかはさておき)、筆者には、見ていて「うるさい」と感じることがある。

この「うるさい」とは、番組に流れてくる音楽のことである。
もちろん、いわゆるニュースにはこの「うるさい」はついてはいない。「うるさい」がついているのは「特集」などと名付けられている、グルメ情報、旅情報、世の中の問題に焦点を当てた調査報道などを含む、ソフトドキュメンタリーであることが多い。

こういったコンテンツにつけられるBGM音楽が「うるさい」と感じられるのだ。

【参考】<ワイドショーはなぜ「しつこい」のか>「金と女と事件と他人の不幸と強欲」は視聴率がとれる?

特にうるさいと思う音楽はVTRを見る視聴者の感情を先にリードしようとする音楽の類だろう。「さあ、悲しがってもらいますよ」とか「感動してくださいね」などと言わんがばかりに、情報より先に流れはじめる音楽たちである。

もちろん、見る者の感情が先にあって、その感情に寄り添うようにスネークインしてくる音楽は気持ちが良い・・・はず、だった。
しかし、それも最近は「うるさい」と感じることがある。「私の感情は、私の勝手にさせてください」と思ってしまう。

ニュース番組のようなものに付けられた感情に先行してくる音楽を「うるさい」と感じている人は少なくないのではないか。多くの番組でやっているから、自分たちの番組でも・・・という程度の理由であれば、その「うるさい」音楽が、番組のクオリティ向上につながっているとも思えない。そもそも必要性も低い。

ためしに「ニュース番組の音楽やめてみる」という勇気のある局はないのだろうか。
少なくても団塊の世代以上であれば、視聴率はあがるような気がしている。ついでに言えば、スタジオ部分で薄く敷かれているBGMもあれば、それもやめてみてはどうだろうか。

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