the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

■the GazettE/【LIVE IN SUMMER 17「BURST INTO A BLAZE 3」】ライブレポート
2017.08.19(SAT) at 富士急ハイランド・コニファーフォレスト
(※画像13点)

今年結成15周年のアニバーサリーイヤーを迎え、精力的に活動を続けるthe GazettE。3月に『十五周年記念公演』の名に相応しいライブを国立代々木競技場第一体育館で敢行、この夏は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』にも参戦した。
そして、その熱も冷めやらぬ8月19日、9年ぶりとなる単独野外ライブ『BURST INTO A BLAZE 3』を富士急ハイランド特設ステージで開催。そこで、彼らは比類なき存在感と確かな奇跡を浮き彫りにした。

まだ青空が覗く空の下、ステージに現れたメンバーを1万人が熱烈歓迎。ステージ中央に堂々と構える戒のツーバスドラムを4人が囲むようにしてライブはスタートした。2006年のアルバム『NIL』に収められた「Nausea&Shudder」で狂宴の火蓋は切って落とされたのだが、このアルバムを機に、バンドのロゴをthe GazettEに変更した。今の彼らにつながる楽曲で始まったことにも、きっと彼らなりのメッセージを込められていたに違いない。

the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

「盛り上がって行こうぜ!」と叫び「INSIDE BEAST」へ。オーディエンスに少しでも近づこうと、RUKIはメインステージからせり出した花道へ、葵や麗はそれぞれがステージの左右端まで走り出した。イントロで歓喜の声が挙がった「Filth in the beauty」では、ファンはその喜びを髪を一心不乱に振り乱して表現。会場の一体感もぐっと高まった。

「お前ら、久しぶりだな。めちゃくちゃ会いたかったぜ! 今日、雨降ると思ってたヤツ」と最初のMCでRUKIが問いかけると、ほとんどが挙手。
それもそのはず、8月は関東を中心に記録的な長雨となっていたからだ。

「俺らもそう思ってた(笑)。昨日(リハーサルを)やった時もめちゃめちゃ降ってたから、終わったなって。でも俺らとお前らの願いが通じた。今夜、最高の夜になるぜ。気合入れてかかってこい!」
the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

RUKIの熱のこもったMCとともに「ATTITUDE」へ。
ファストでヘヴィ、コア、それでいてキャッチーなフレーズも織り込まれた中毒性の高い楽曲で、頭を目一杯回して6GUNSは応えた。ダークな低音ヴォイスで始まった「GABRIEL ON THE GALLOWS」、「富士急、さあ一つになろうぜ」とRUKIが誘う「VORTEX」とますますヒートアップ。社会への葛藤を描いた「VORTEX」は、だからこそ俺たちは一つになるんだと歌いかけているように思えた。

熱量が高まりすぎるのを抑えるように、「GENTLE LIE」から「REGRET」「FADELESS」とメロウなナンバーが続いた。エモーショナルでパワフル、重量感のある楽曲の印象も強いthe GazettEだが、心地よいリズムギターやタイム感のあるドラム、歌うようなメロディックなベースなど、スロー~ミディアムチューンでは普段とまた違う彼らのプレイアビリティの高さを垣間見せてくれる。さらに、歌の世界を生きるように全身で情感たっぷりに表現するRUKIの歌声もまた当然ながら、the GazettEには欠かせない宝だ。


オーディエンスの手拍子に導かれるようにして始まった「赤いワンピース」から、怒涛の後半戦へ。REITAはステージを縦横無尽に走り、葵と麗はステージ中央で近距離に向かい合いギターを響かせあっていた。
the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

戒の怒涛の連打に引っ張られるようになだれ込んだ「Psychedelic Heroine」は、「もっと楽しもうぜ」「踊ろう」とRUKIが客席へ熱心に呼びかけ続けた。花道に躍り出た際は、サウンドシステムに足をかけ、腰をくねらせ悩ましく誘う場面も。それを見たファンから悲鳴にも似た歓声が上がっていた。

一方、性急でエモーショナルな「SLUDGY CULT」では、「後ろのヤツら、前のヤツらも!」「もっと一つになれ」と鼓舞するRUKI。
「ARE YOU READY?」と呼びかけて、1万人が息を揃えてジャンプする様は圧巻だった。

バンドメンバーはきっと内心天候をかなり心配していたのだろう。2度目のMCで「まだ雨が降ってないな。天は味方してくれてる。初めてじゃない? 晴れてるの」と本音をポロリ。9年前に降られた思い出が頭をよぎるのかもしれない。


「ガンガン気合い飛ばせよ! 声、ちっちゃくないか?」「今日はホールとかアリーナじゃないから、声が飛ばされちゃうんですよ。めちゃめちゃ腹から声出さないとね」とS的に煽ると、必死に声をあげるファンたち。それを聞いて「そうです。その通りです」とご満悦のRUKI。こんな微笑ましいやりとりもまた、ライブならではの楽しみだ。「今日はお前らの声を聞きに来たと言っても過言ではない。明日のことは考えず、まだまだ行こうぜ!」と絶叫。「IN THE MIDDLE OF CHAOS」からは一気にクライマックスへと突っ走っていった。
the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

「VERMIN」では、ステージ上でRUKIと葵が顔を見合わせアイコンタクトを取り合ってにっこり笑いあう場面も見られた。そんな些細な出来事からも、バンドの歴史と絆の深さが滲んでくる。「やっちまえ、おらー!!!」とRUKIの呼びかける声もさらに熱を帯びてきた。麗のテクニカルな速弾きと、RUKIのデス声と伸びやかなヴォーカルの鮮やかな切り替えも鮮烈な「UGLY」に続き、エモでヘヴィな「HEADACHE MAN」ではステージにしゃがみ込み熱唱するひとコマも。かと思えば、間奏では「頭!」を連呼し、オーディエンスをトランス状態へと導いていった。

「いよいよお前らの見せどころだ! この会場をお前らで地獄に変えてくれ。見たことのないイカれた景色を! 土下座ーー!」と叫ぶと、ラストの「関東土下座連合」でオーディエンスは一斉に硬い地面に突っ伏し、狂ったかのように髪を振り乱して土下座を始めた。

狂騒的な世界観の中、葵のテクニカルなソロがクールに轟く。一方で、花道ではRUKIが口から水しぶきを吐き出すという、なんともカオティックな風景もまた、the GazettEらしさかもしれない。展開が激しく、なおかつドラマチックで耽美的な楽曲を熟知したファンは、フレーズごとにそれに反応。拳を突き上げたり頭を回したり、時には髪を振り乱し、絶叫した。その光景は5人と1万人で創り上げる、刹那な芸術なのかもしれない。

鳴り止まぬアンコールの声に呼び戻され、5人は再登壇。RUKI以外はTシャツに着替えてラフな装いに。葵と麗のアコースティックギターが哀愁たっぷりに響く「LAST HEAVEN」でRUKIが艶やかな歌声を聴かせる頃、ようやく空は闇に包まれた。

 冒頭のリフレインに歓声が上がった「ガンジスに紅い薔薇」は、今から10年前のアルバム『STACKED RUBBISH』に収められている。開放的な空間で聴くからか、いつも以上にREITAの太くパワフルなベースラインが耳に心地よく感じられた。
the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

「楽しんでますか 俺らもめっちゃ楽しいよ。あまりにも気持ち良くて今日は帰りたくないな……」としんみり話したかと思えば、「できるだけ長くこの楽しい時間を胸に焼き付けたい。ついてきてください。まだまだ一つになってないんじゃないか!?」と、再び気合を注入。「限界までやっちまえ!」の言葉が号砲となり、「BLEMISH」でテンションが再び急上昇。結局、「Ruder」「LINDA ~candydive Pinky heaven~」と5曲もアンコールに応えた。「全員、最高だった。愛してます! ありがとう」と心からの謝意を伝え、ステージを去った5人。

主役がいない会場に、Guns N' Rosesの「Knocin' on heaven's the door」(オリジナルはボブ・ディラン)が流れ続けていた。それでも観客はその場を立ち去ろうとはしなかった……。そんな時だった、なんと5人がダブルアンコールに応えて三度、ステージに姿を見せたのだ。

「今日で『BURST INTO BLAZE』も3回目。9年前には『LEECH』を初披露し、今日まで5人でいろんなものを作り上げてきました。つらい時もこのメンバーだからやってこられたし、9年前よりも成長してここに立つことができました。ここに来てくれた人もいろんな(つらい)ことを乗り越えてきてくれたと思う。感謝の気持ちでいっぱいです」

RUKIがバンドを代表してコメントすると、温かな空気とともに惜しみない拍手が送られた。

「これ(感謝の気持ち)を音楽で返したい。さらに進化してまたここに帰ってきたい。15周年の節目に、みんなと夏らしいでかい祭りをできたこと、幸せに思います。マジで、ありがとうね。秋もその先も楽しいことを届けていくと約束する。だから、迷わずついてこいよ!!!」
the GazettE 結成15周年を記念した9年ぶりの野外ライブで魅せた、刹那な美学/レポート

RUKIが叫ぶと、ステージ上段から花火が打ち上がった。と、同時に「ここにいるヤツらに贈ります」と告げ、「TOMORROW NEVER DIES」を熱唱。ここで感じた熱い思いを忘れないで、明日は必ず来るからと、楽曲に乗せてメッセージを送った5人。歌いながら、何度も心臓のあたりを拳で叩き、お前らと一緒だとポーズで示したRUKIの姿が目に焼き付いた。

全てを終えた5人の晴れやかで清々しい表情からも、いかにその日が納得いくライブだったかがわかる。花道に5人が並び、肩を組む姿に胸を熱くしたファンも多かったことだろう。

最後の最後、でっかい打ち上げ花火で夏の夜空を彩ったthe GazettEはステージを立ち去った後に、さらにサプライズを用意していた。昨年に続き10月に2度目となるハロウィンライブを東京、大阪で開催。各地2DAYS行われ、初日は「ABYSS」、翌日「LUCY」と全く違った世界観を魅せるという。また、来春にはアルバムのリリースも予定している。15周年を経てもまだまだ、いや、ますますthe GazettEは全速力で、己たちの道を極めていく。その決意を表明した夜だった。
(取材・文/橘川有子)

≪セットリスト≫
1. Nausea&Shudder
2. INSIDE BEAST
3. Filth in the beauty
4. ATTITUDE
5. GABRIEL ON THE GALLOWS
6. VORTEX
7. GENTLE LIE
8. REGRET
9. FADELESS
10. 赤いワンピース
11. Psychedelic Heroine
12. SLUDGY CULT
13. IN THE MIDDLE OF CHAOS
14. VERMIN
15. UGLY
16. HEADACHE MAN
17. 関東土下座組合
<ENCORE 1>
1. LAST HEAVEN
2. ガンジスに紅い薔薇
3. BLEMISH
4. Ruder
5. LINDA ~candydive Pinky heaven~
<ENCORE 2>
1. TOMORROW NEVER DIES

≪ライブ情報≫
【HALLOWEEN NIGHT 17 SPOOKY BOX2 THE DARK HORROR SHOW アビス/LUCY】
2017年10月25日(水)大阪・なんばHatch -アビス-
2017年10月26日(木)大阪・なんばHatch -LUCY-
2017年10月30日(月)東京・豊洲PIT -アビス-
2017年10月31日(火)東京・豊洲PIT -LUCY-
◎公演詳細:http://the-gazette.com/spooky-box2/

≪リリース情報≫
the GazettE NEW ALBUM 2018 SPRING RELEASE!

≪番組情報≫
WOWOW
『the GazettE 15周年スペシャルライブ“BURST INTO A BLAZE 3”』
放送日:2017年11月放送予定
◎番組サイト:http://www.wowow.co.jp/gazette/

the GazettE オフィシャルサイト
the GazettE 掲載記事一覧
excite music official Twitter
excite music official Facebook
excite music official YouTube channel