名刺ジャンケン、してますか?こんばんは、バブル時代研究家DJGBです。

ワインにティラミス、エスプレッソ…。
バブル期に起きた“イタメシ”ブームの影響で、日本人の食生活は大きく変わりました。

なかでもパスタは、バブルを境に日本に定着した食べ物のひとつです。当時時小学生だった私にとって鮮烈だったのは、「ハウス スープスパゲッティ」の登場(1985年)でした。

ハウス食品といえば、「バーモントカレー」「フルーチェ」「レンジグルメ」といったユニークな商品で、常に日本の食卓をリードし続けてきた企業。ミートソースとナポリタンしか知らなかった当時の日本人(というか私)にとって、“スープでスパゲッティを食べる”という斬新な提案は、きわめてオシャレで都会的なライフスタイルに感じられました。

そこで今日は、日本人(というか私)に新しい食習慣を根付かせた「ハウス スープスパゲッティ」のCMをふりかえります。


■スープスパが独身女性のマストアイテムに!

1988年、ハウス食品は、「スープスパのあるスタイリッシュな生活」を訴求するCMシリーズを開始します。そのCMがコチラ。

[動画] ハウス食品 スープ スパゲッティ ボサノバ編 1988
※動画は元記事でご覧いただけます。

(ナレーション)日曜日の朝、ボサノバを聞きながらスープでスパゲティを食べる、とってもオシャレな僕の姉は…まだ独身です。
(ナレーション)スープで食べる、ハウス スープスパゲティ。

そうそうこのお姉さん、よく覚えてます。
オシャレ感と上品さがあって、実は好きでした。

ボサノバを聞きながら白ワインを開け、自宅でスープスパをほおばるキレイな独身女性。ハウス食品はスープスパを「オシャレな独身女性のマストアイテム」として位置づけ、忙しいOLへの訴求を強化します。CM中にクレジット表記がないので、残念ながらお姉さんの正体も、ボサノバ風のBGMを歌っている歌手もわかりません。

■ハウスのCMはなぜあんなによく見たのか?

ネットもTwitterもないバブル時代、テレビCMは絶大な影響力を誇っていました。ハウス食品は創業時から広告宣伝に注力していることでも知られ、そのCM投下量もハンパではありません。
当時テレビをつけっぱなしのまま眠ってしまい、深夜に目が覚めたらハウス食品のCM(あるいは「コルゲンコーワ」、「銀座じゅわいお・クチュール マキ」)が流れていた、という記憶のある方も多いのではないでしょうか。
どうやらCM枠の抑え方が特殊だったようですね。

おりしも、男女雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出が進んだ時代。ハウス食品は80年代~90年代初頭にかけて、はたらく女性が出演するスープスパのCMを継続的に制作し、スープでスパゲッティを食べるというライフスタイルを正当化し続けます。

それは取りも直さず、「(そもそも料理苦手だし、片付け面倒だし、忙しくて料理作るヒマなんてないから)スープでスパゲッティを食べているワタシは正しい」と、世の職業婦人たちの気持ちを正当化するキャンペーンでもあったのです(だと思う)。

■ボサノバを聴きながらスープスパを食べたおしゃれなお姉さんは今…。


ところで、最初に紹介したこのCMの女性、いったいどなただったんでしょう。

昔と違って、いまやネットでたいがいのことが検索できる時代です。アレコレ調べた結果、現在、意外な場所でご活躍中との情報をキャッチしました。

彼女の名前は、米野真理子(こめのまりこ)さん。
青山学院大学在学中にモデルとして活動をスタートし、80年代後半には女性誌やTV、ラジオなどでも活躍。学生時代に通ったワイン教室でワインの魅力に出会い、現在ではワインのシニアソムリエとして、故郷の熊本を中心に活動されているそうです。


出典:ピエス・コーディネーション

なんと米野さん、2008年にはソムリエとして本も出版され、現在では一般社団法人 日本ソムリエ協会の理事という要職にも就かれています。

地元のTV局で紹介された様子はこちら。オシャレさと上品さに、強さがプラスされた印象ですね。

[動画] おすすめのプロ「シニアソムリエ 米野真理子さん」(熊本朝日放送)
※動画は元記事でご覧いただけます。

あの頃、ボサノバを聴きながらスープスパをほおばっていたキレイなお姉さんは、その後年齢を重ね、しっかりとご自身の道を歩まれていることが分かりました。

ハウス食品さん、熊本地震の復興支援のため30年ぶりに米野さんと再びタッグを組んで、スープスパに合うワインとボサノバを楽しむ会 in 熊本、とかいかがでしょう?COMPLEXの再結成ばりに!

(バブル時代研究家DJGB)

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