最近、「乳首を責められたい」という男が増えているらしい。「乳首責め」にコンセプトをしぼった専門的なAVが次々とリリースされ、普通のAVでも男優の乳首を舐めたり愛撫したりといった絡みは収録されていて当然の定番シーンとなった。

乳首愛撫専門の風俗店も続々とオープンし、男が「乳首を責められたい」と感じることは、もはや特殊なフェチとも言えないぐらい定着した。

 そんな中、明治大学政治経済学部准教授の経済学者・飯田泰之氏とニュースサイト「シノドス」編集長の評論家・荻上チキ氏が「SPA!」(扶桑社)2016年2月23日号の誌上で「男の乳首」についてアンケート調査を実施。そのデータを分析した結果、面白い事実が判明した。なんと、学歴が高い人、年収が多い人ほど乳首を性感帯としている率が上がるのだという。

 この調査では、20~50代の男性各100人に調査を実施。その結果、まず、年齢や所得、学歴などは関係なく、乳首を性感帯としている男性は一定数存在することが分かった。
「自慰行為の時に乳首を触る」、いわゆる「チクニー」派は、「毎回いじる」16%と「たまにいじる」7%を合わせ、2割以上存在。やはり現代に生きる「男の乳首」は確実に開発されつつあるのだ。

 そして、この結果について、大卒以上と大卒未満に分けて分析した結果、先ほど挙げた、「学歴が高い人ほど乳首を性感帯としている率が上がる」という仮説が浮かんできたのだ。大卒以上は「とても感じて欠かせない」19%、「感じる」41%と6割もいるのに対し、大卒未満では「とても感じて欠かせない」8%、「感じる」32%と、4割ほどにとどまった。統計上の誤差と呼ぶのにはあまりに大きいこの結果について、飯田氏はこのように語っている。

「「高学歴は乳首好き」という結論が割と統計的にはしっかりと検出されそうなところかな。
これは所得でコントロールしても効くので、比較的強い傾向みたいなんだよね」
「俺が推したい仮説は、「高学歴だと乳首が好き」ではなく、「乳首が好きだと高学歴になる」という関係だ」
「よくわかんないけど脳が刺激で活性化するとか。乳首を触っていると、現代科学では解明されていない何かの能力が覚醒する!とかぁ?」

 そもそも高学歴だからといって脳機能が発達しているとはかぎらないだろうし、この仮説には首をひねりたくなる部分もあるが、しかし、実は、この"乳首責めの効能"を主張する本が以前にも出版されことがある。

 それは、情報産業で監査室長をつとめる松屋壮なる人物が出版した『できる男は乳首で決まる』(幻冬舎ルネッサンス)という本。松尾氏は、その本のなかで、ニップル(乳首)・セックスが加齢による性機能の衰えを治し、さらに、失いかけていた男としての自信をもう一度取り戻させてくれたと実体験を綴っているのだ。

〈最近ではバイアグラなどの処方薬が、性機能回復に確かな効果があるとされていますが、そうした薬には副作用の可能性もあります。ですから、むやみに薬に頼るのではなく、自らの手で対処できないかと考えました。

 そこで着目したのが乳首です。女性の乳首は「第二の性器」ともいわれて、すでに性感帯としての役割を果たしています。にもかかわらず、男性の乳首はまだ開発されていないのです。この未開発の性感帯を鍛えることで、私は機能の衰えを防ぎ、以前のようなすばやい反応を引き出すことに成功しました〉

 つまり、乳首を性感帯として開発することにより、身体も元気になり、男としてのプライドも取り戻すこともできる。結果、「乳首好き」な男はそうでない男よりもバリバリ働き、そして、より多く稼いでいるというのだ。

〈リストラやリタイアで、男として、あるいは仕事人としての存在証明を失ってしまうのと同じように、勃起障害が元で、男性としての価値観を見失ったり、自らの存在意義を取り戻せないままになったりしています。

 そうした下降ループから脱出するためにも、この「ニップル・セックス」こそが新しい性生活の扉を開いてくれるものと確信しています〉
〈そうすることから、今までのオーガズムとは違うセックスの気持ちよさが得られるでしょうし、そこからもう一度、失いかけた自信を取り戻すこともできるに違いありません〉

 飯田氏の主張する脳機能はともかく、性機能の衰えや体力の衰えに悩んでいる男性は、騙されたつもりで、乳首開発に取り組んでみてもいいかもしれない。
(田中 教)