俳優・野村将希の次男として注目され、最強スポーツ男子を決める番組で優勝するなど、今、人気急上昇中の俳優・野村祐希が、大ヒット公開中のディズニーピクサー最新作『カーズ/クロスロード』を鑑賞。“人生の岐路”に直面した主人公マックィーンの姿に、「プロサッカー選手を断念し、俳優の道を進んだ大学時代の記憶が蘇った」という野村が、自らの歩みを重ねながら本作の感想を熱く語った。


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 “大人も泣ける”映画として公開直後からレビューサイトやSNSで話題を集め、公開後10日間で興行収入8億4000万円突破の大ヒットスタートを切った本作は、ベテランレーサーになったマックィーンを中心に、表情豊かなクルマたちの“人間味溢れる”ドラマを描く『カーズ』シリーズ最新作。ハイテク技術を搭載した次世代レーサー・ストームに圧倒され、大クラッシュを起こしてしまったマックィーンが、レーサーとしての夢を追い続けるか、それとも新たな道へ向かうのか、“人生の岐路”で苦悩し、仲間とともに成長する姿を描く。

 劇場で鑑賞した際、ファミリーだけでなく、カップルや自分より年上の観客が大勢いたことに驚いたという野村だが、「確かにこの作品は、夢や挫折など大人でも感情移入できる部分がたくさんありますね。キャラクターはクルマですが、“人間ドラマ”としても凄く見応えがありました」と納得の表情。さらに、アクションもたっぷり堪能できたという野村は、「車体が光で反射している様子など細部にこだわった描写が本当にリアルで驚きました!レースシーンも大迫力で、実写かなと思うほどでした」と興奮気味に語る。

 兄はJリーガーの野村政孝で、自身も16年間サッカーに打ち込んできたという野村は、マックィーン同様、プロサッカー選手になるか、俳優になるか、大きな“人生の岐路”に苦しんだ時期があったという。
「小さい頃から、兄と同じように、“僕もプロのサッカー選手になるんだ”という思いで、ずっと練習に打ち込んできました」と振り返る野村。ところが、進学した大学が全国屈指の強豪校だったことからハイレベルなチーム内競争を強いられ、「試合に出ることができない」という日々を送り、「3年になると、ストームのような後輩に抜かれることもありました」と語る。

 そんな悩める時期に足を負傷し、「自分はプロにはなれない…」と野村は夢を断念する。だが、決断後の切り替えは早かった。「自分はずっとサッカーに打ち込んできましたが、同時に、トレーニングを積みながら役者として頑張っている父の姿も見て育ったので、俳優への憧れも強かったと思います。だから、大学を卒業して会社員になるという発想はありませんでした。
そう考えると、常に父と兄の背中を追いかけてきたんだなと思います。劇中、マックィーンと師匠の“師弟関係”が描かれていますが、僕にとって父と兄は“師匠”ですね」と笑顔を見せる。 また、劇中で描かれている“師弟”の絆を観ていると、俳優になると決めた際に父・将希から「役者の道は厳しいぞ」と声をかけられた当時を思い出したという。サッカー選手と同様に役者の世界も当然競争は厳しい。野村は表情を引き締めると「俳優としては新人なので、ストームのように、先輩たちを越えて、新しい時代を作るんだ!という思いで努力していきたい」と語る。マックィーンと同じく、一度は厳しい現実を味わった野村だからこそ、その言葉からは熱い思いが伝わってくる。


 最後に、この映画を観れば「自分が今、どの立場にいるかが見えてくる。今の自分の立場と共感するキャラクターが必ずいると思います」という野村。“人生の岐路”に立つマックィーン、野心に満ちた新人ストーム、そして、レーサーになる夢を諦めトレーナーとして活躍しているクルーズ…是非、自身の人生を投影しながら鑑賞してみてほしい。(取材・文・写真:坂田正樹)

 映画『カーズ/クロスロード』は全国公開中。