パリ市が6月末の日曜を「全裸の日」に制定 公園での裸イベントに約1000人が参加
公園で行われたヨガ教室の参加者

パリでナチュリスム(ヌーディスム)の機会が広がっている。パリ市では今年から6月最終週の日曜を「パリ・ナチュリスムの日」に制定。
初年の今年は、全裸の日に合わせてパリ東部の公園・バンセンヌの森の一部がナチュリストに解放され、6月の青空の下、全裸のヨガ教室やピクニックなど多くの人が裸の日を楽しんだ。

バンセンヌの森がナチュリスト向けに開かれるのは、昨年8月から10月の限定解放に続き2度目。同公園のイベント以外にも、これまでにパリでは一部市営プールでの定期的な全裸遊泳や、ナチュリスト向けのレストラン、美術館パレ・ド・トーキョーの全裸美術鑑賞会などが行われている。

成功裏に終わったパリ・ナリュリスムの日


「今回のイベントはパリ市とパリ警視庁に許可を求めた。特に問題はなく、順調に事を進めることができた」

パリ・ナチュリスト協会の副会長であり、フランスにおけるナチュリスム発展協会の会長のセドリック・アマトさんは、イベントの経緯について質問した筆者に対して笑顔でこう答えた。パリ・ナチュリスムの日は、アマトさんが役員を務めるこれら2つの団体の提案により実現。今回は、昨年10月15日にバンセンヌの森で行われたナチュリストのためのピクニックの参加者730人を上回る、970人が来園。
パリ市も認めた裸のイベントは成功裏に終わった。

「今の社会の中でナチュリスムを行うという、私たちの願いを皆に喚起することがこのパリ・ナチュリスムの日の目的。イデオロギーとステレオタイプに対する戦いでもあり、今日は象徴的な日だ」とアマトさんは趣旨を述べる。
パリ市が6月末の日曜を「全裸の日」に制定 公園での裸イベントに約1000人が参加
セドリック・アマトさん


年々増えるパリのナチュリスト人口


パリで各種ナチュリスム・イベントが広がることと比例して、パリ・ナチュリスト協会の会員数は順調に増えている。アマトさんによれば、現在の同会会員数は417人。ナチュリストということだけに限れば、その数はパリ全体で8万8000人に上るそうだ。「日本人を見かける機会も増えている」とアマトさんは言う。

パリ市が6月末の日曜を「全裸の日」に制定 公園での裸イベントに約1000人が参加
ナチュリスト向けに解放された公園内の区域

以前は参加者の大半が中高年だったというフランスのナチュリスムも、パレ・ド・トーキョーのイベントなどを通して、最近は一部若い世代の関心も集めている。アマトさんによれば、フランスのナチュリスト全体の29パーセントが30歳未満、そして全体の17パーセントを女性が占める。


全裸になれるための法改正も視野に


次々とナチュリスムの機会が広まりつつあるパリだが、その目的はどこあるのだろうか。この問いに対しアマトさんは「私たちの目標は裸になれることの一般化だ。具体的には刑法典222-32条の改正を目指している」と述べる。
パリ市が6月末の日曜を「全裸の日」に制定 公園での裸イベントに約1000人が参加

フランスの刑法典222-32条とは、公衆が近づける場所において他人に視覚される性的な露出行為には、1年以下の禁錮と1万5000ユーロ(約200万円)の罰金が科されるというもの。
現状ではこの法律がフランスにあるため、ナチュリストであっても、どこでも裸になれるわけではない。これを改正し、服を脱いでも裁かれないことを一般化するのが、アマトさんたちの悲願だ。

「裸になるということは、各個人が持つ価値の尊重を取り戻すということ」とアマトさん。近い将来、全裸でエッフェル塔に登れる日も来るかもしれない。
(加藤亨延)