箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く


届いた荷物の段ボールを開けるとき、みなさんはどうしていますか? カッターを使いますか? それとも、テープを剥がしながら手で開けますか?

筆者がよく使うのは「ハサミ」。カッターだと危ないので、ハサミの刃を使って開けることが多いのです。とはいえ、ハサミでもちょっと危ないもの。今回、コクヨが箱を開けることに特化したハサミ「ハコアケ」という商品を開発したとか。いったいどんな商品なの?

ということで、今回はコクヨの開発担当の方にハコアケが生まれた経緯をうかがってみました


箱を開けるためのハサミ「ハコアケ」を使ってみた


先ほど書いたように、ハサミで箱を開ける場合というのはありますよね。その場合、だれもが写真の様な使い方をすると思います。

箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く


ハサミを開いて刃の部分を使うので、手に刃が当たって危ないこともありました。また、使いにくさも感じます。今回コクヨが開発したハコアケは、その動作を刃を開かずに簡単にできるようにしたものです。

箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く
2WAYハサミ<ハコアケ>


箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く


ハコアケには「ハコアケモード」と、「ハサミモード」の2つの形があります。

箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く
ハコアケモード


ハコアケモードは、写真のような形でハサミを閉じたままで先の方からほんの少しだけ「刃」が出てくるようになっています。

箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く


ハサミを閉じた形で箱を開けることができるんです。便利!

箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く


箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く


ハサミモードは、普通のハサミとして使うことができます。

箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く
ハサミモード


ハサミモードの時には刃がでてこないのもよくできていますね。しかも、刃の内側に段差をつけて、テープを切ってもベタつかない構造になっているのも嬉しいところ。

箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く


「ハコアケ」の使い方は動画にもあるので、ぜひご覧ください。



早速、この画期的なハサミ「ハコアケ」が生まれた経緯をコクヨの開発担当者の方にお伺いしてみました。


「ハコアケ」が生まれるまで


――ハコアケはどんなことがきっかけで生まれたのですか?

コクヨ「家庭での段ボールの開梱の際、ハサミの刃をガバっと開いて開梱に使用するシーンがよくありますが、そのような『危険でありながら開梱しにくい使い方を無くすにはどうすればよいか?』と考えたことで企画がスタートしています」

――商品になるまでにどんなアイデアがありましたか?

コクヨ「段ボールの開梱作業を分解して考えていくと、(ダンボールを梱包している)PPバンドの切断や、中身の袋の開封には『ハサミ』、箱の開梱のためのテープカットには『カッター』と、『ハサミ』と『カッター』のどちらも作業の中で使用していることがわかりました。そこで、ハサミを開いて使うシーンを念頭におきながら、そのハサミの刃を上手く利用して、開梱作業により良い形にできないかと考え、この形が出来上がりました。
他のアイデアとしては以下2点を模索しました

・ハサミにカッターの刃を取りつけることはできないか
・キッチンバサミのように左右の刃を分解して使えないか


ですが、安全面と作業効率の観点から、現在の商品化された形の『ハサミの刃を使うことが理に適っている』という結論に至りました」

――ハコアケが生まれるまでに苦労した点は何でしょうか?

コクヨ「ハコアケモードとハサミモードの切り替えについて特に試行錯誤を重ねました。

元々『ハサミモード』から『ハコアケモード』に切り替えるスイッチ部分は、現在の『ハコアケモード』で使った後に、ハンドルの握りを緩めると自動的に『ハサミモード』に戻るような設計ではなく、単純にON/OFFを切り替えるスイッチにしていました。しかし、『ハコアケモード』がONの状態のときに、気づかずにハサミの受け渡しをした時などの状況を想定したときに危険があると考え、現在のように自動で戻る設計を考案しました。

また、ハコアケモード時の刃の飛び出し量も危険性を考えて、1mm未満になるように細かい調整を工場内で行っています」


ハコアケのここに注目してほしい


――ハコアケでデザインなどで注目してほしい部分はどこですか?

コクヨ「まずひとつは、全体的なデザインです。

カッターのように『引いて切る』ことができる『ハコアケモード』時に持ちやすく感じてもらえるように、刃からハンドル部のフォルムを直線的にし、刃にも指当てを付ける事で、ハコアケモードで使うときに自然にカッターを扱うときに近いような手の形になるように設計しています。

また、ハンドルのエラストマー樹脂をハンドルの外側にも施しており、ハコアケモード時に滑りにくいような設計になっています。

そして、刃先にある『刃付け』です。通常のハサミを広げて開梱をしようとすると、刃先の刃付け角度がカッターなどに比べて比較的に鈍角であるため、切り込みがしにくい場合があります。ハコアケは、ハコアケモード時に少し出てくる側の刃先において、通常のハサミの刃付けに加えて、より鋭角な刃付けを行っています(刃の角に注目してください)。そうすることで、ハコアケモードで段ボールのテープに刃先を当てる際に、テープに切り込みやすくなるように配慮した設計を行っています」

――「ハコアケ」の上手な使い方を教えてください

コクヨ「開梱作業の後、発送時のラベルやバーコードなどが張り付いていることがあると思います。個人情報になったりするため廃棄の際には剥がしたいけど、爪で剥がそうとするとシールが剥がしきれずに途中で破れたりして剥がしにくい場合があります。そんな時にハコアケを使えば、『ハコアケモード』でラベルの周りを四角に切って段ボールの表面ごと剥がすことができます

カッターよりも安全だから安心!


箱を開けるのに特化したハサミ「ハコアケ」 誕生経緯をコクヨの開発担当者に聞く


「ハコアケ」が生まれるまで、様々な試行錯誤があったことが開発担当者の話からわかりました。箱を開けるための「カッター」と、紐などを切ったりするための「ハサミ」が一緒になったということだけでも画期的なのに、安全性まで考えられるというのはいいですね。ダンボールを縛った紐を「ハサミモード」で切った後、「ハコアケモード」で箱を開ける。筆者も実際に商品で試してみましたが、1本で済んでしまうというのはかなり便利でした!
(西門香央里)

2WAYハサミ<ハコアケ>
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/hakoake/