昨日より3月20日まで、日本橋高島屋にて展覧会『デビュー50周年記念展 池田理代子-「ベルばら」とともに-』が開催されています。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 


日本の少女マンガ史上に燦然と輝く不朽の名作『ベルサイユのばら』。今年、作者の池田理代子さんが作家生活50周年を迎えるのを記念し、代表作「ベルばら」の魅力とともに、半世紀の歩みと多彩な作品を紹介する同展。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

1967年にデビューした池田さんは、女性の社会進出に厳しい目が向けられた時代にマンガを描くことで自立を目指しました。1972~73年、革命期のフランスを舞台に王妃マリー・アントワネットや男装の麗人オスカル・フランソワらの運命を描いた『ベルサイユのばら』が大ヒット! 世代を超えて読み継がれ、宝塚歌劇で繰り返し上演されるなど、今なお続くブームを巻き起こしたのです。
同展では、初期の社会派作品から『女帝エカテリーナ』などの歴史ロマン、音楽への思いあふれる『オルフェウスの窓』、そして40年ぶりの復活が話題を呼んだ「ベルばら」の新作「エピソード編」まで、初公開を含む貴重な原画や資料200点以上を通して半世紀にわたる華麗なる創作の軌跡をたどります。

初日である昨日にメディア向け内覧会が開催されており、記者もお邪魔してきました!

池田理代子の半世紀の歩みを凝縮!


では、順路にしたがって展覧会の様子をご紹介していきましょう。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

まず入口近くには、池田先生の「少女マンガ誌+女性マンガ誌 表紙コレクション」が目に入ります。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 


1章 自立への道
「女に学問はいらない」というお父さんを説得して大学に進学、自分で学費と生活費を稼ぐためにマンガを描くようになった池田先生。1967年、貸本屋向けの作品を経て雑誌デビューを果たしたのは19歳、大学2年生のときでした。
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大学2年生で雑誌デビューを飾った作品『バラ屋敷の少女』です。
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雑誌デビューから1年、集英社に移って最初に発表した50ページの力作『愛は永遠に』です。
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初めて読者の人気を得てうれしかったという作品『初恋物語』。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 


2章 華麗なる「ベルサイユのばら」
実力が認められ長期連載のチャンスをつかんだとき、迷わず選んだのは高校時代に伝奇小説を読んで以来、いつか描くと決めていたマリー・アントワネットの生涯でした。「歴史ものは受けない」という編集部の反対を押し切り、1972年に『ベルサイユのばら』の連載が始まります。「必ず当てます」と約束した通り大ヒットし、舞台、アニメ、映画、翻訳出版などの展開により愛読者は世界に広がりました。

「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

ここでは「運命の幕開け」「政略結婚」「オペラ座の出会い」「許されざる恋」「毒入りワイン」「軍神マルスの子」「革命への序曲」「バスティーユへ!」とそれぞれの時期で区分けされつつ、数々の展示作品が紹介されています。

「ベルサイユのばら衣装展示コーナー」は、写真撮影OKです!
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こちらは、オスカルの衣装。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

アンドレの衣装です。
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3章 歴史ロマンを描く
フランス革命をとりあげた『ベルサイユのばら』を筆頭に、歴史ロマンは池田作品を代表するテーマの一つです。

出版社からの依頼により、初めて一般誌で連載した作品『女帝エカテリーナ』。
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フランスの英雄ナポレオンの波乱の生涯をたどる、池田作品で最長の歴史物語『エロイカ』。

NHKの大河ドラマにあわせた初の描き下ろし作品『けふぞ火宅をー春日局―』。
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4章 少女から女性へ
1980年代に続々創刊された大人の女性向けのレディースコミック誌に発表の場を移し、仕事や恋愛、結婚、過程の問題などリアルな人生の葛藤を描くようになります。

ユー月刊化第1号の巻頭カラーを飾った6話からなる連作シリーズ『蒼い柘榴』。
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5章 音楽と「オルフェウスの窓」
小さいころからピアノを習い、一時はその道に進もうと考えるほど音楽が好きだった池田理代子さん。「ベルばら」終了後、ヨーロッパ旅行中に立ち寄ったドイツのレーゲンスブルクで「この町の音楽学校を舞台にしたい」と思い立ったのが、1975年から1981年にかけて連載した『オルフェウスの窓』誕生のきっかけでした。代表作の「ベルばら」に対し、ライフワークと位置づける作品です。
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「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

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こちらは「オルフェウスの窓(塔のイメージ)」。
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ちなみにこの展覧会の会場BGMは、同作にちなんだものです。
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6章 新しい挑戦
1999年に音大を卒業し、ソプラノ歌手としてステージに立つ一方、2005年からは『ベルサイユのばら』のセルフパロディである4コマ漫画『ベルサイユKids』の連載を始めるなど、音楽活動と作品制作の両立が続きます。デビュー50周年、「ベルばら」連載開始から45周年を迎え、まだまだ描きたいものがあるという池田理代子さんの創作世界はさらなる広がりを見せています。

「ベルばら」の登場人物が3頭身キャラとなって活躍する4コマ漫画『ベルサイユKids』。
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「オスカル、モードを着る」(シュプール)
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「愛と波乱の結婚準備ダンドリBOOK」表紙(「ゼクシィ」綴じ込み別冊)
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左の絵のモデルは、キャロライン・ケネディ駐日大使(当時)です。
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右の絵のモデルは、デヴィッド・ボウイ。
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さらに、展覧会限定のオフィシャルブックや紅茶専門店 TEAPOND とのコラボ商品などオリジナルグッズも取り揃えられています!
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

また、会期中には池田さんのサイン会なども予定されているとのことです。

まるで、オスカル!? アルフィーの高見沢さんが駆け付けた


昨日は、会場にて同展のオープニングセレモニーが開催されています。池田先生ご本人がお越しになりましたよ!
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

池田 「50周年展」と聞いて、私が一番びっくりしています。「いくつから描き始めたのかなぁ」と計算しましても、どう考えても今年、古希になります(笑)。無我夢中で生きてきたなあというのが本当に正直な感想ですけれども。このような展覧会が開催される日が来ようとは夢にも思いませんで、この50周年が過ぎたらきっと後は追悼展になるんだろうなあと思いながら、少女漫画を描き続けてこられたことに、読者の方々に、編集部の方々に感謝するとともに、今回の展覧会のためにご尽力くださった多くの皆さんに深く感謝を申し上げたいと思います。

また、スペシャルゲストとしてTHE ALFEEのリーダー・高見沢俊彦さんもいらっしゃいました!
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

高見沢 僕も先生のコミックのファンでもありますし、以前はアルフィーのジャケットを描いてくださったこともありますし、先生には非常にお世話になりました。先生の作品は非常に世界的なイメージも含めて僕の好きな世界なんで、50年という歳月はすごく重いというかね、これからどんな作品がまた生まれてくるかすごく楽しみであります。ちなみにTHE ALFEEは43年目ですからまだまだ先生には敵わないなということで、これからも池田先生、よろしくお願いいたします。本日はどうも、おめでとうございました!
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 


では、池田先生と高見沢さんにくす玉開きを行っていただきましょう!
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 


「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 


――お2人のご縁からお聞きしてまいりたいと思います。THE ALFEE30周年を記念して発売されたアルバムのジャケットを池田先生が手掛けられたんですね。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

高見沢 ちょっと、良すぎませんか(苦笑)?
池田 いやいやいや、こんなもんでしたよー。大丈夫よ(笑)。それより、ギターが難しかった。こういう形のギターって見たことがないので難しかったですけど、こちらの絵は簡単だった。うん。イメージが、バーっとできて。

――今日はそのギターの実物がございます。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

高見沢 とんでもないギターですね。これ、「ハートエンジェル」というもので、先生は描くのが難しかったとおっしゃっていましたが、弾くのも難しいです。
池田 あれは何年くらい前でしたか?
高見沢 あれは30周年ですから、13年前ですね。
――しかもお2人、まだ共通点が実はあって、2014年にお2人揃ってフランス好きが高じてフランス観光親善大使に同じ年に任命されたと聞いております。
高見沢 先生は、もう『ベルサイユのばら』でフランスのことを描いていらっしゃいますからすぐわかったんですけど、僕については「えっ、なぜだろう!?」と思って。先生がたぶん推薦していただいたのかなぁと思って。
池田 違うのよ、それが。すいません(笑)。
高見沢 いえいえ!
池田 でも、フランスはお好きですよね?
高見沢 ええ、好きですね!

――今日のお衣装もフランスそのものですよね。
池田 もうなんとなく、「ベルばら」といえばアルフィーの高見沢さん。

――先生がおっしゃるのなら、もう間違いないですよね。王子様そのものでございます!
高見沢 ちょっと年とってますけどね(苦笑)。

――その時に面白いと思ったのが、フランス大使になられた時に高見沢さんはお名刺を初めて作られたということで。
高見沢 そうですね。僕は、生まれて初めて名刺を持ったんですよね。
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高見沢 ミュージシャンって名刺を持たないですから、うれしくてうれしくて配りまくってすぐなくなりました。
池田 実は私の名刺もいただいたはずなんですよ。ほら、漫画家って家の中に紙が多いでしょ? 原稿用紙を始めとして。で、いつの間にか紙にまぎれて私の分はなくなっちゃって。だから、今日持って来いと言われたんですけど見当たんなかったんですよ。
高見沢 意外と雑な性格ですね(笑)。
池田 雑です、雑です!

そして、お2人による囲み会見です。
「ベルばら」作者はマリー・アントワネット似と高見沢俊彦が指摘! 池田理代子デビュー50周年記念展 

――ご自分の展示会が開かれるとは思っていらっしゃいましたか?
池田 節目節目に「ベルサイユのばら展」とかは開いていただいているんですけども、「ベルばら」以外の描いたもの? 私としては出してもらいたくない(笑)。

――そうなんですか!?
池田 もう、恥ずかしいんです……(笑)。
高見沢 そんなことないと思いますよ(笑)!
池田 たぶん、うちの事務所が「そろそろやっとかないとなあ」と。本当に、この次は追悼展になる(笑)。
高見沢 いえいえいえ!

――そんなことはないですよ! デビューは何歳だったんですか?
池田 19歳です。19歳プラス50で、はい(笑)。

――THE ALFEEは43年で?
高見沢 はい。僕らもデビューが19~20歳でしたかね。大学2年生でした。

――アルフィーよりも長く描いていらっしゃるんですね。
高見沢 長いんですよ。尊敬いたします。

――おふたりは観光親善大使で。それからはずーっとお付き合いが。
高見沢 その前に、30周年のアルバムの時に先生にジャケットを描いていただいて。

――それは、どういういきさつだったんですか?
高見沢 30周年なんで「変わったことをしよう!」と考えて、「たぶんダメだろうな」ということも含めて先生に恐る恐るオファーをしたら、快く受けていただいて。
池田 というか、大喜びで!

――なんで先生だったんですか?
高見沢 先生の世界観が、僕らが歌ってきたオーバーな世界とちょっとリンクしていて。あくまで歌の世界ですけどね。漫画の世界に似ているとか、そういうことじゃないですよ(笑)? その時、「Nouvelle Vague(ヌーベルバーグ)」という歌がありまして。僕が先生の作品に刺激を受けて書いた楽曲があるんですけど、そういうのもあって池田先生に描いていただいたらいいな……と! 夢のような感じで、お願いしました。

――そしたら、OKしてくださって?
池田 だって高見沢さん拝見してたら「うわっ、オスカルじゃん!」って思ってたので。
高見沢 いえいえ、そんなオスカルも還暦過ぎてるんですから(笑)!

――先生、ご自身をキャラクターに喩えるとしたら誰になりますか?
池田 いや、それは一人って決まってないんですよね。やっぱり、自分が描く登場人物って何箇所か自分を反映していて。
高見沢 でも、マリー・アントワネットって先生とリンクしている部分がありますよね。
池田 全然似てないです、性格は。
高見沢 えっ、そうですか!? 雑じゃないですか、性格は(笑)。
(一同笑)
高見沢 意外と天真爛漫でねぇ?
池田 それは似てます(笑)。

――高見沢さんは、ご自身をオスカルかなと思っていますか?
高見沢 自分では思ってないですよ! こんな格好してますからね。いつまでもつかわかりませんけど(笑)。がんばります!

――今日のお衣装はオスカルですか?
高見沢 ちょっと意識しました(笑)

――では、最後にPRを。
池田 これからずーっと描きますので、できるだけ多くの皆さんに『ベルサイユのばら』以外の作品も見ていただけたらと思います。こないだ離日されましたケネディ大使の肖像画なんかもあるんですよ。あと私、油絵も描いてましたので、それもちょっとあると思います。色んな、私の絵描きとしての面を見ていただければと思います。
高見沢 『ベルサイユのばら』を含めますけど先生の作品展ですから、色んな先生の顔が見えると思います。あと、色んなグッズがあります。これが素晴らしいです! 何が素晴らしいって、先生がそのグッズを一つも知らなかったことです。
池田 (笑)
高見沢 「初めて見た!」ってずっと回ってましたから。やっぱり、マリー・アントワネットによく似てるなと思います。
池田 (笑)

(寺西ジャジューカ)