レディーススーツのポケットはなぜ少ないの?
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先日、仕事の合間にカフェで休憩しているとき、とある取引先相手と偶然遭遇。挨拶をすると、その方と一緒にいた方が、すっとスマートにジャケットの裏ポケットから名刺を差し出してくれた。

筆者は、あわててバッグから名刺入れを出そうとしたのだが……。そんなときに限ってバッグの中が荒れ放題で名刺入れが見つからない! ドタバタして不細工な仕草になってしまった……。
そんなとき、いつも思うことがある。
「あーもう! なんで女のスーツには、内ポケットついてないんだろう!」
と。
男性スーツのポケット数は、スーツのタイプにもよるが、おおよそ大小合わせて20個程度。比べて、女性スーツのポケットは圧倒的に少なく、胸ポケットはもちろん、内ポケットなんてついていないものがほとんどである。

「一体どこでこんな差が生まれてしまったのか?」
この疑問を解決すべく、ファッションの専門学校である文化服装学院の朝日信教授に質問してみることにした。


レディーススーツのポケットはなぜ少ないのですか?


朝日先生「デザイン性が大きいと思います。女性はバッグを持つということも考えられますね」
ポケットにものを入れることでシルエットが損なわれる、というデザイン重視の点から、スーツのポケットが少ないと考えられるとのこと。
また、男性はバッグを持ち歩かない人が多い。そのため、利便性もかねてポケットが必要だったというわけだ。
そもそも、現在のスーツの形はいつ頃完成したのだろう。


150年前から基本の構造を変えていない、完成された男性スーツ


「現在のスーツの形は19世紀半ばに完成したとされています。当時は、イギリスで紳士がラウンジで歓談する際に着用しました。
その後、1960年代に日本にも輸入されました。女性のスーツができたのは、男性スーツの登場から半世紀ほどあとになりますね」

19世紀半ばに登場してから、多少の流行の差はあれど、基本的な構造を変えていない完成されたスタイルが今の男性スーツなのである。すごい。立体的で美しく大変機能的な素晴らしいデザインは、感動さえ覚える。
一方で女性は、つねに流行が細かく変化し、ファッションに新しさを求める生き物。自身のスタイルを美しく魅せることや変身願望を叶えるために、ファッションというツールを使う。
女性のスーツスタイルに、デザイン性が重視されるのも納得だ。


今後スーツのポケットが増える可能性はあるのか


がしかし、今や女性が働くことが当たり前となった時代。
何度もいうように、いちいちバッグから名刺やペンなどを出すのはとっても面倒なのだ! ポケットがたくさんついたスーツが欲しい! しかもできれば洗練されたデザインで!
切なる願いを抱き、スーツ店に足を運んでみた。
結果、かなり取り扱いが少なかったものの、内ポケットがあるスーツを見つかった。でも、今度はシルエットが気に入らず、購入に至らなかった……。
デザイン性のあるスーツにもポケット付きが定番化する可能性はないのだろうか。

朝日教授曰く「女性のスーツは男性の後追いですから、いずれはポケット付きも増えていくかもしれませんね」とのこと。
機能性を兼ね備えた、スタイルアップできるシックなスーツが各ブランドの定番になる未来も近いかも。是非、女性のスーツに革新が起こることを願いたい。(そんな理想のスーツに出会うまで、買うのは我慢しようと思う)
(YUE/プロップ・アイ)