『ワラチャン! U20お笑い日本一決定戦』(日本テレビ 2013年)で優勝したたかまつなな。曽祖父は東大の名誉教授で、東京ガスの社長を務めたこともある。
中学・高校は首都圏有数のお嬢様学校、フェリス女学院に通い、現在は芸人として活躍する傍ら、慶應義塾大学総合政策学部で勉学に励む。お嬢様の生き様がリアルに変わっているとのことで、ご本人にお会いしてきました。
フェリス卒、お嬢様芸人たかまつななの妙な生き様とギャルに変身した真相
▲フェリス卒 お嬢様芸人たかまつなな

●爆笑問題の太田さんを学者だと思っていた
NHKの番組以外はいっさい見ない家庭で育ったため、子どもの頃は爆笑問題すら知らなかったという。
「ジャーナリストになりたいと思って、中学生の頃から6年間読売新聞のこども記者をやってました。中学の時にふと『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書)という本を手にして、中沢新一さんの名前があったので読んでみたんです。太田さんとの対談をまとめた本だったんですが、太田さんの発言が面白くて『この方は、なんてユニークな提言をなさる学者さんなんだろう』と思って……」
巻末に記してあった太田さんのプロフィールに「芸人」と書いてあるのを見て「芸人さんって、素晴らしい職業!」と思い、芸人を志すようになったという。


●最初はコンビ、トリオとして活動。約30回解散している
その後、よしもとクリエイティブ・エージェンシーが主催している『ハイスクールマンザイ』で優勝すればNSC(養成所)の特待生として通えることを知り、『崖っぷちのエイリアン』というコンビで大会に出ることを決意した。しかし、出場するにあたり、家も学校も簡単に「よろしいです」と言ってくれるわけがない。
「先生に相談したら『私には判断しかねます』と言われて職員会議が開かれました。何度か会議が開かれた後『熱意があるのなら、特別に許可しましょう。ただし、清く・正しく・品格あふれる漫才をやりなさい。
絶対に友達や他人を傷つけないように』と言われました」
こうしてたかまつは相方と出場するが、敗北してしまう。
「何がなんでも優勝したくて、2年目は15回くらい相方を変えて出ました」
またもや優勝は逃したものの、『崖っぷちのエイリアン』(コンビ名)で地区大会優勝を果たした。
――ネタはどうやって作ってたんですか?
「『漫才入門』のような本を読んだり、大阪にある『ワッハ上方』に言って、漫才の資料を見たり、横山エンタツ・花菱アチャコさんなどの映像を見たりして勉強しました」
若手にしては、なんて独特なんだ。

●焼肉屋に行って、反省文2000文字を書かされる
私生活も独特である。たかまつ家では、焼肉屋に行くという習慣がなかった。高校の頃、道で小学校の同級生とバッタリと再会。
その同級生が家族で焼肉屋の話をしているのを聞いて、焼肉屋に興味深々。「自分で肉を焼いて食べられるなんて、素敵」と思い、友達と焼肉屋に行くことに。しかし、そのことが学校にバレてしまい、ハイキング部活動の謹慎処分を受けた上、2000文字の反省文を書かされる。
「先生に呼び出されまして、悲しそうな顔で『焼肉屋に行ったの?』と質問されて、素直に答えたら先生が落胆してしまって『ケーキやさんだったら、可愛かったのに……』と言われました」
2000字の反省文といっても書くことがなく、途中からは『(焼肉屋に行くことを企画した)発案者としてのリーダーシップの欠如について』書きました」

●芸人になるまで、ラーメン屋に入ったことがなかった
そもそもたかまつ家の外食といえば、家族揃ってフルコースの店に行くのが基本だ。ラーメンは中華料理のお店で食べたことがあるものの、ラーメン屋には入ったことはなかったという。
「芸人になってから初めて『日高屋』に入ったんですよ。
美味しいけど、あんなに安かったらお店が潰れるんじゃないかと心配しています」
ちなみに、芸人になってから先輩におごっていだくことがあるが、ごく稀に味が合わないことがあるという。
「それでも『美味しいですね!』と言って、満面の笑みで頂きます(笑)」
ちなみに、このインタビューは庶民的で安価なコーヒーチェーン店で行った。ひょっとするとこの時のたかまつさんの笑顔も……(以下略)。

●コンビニに行くのを禁止されていた。理由は「治安が悪いから」
たかまつ家の決まりだったという。今はコンビニには行くもののチャーン店には詳しくない。


●正月から家族で政治経済の話
たかまつは政治経済について子どもの頃から興味はあったものの、たとえ正月であっても両親の間で政治経済の話になるため、気が気でなかったという。
「例えば、昨年の国際情勢で気になったことなどを家族の間で言い合うんですけど、まだ子どもだから時々会話についていけない時があるんです。しかも、意見を求められることもあるので、年末が近づくと1年を振る返るために勉強をしてました」
その話を聞いて「私は平凡な家庭に育ってよかった」と肩を撫でおろしたのはいうまでもない。

●お笑いの養成所に入る資金を得るため、作文コンクールで最優秀賞受賞
『ハイスクールマンザイ』の優勝を逃した彼女は、自力で養成所に入るため、資金を得るべく作文などのコンクールに応募しまくる。
2010年 第57回高校生の主張コンクール安達峰一郎賞
2011年 第13回後藤新平・新渡戸稲造記念拓殖大学 高校生・留学生作文コンクール後藤新平賞(最優秀賞)
2011年 第58回高校生の主張作文コンクール国連広報センター賞
2011年 「日本男児」作文コンクール佳作
2013年 第9回「出版甲子園」準グランプリ。
――すげえーーー!! あ、失礼しました。
凄いですね。
「でも、拓殖大学の作文コンクール以外は、1位は逃してるんですよ。賞金は頂いたから養成所に入るお金は得ることができましたが、他のコンクールで1位を逃したのが悔しくて」
――例えばどんな内容の作文を?
「簡単にいうと、戦争と平和についてです。研修旅行で広島に行った時にガイドの方が『私の話を聞いた方に、原子爆弾が投下されたのが公園だったから、まだ良かったですねと言われたことがあった』という話を聞いてショックを受けてしまって、『無知って怖い。無知が負の歴史を生み出すのではないか』と思ったんです。だから自分はもっと勉強しようと思いました」

●たかまつ家騒然!? ギャルに変身
さて、ここまで読むと、お嬢様のイメージがベットリと脳内に張り付いて既に離れなくなっているかもしれないが、たかまつは最近、YouTubeの企画でギャルに変身し、話題となった。
フェリス卒、お嬢様芸人たかまつななの妙な生き様とギャルに変身した真相
▲変身前

フェリス卒、お嬢様芸人たかまつななの妙な生き様とギャルに変身した真相
▲変身後

フェリス卒、お嬢様芸人たかまつななの妙な生き様とギャルに変身した真相
▲変身後(2)

スタイリストの久保田卓也氏によってギャルに変身すると、興奮したたかまつは「人生初のおギャルになりましたのよ!」と写真を公開。動画やブログのコメント欄では「予想と違っていい感じにお似合いです!」「可愛い! これからもギャルの格好のななさんをもっと見たいです!」といった声が寄せられた。
――反響がすごかったですね。
「エハラマサヒロさんからも『変わるなぁ~すげーな』とコメントを寄せていただいたので『ありがとうございます。いやらしい目で見ないで下さいまし』とお返事を出しました。キンタロー。さんには『えっすごい!! 可愛い!!』と驚かれた一方、『このやろぉ~、ビジネスブスだったんだな~!!』と言われました(笑)」

最近は、芸人の先輩に初めて遊びに連れて行っていただき、楽しかったと目を輝かせて話す。インパルスの板倉さん、コンマニセンチ竹永さん、麒麟の田村さん、はんにゃの金田さんにサバゲーに連れて行っていただいたそうだ。
「私が猪突猛進に前に進む様子に、経験者の板倉さんが『無知って恐ろしいな!』と半分あきれていました」
サバゲー中は夢中で真剣に戦っていたのに、平成ノブシコブシの吉村さんに目の前でオナラをされると「お下品です」と激怒して、周りの先輩が驚いていたという。

フェリス女学院時代は国連の平和大使としても活躍。現在は慶応大学で勉強に励む。「教育実習で久米島高校に伺うので、離島における教育問題や、いかにして島を活性化させるかといった問題について、島の皆さんとの交流を通じて考えようと思ってます」という彼女。政治塾にも通っており、今後は現場の声を届ける「リアルボイスちゃんねる」という NPO法人を立ち上げたり、いつか池上彰さんにお会いしてジャーナリズムのあり方、国民の政治リテラシーがどうあるべきなのか等お話してみたいとのこと。たかまつの活動は、ネタで使うフリップのように次々に展開されるのであった。
(取材・文/やきそばかおる)

・YouTube『たかまつななチャンネル』
ネタ、ギャルに変身企画、学校では教えてくれないコトシリーズなど怒涛の更新中。なかでも、ネタは毎週土曜日に新ネタを更新。ぜひ登録を!!

・第4回たかまつなな単独ライブ『お嬢様の顔も3度まで~お前はネタの才能がないと言った小林マネージャーへ』
3月6日(金曜)19時開演 新宿文化センター小ホールにて開催(といっても、チケット完売です。次回は8月8日開催)
フェリス卒、お嬢様芸人たかまつななの妙な生き様とギャルに変身した真相

お笑いライブには珍しく、終演後にはミニシンポジウムも開催する。テーマは「『笑いとは?』 ネタのデモンストレーションから、人がどのような時に笑うのか分析する」
※出演:白井宏美(慶應義塾大学言語コミュニケーション論 准教授)、ゴウヒデキ(放送作家)
今年は単独ライブ年に3回開催予定。