2011年5月12日、貧乏アイドルとして数々のバラエティ番組に出演するなどして人気のあったタレントの上原美優さんが自ら命を絶った。24歳という年齢での有名タレントの自殺は、普通の新聞社から週刊誌までの各メディアで大きく取り上げられた。
特に週刊誌などでは「自殺の真相」が注目され、真意が定かではない噂がいくつも飛び交った。

上原さんの死から3年が経過したが、最近になってある画像が話題になっている。「上原美優が死ぬ前に残したメモが怖すぎる」といった文章とともにTwitterへ投稿された画像には、日本語とおぼしき文章が書きなぐられており、画像とともに投稿されたツイートには「死に際に残したメモには恐ろしい事実を示す可能性が!」ともある。この画像は、上原さんが亡くなった報道から間もない頃から話題になっており、TwitterをはじめとするSNSやコミュニティサイトでは、どのようなメッセージだったのかを調べようとした人もいた。しかし、現在に至るまでこの言葉を解読出来た人はいない。それもそのはず、このメモは上原美優さんが書いたものではないからだ。


【勝手に使われた大切な人の言葉】


この画像は2008年に投稿されたあるブログ記事の写真が「出典元」だ。ブログの筆者は3年前(当時)にお父さんを亡くしているが、亡くなる前日にお父さんが解読できないメモを書き残していたという。そのメモこそ「上原美優さんが亡くなる前に残した」と言われているメモである。当時のブログにはお父さんへの「恋しい思い」が書き綴られており、いかにそのメモが筆者にとって大事な物だったかを伺い知ることができる。

「私の父が書いたものなのに」再びブログに投稿された写真には、筆者の気持ちを吐露した一文も綴られている。6年が経過し、この画像はネットのみにとどまらず、雑誌にまで掲載されてしまった。上原美優さんのメモとして既成事実化され、自分の知らない所で写真が使われ続けていたことについて、筆者は「唖然となった」という。


【いつまで経っても消えないデマ】


2009年に大きく報じられたニュースに、スマイリーキクチさんの中傷事件というものがある。お笑いタレントのスマイリーキクチさんが、ある事件に関与しているという情報を鵜呑みにし、長い間スマイリーさんへの誹謗中傷を続けていたという事件だ。この誤った情報を信じ続けていた人たちは、最終的に刑事罰を受けることになった。デマを信じてしまう事は、自分自身が恥ずかしい思いをするだけでなく、社会的な制裁を受けてしまうケースもある。

震災後も数多くのデマがあった。家電量販店で電池の価格が暴騰したり、当時の与党がカップ麺を買い占めたり、海外で震災記念Tシャツが販売されたり……。
どれも冷静に考えればあり得ない話なのだが、悲しいことに情報というのはショッキングであればあるほど注目されてしまう。この上原美優さんのケースもそうだった。

「注意1秒、ケガ一生」ではないが、リツイートはクリック2回、いいね! はクリック1回で終わってしまう。驚くのはいいが、自らが信じた情報で他の誰か傷つけてしまわないか。今一度考えなおす必要がある。

ちなみに、ナチス・ドイツでヒトラーを支えていたヨーゼフ・ゲッベルスという男が残した「ウソも100回言えば本当になる」という言葉。
これも嘘ではないかと指摘されている。
(池うどん)