「日本はフルーツが高い」。日本で暮らす外国人たちが口をそろえて言うセリフだ。
日本に遊びに行った知人のフランス人たちからも「日本は食事をするには安いのに、果物はなぜこんなに高いんだ」といつも質問される

一体、東京とパリではどれくらい値段が違うのか。リンゴ、モモ、メロン、ブドウ、サクランボという5品目について、総務省『小売物物価統計調査報告』とINSEE(仏国立統計経済研究所)が出した各果物についての平均小売価格から、2012年の日仏の平均市価を比べてみた。

結果、リンゴは東京が1kg当たり573円(以下すべて1kg当たりの価格)でパリは2.44ユーロ(約326円)、モモは東京が804円でパリは3.26ユーロ(約436円)、メロンは東京が628円でパリは2.57ユーロ(約343円)、ブドウは東京が1340円でパリは3.96ユーロ(約539円)、サクランボは東京が2870円でパリは7.6ユーロ(約1015円)だった。リンゴ、モモ、メロンは約1.8倍、ブドウは約2.5倍、サクランボは約2.8倍、東京がパリより高い。

価格が安い分、欧州は日本より果物がより身近だ。リンゴ1個をカバンに忍ばせておき、お腹が空いたら丸ごとかじっている人もよく見かける。
実際、国際連合食料農業機関(FAO)が出す日本とフランスの1人1日当たりの消費量を比べてみても、フランス人は日本人の約2倍多く果物を食べている。

加えて日本の生鮮果実の消費量は年々低くなっている。今年6月に農林水産省が出した『果樹をめぐる情勢』によれば、「世代別の摂取量は特に20〜40歳代で少ない状況」であり「10年前と比較して、すべての世代で摂取量が減少。特に40〜59歳の落ち込みが大きい」そうだ。ただし果実の自体の供給量はほぼ横ばいだ。つまり消費者は、年々生鮮果実より加工品の購入を好む傾向にあるというのだ。


生鮮果実を食べない理由としては、手間の問題と価格の問題をあげる人が多く、若い世代ほど果実加工品を好んでいる。生鮮果実と果実加工品の選択状況を比べると、60代以上の94.4%が「生鮮が主体」と答えたのに対し、20代は67%と低くなる。男女にも差があり、女性(82.5%)は男性(77.6%)より「生鮮を主体」とする人の割合は高い。また学校給食の果実摂取量も、1回の給食で望ましいとされる量より少ないのが現状だそうだ。
(加藤亨延)