最近、普段使っているデスクトップPCの調子がいまひとつなので、新たにタワー型のちょっと大きめのPCを組み立てた。しかし、従来使っていたものよりだいぶ大きいため、設置場所に悩んでいる。
で、スペースの問題もあるのだが、どこでもいいというのではなく、置き場所の条件があるのではとふと思った。そこで、PCケースなどPC関連製品を扱う会社リンクスインターナショナルにそれを聞いてみることにした。

スリムやキューブ、ミニPCといったコンパクトなものではなく、「PCケース Corsair:330R」(リンクス)のようなミドルタワー型デスクトップPCを前提として話を進めたい。210(幅)×510(奥行)×485(高)mmのサイズのPCを部屋に設置する。ちなみに、部屋のスペースにもよるが、かなり存在感のある大きさである。そもそもどうして設置場所に悩むような大きいPCを購入するのかというと、やはり冷却性能、拡張性、パーツとの相性の良さなどを考えると、ミドルタワー型がコンパクトタイプより優位だからだ。


さて、まず気になるのは熱対策・安全性。これに適した場所とは。
「直射日光が当たる場所の設置は避けたほうが良いでしょう。直射日光に当たり続ければケースも色褪せてしまいます。また、PCにもよりますが、
発熱の多いシステムでは直射日光が当たることで動作環境温度が不用意に上昇してしまい、とくに夏場などは熱暴走による不調を引き起こしかねません」
うん、これ素直に頷けます。

「また、空気の流れがまったくない場所、極端に密閉された場所での設置は、PC本体のファンをいくら高回転にしても周辺の温度が上昇しますので、適度に空気が流れる場所を推奨します」
確かに、邪魔にならないよう隅っこに置くことも多いPCでは、ファンのフル回転する音がいかにも苦しそうである。


さりとて、通気性の良さを考慮して高いところに置くのも良くないと言う。
「安全性の観点から言えば、通常のATXタイプのタワーケースは本体の重量が概ね6kg前後、スチール製であればケースだけで重量10kgになるものも珍しくありません。地震や不測の事態で落下、転倒することを想定すれば、高い位置に設置するのは好ましくありません」

つぎに、騒音・振動の問題。これも設置場所に関係する。
「一般的にPCの騒音はCPU、グラフィックスカード、ケースに取り付けられたクーリングファンの風切音などが大部分を占めています。そのため動作環境温度が低ければ低いほど、つまり常に新鮮な空気を取り込むことができれば、それぞれのパーツを効果的に冷却することができ、闇雲にファンの回転数を上げずに済みます」
空気の流れがいい場所なら、騒音は軽減されるのかぁ。


振動については、PCを置く場所の強度や材質などに左右される。また、PCは相応の重量があるので、設置場所には一定の強度が求められ、(製品によって特長は異なるが)光学ドライブやHDDの動作音が比較的大きいという。
「例えば厚さ30mm程度の机やフローリングなどに設置した場合、特有の鈍い振動が伝わることがあります。そのため、設置場所には一定の強度を求めつつも振動を吸収するものがあると良いです」
「設置場所という話からは脱線しますが、光学ドライブやHDDから伝わる振動を吸収、緩和するために最近のPCケースは底面にシリコンゴム足などを備えた製品があります」

最後に、操作性と設置場所の関係は。
「PC本体には電源を入れるための電源スイッチやリセットスイッチのほか、USBやオーディオジャックなどのフロント接続ポートがあります。それらを一定頻度で使用することを考慮した場合、PCを実際に操作する場所から手の届く範囲、あるいは簡単に操作ができる場所などがお勧めです」
確かに、あまり遠い場所だと操作性が悪いですよね。


「また限られたスペースで設置をする場合、PCケース本体を壁際や端に寄せることが多いと思いますが、製品によっては左右どちらかに寄せた場合に各種スイッチや接続ポートが隠れて操作に支障が出ることもあります。それらを回避するためにケース上面、もしくは前面にスイッチや接続ポートがある製品であること、また、遮音のフロントパネルを備えたモデルであれば左右どちらからでも開閉できる製品だと汎用性が高く便利です」

まとめると、
・比較的涼しくて、空気の流れがいい
・落下・破損の恐れが少ない
・一定の強度があり、振動を吸収する
・作業環境から離れすぎない
といった点が重要。

自宅のデスクトップPCを快適にかつ安全、長持ちに使うには、設置場所がかなり影響するわけ。あなたのPCの設置場所もチェックしてみては。
(羽石竜示)