昨年、あるテレビ番組で「お風呂でオシッコ」という話題が出た。
驚いたのは、司会者がひな壇に並ぶ男性タレントたちに「お風呂でオシッコしたことある人!」と尋ねると、男性の100%が手を挙げたこと!

失礼ながら周囲の男性たちに聞いてみても、やはり「お風呂でおしっこ」経験者はかなりの割合に上った。


いったいなぜ男性は、お風呂でオシッコをしてしまうのか。カラダの構造上、仕方のないことなのか。
『はい、泌尿器科です。』の著書で、医療法人社団 湘南太陽会 鳥居泌尿器科・内科の鳥居伸一郎院長に聞いた。

「裸になって急に寒くなることもあると思いますし、水の音が刺激になること、また、お風呂ではガマンすることを忘れてしまうというのもあると思います」

人は成長するにつれ、「オシッコは行けるときに行っておこう」「あとはガマンしよう」という感覚が社会的につくられていくもので、一般的には約500~700mlためることができるという。
一方、1回で出るオシッコの量は約150~200ml程度。
となると、風呂に入った瞬間にガマンできなくなるということは考えにくいけれど……。
「たとえば、ユニットバスである場合など、トイレとお風呂が近い場所にある影響は考えられます。お風呂でオシッコしてしまう人も、銭湯でする人は少ないはず。自宅で『めんどうくさいから』というのが現実的には多いのではないでしょうか」

では、なぜ「めんどうくさい→風呂でやっちゃえ」という気持ちの緩みが生じるのか。
「授業の前や、運動する前など、準備として念のためトイレに行っておく人は多いでしょう。お風呂に入るときも、準備としてトイレに行けば良いのですが、これはめんどうくさいのだと思います。
やっぱりどこかで『お風呂ならオシッコしても良い』という気持ちがあり、それがクセになっているのでは?」
ちなみに、「お風呂でオシッコ=汚い」と思う人は少なくないだろうが、「理屈としては、雨水以外の家庭排水として、台所もお風呂もし尿も同じように流しているので、問題はないはず」と鳥居院長。

しかも、「飲尿健康法」などもあるように、医学的に見ても尿は無菌であり、汚くはないのだという。
「それに、お風呂でオシッコする人も、たいてい浴槽の中でするわけではないですよね? プールや海でしてしまう感覚に近いのではないでしょうか」
とはいえ、もちろん「誰かのオシッコ入り」のプールや海に入るのは、気分が良いわけがない。お風呂も、家族のものといえど、やっぱり嫌だし、「流せば問題ない」と言われても抵抗がある人のほうが多いだろう。

それにしても、なぜ男性ばかりがお風呂でオシッコするのか。そんな疑問に対し、鳥居院長はひと言。

「女性がお風呂でオシッコしないって、ホント? 自分で言わないだけかもしれませんよ」
!! でも、男性は立ったまま用を足すのに対し、女性の場合はわざわざしゃがむ必要があるので、ハードルが1つあがるはず。そこで理性が働くのでは?
「今は座って用を足す男性も増えていますし、女性とかわりないかもしれませんよ」

想像以上に「お風呂でオシッコ族」は多いのかもしれません。
(田幸和歌子)