自動車の運転に関することで、教習所ではほとんど教えてもらえないこと……。それは「燃料の給油」。
特に「給油口の位置」に関しては、初心者だけでなく、ベテランでも慣れていない車だと厄介。給油口はほとんどの場合、車体側後部(後部座席のドアの後ろ)にあるが、車種によって右側(運転席側)にあるか、左側(助手席側)にあるか違う。ガソリンスタンドで「あれ? どっち側だっけ?」と迷ってしまう。
筆者が昔乗っていた車は左側だったが、今乗っている別のメーカーの車は右側だ。

メーカーごとでどちら側か決まっているのかというと、「統一されておりません」(トヨタ自動車)、「右側に統一」(日産自動車)と方針はメーカーによって異なる。ただ、統一しない場合も「生産時の効率の為になるべく同じ側に。
右側の車種と左側の車種とでは、異なる工場で生産」(スズキ)と給油口の位置に無頓着なわけではないようだ。

では、給油口の位置はどのように決定されるのだろうか。
そもそも給油口とマフラーの距離は法規で定められており、給油口の位置は、エンジンやマフラーなど排気系の設計に、文字通り左右される。
トヨタ自動車によると、「給油口は熱を持つマフラーから遠い方が良い」ということで、給油口とマフラーは反対側に配置されることが多いとか。また、「マフラーは歩行者から遠い右側が好ましい(日本は左側通行)」ので、給油口が左側になることが多いとのこと。
また、マフラーが左右両側にある車種も最近は多いが、三菱自動車によると「排気管の反対側に設置」しているとのこと。
これは、車体前部のエンジンの燃焼ガスを最後部のマフラーに送り込む排気管が、中心から左右どちらかに偏って配管されているためだ。

さて、日産自動車は従来「FF車(前輪駆動車)は左、FR車(後輪駆動車)右」であったが、「運転席からの確認し易さなどを考慮し、2002年以降のフルモデルチェンジで各車種順次右側への統一」としているが、他のメーカーも含め、実際のところはどうであろうか。

日本国内販売の乗用車(現行車種)に関して、各メーカーごとに調べた。

◆トヨタ・レクサス:ほとんど左(ランドクルーザー、ラッシュなどは右)。
◆日産:ほとんど右(ティアナ・ムラーノと、軽の4/6が左)。
◆ホンダ:ほとんど左(アクティ、バモス・バモスホビオは右)。

◆マツダ:左が多数派(アクセラ、プレマシー、ビアンテなどは右)。
◆スバル(富士重工):ほとんど右(デックス、サンバーは左)。
◆三菱:左と右の割合は約55対45。
◆スズキ:ほとんど左(5車種だけ右)。
◆ダイハツ:ほとんど左(3車種だけ右)。

◆フォルクスワーゲン(独):すべて右。

◆メルセデス・ベンツ(独):ほぼ右(Vクラスは左)。
◆BMW(独):すべて右。
◆アウディ(独):すべて右。
◆ミニ(英):すべて左。
◆ポルシェ(独):すべて右。
◆ボルボ(スウェーデン):すべて右。

◆プジョー(仏):207は左、308と407は右。
◆フィアット(伊):すべて右。
◆アルファ ロメオ(伊):すべて右。
◆フォード(米):左右混在。
◆ルノー(仏):ほぼ右(カングーは左)。

国産車は左側が多い傾向、日産とスバルはほとんど右側、三菱は半々、ミニは左側(イギリスの助手席側)、ドイツ車などの欧州車はほぼ右側(欧州大陸では助手席側にあたる)のようだ。

つまり、日本で走ってる車の給油口は左右バラバラ。やはり普段乗り慣れた車以外だと、給油口の位置の迷いからは逃れられない。

けど実は、最近の車には、燃料計の給油機マークの隣に三角矢印がついていて、それで給油口の場所が分かるように配慮されている。もちろん、三角矢印が右向きなら運転席側、左向きなら助手席側である。
(もがみ)