町役場・村役場をハシゴした
写真下が、「村役場」名物、「農協サラダ」。すごい“高さ”です。
思うところあって、町役場と村役場をハシゴしてきた。

といっても、何らかの手続きとかがあったわけじゃない。

秋葉原の古い雑居ビルの地下1階に、仲良く並んでいるそれは、「居酒屋町役場」と「居酒屋村役場」だ。

まずそのネーミングが気になる。さらに、「町役場」「村役場」が並んでいることも、気になる……。
どうやらチェーン店らしいのだが、いったいどんなところが「村」で、「町」なのか。実際にハシゴして、味わってみることにした。

最初に訪ねたのは、「村役場」。
広い店内には、10人がけくらいの木の大きな机がいくつかと、座敷席があって、寛げる雰囲気だ。
メニューをチェックすると、日本酒が充実していて、料理も通常メニューだけで130くらいあった。
そのうち、「ザ・村役場」的メニューは、「農協サラダ650円」。300〜400円台のメニューが多いなか、値段も特別感漂うメニュー。頼んでみると、なにやら高く山状に盛られたサラダが登場した。
ガラスのボールの半分は、聳え立つパイナップルと、バナナ、グレープフルーツ。
残り半分には、たっぷりの千キャベツとさつまいも、トマト、ホワイトアスパラガスがあって、素朴ながらに、ど迫力である。

隣の「町役場」とはメニューがどう違うのかと聞くと、外国人の店員のおねえさんが「ちょっと同じだけど、全部じゃない」と説明してくれ、オススメとしてホワイトボードを指差した。
旬の、うどの天ぷらをつまむうち、日本酒も飲みたくなってきたが、町役場行きも残っているので、ここはガマン。瓶ビールのみにして、次の「町役場」へ。

入り口の看板には「町役場で飲むべぇか 2〜3人で飲むのにちょうどいいんでねえがい!!」とあるように、こちらは、4人がけくらいの小さなテーブルが多く、定食屋のような雰囲気である。
やはり外国人の店員のおねえさんに違いを尋ねたところ、奥から男性が「メニュー? 似てるけど、隣とは全然違いますよ。
別の店舗だから」。

メニューを見ると、デザインや書体などはほとんど同じなのに、よく見れば「農協サラダ」がないことと、村にあって町にないメニューが部分的にあるくらいの違いに見え、まるで間違い探しをしているようでもある。
ただし、こちらはランチが充実しているようで、外のホワイトボードには「ロースカツ丼600 鉄火丼650」など、12種が記されていた。

メニューの差こそあまりないものの、雰囲気の違いは、確かに「町」と「村」な気もする。あとは好みの問題だろうか。

いずれも、古くさびれた感じが、地方に行ったときにフラリと寄った居酒屋といった風情で味わい深い。
あ、でも、「村」と「町」はいいとして、「役場」は結局、どこらへんが?
そんなことを考えながらも、自腹でかなり飲んでしまった……。居心地の良い“役場”です。
(田幸和歌子)