「くいだおれ一族」の謎に迫る
(上)一時帰国中? の「くいだおれ楽太郎」。お肌ツヤツヤでどことなくプレイボーイ風?<br>(中・下)365日、毎日店頭で地道にくいだおれをアピールする長男・太郎。世界陸上大阪大会を控え、長男・太郎は日本代表の公式Tシャツ姿に衣替え
先日、レポートした大阪の『ウラ・くいだおれ』の件では、「くいだおれ太郎」のいとこである楽太郎についてのエピソードをお伝えしたが、実はこの他にもくいだおれ人形については「他にも家族がいるらしい」、「実は、同じ人形が100体あるらしい」などの真偽のほどが定かではない逸話がたくさんあって、このさいなので取締役の柿木さんに長年の疑問をぶつけてみることに。

すると、「うちはあくまでも味で勝負している店なので、人形のことばかりが取り上げられるのは本意ではないのですが……」と前置きしたうえで、実はくいだおれ太郎には「くいだおれ次郎」なる弟がいると教えてくれた。

次男が登場したのは平成2年。「バンザイ」をするのが特徴で、普段は人形宿舎で休んでいるが「皇太子ご成婚」や「関西国際空港開通」など、ここぞという時だけ「おれの出番だ」と店頭にしゃしゃり出ては「バンザイ」をするという目立ちたがりキャラ。
365日、毎日店頭に立って地道に「くいだおれ」をアピールする長男・太郎とは違い、なんたる要領のよさでしょうか……。

しかしながら、太郎もマジメ一本槍というわけではなく、平成4年の阪神タイガースの優勝争いの時には川に投げ込まれないよう、あらかじめ浮き輪と水中メガネを装着し、「わて、泳げまへんねん」と道ゆく人にアピールするお茶目な一面も。
しかも、この太郎は関空開通の際にアンセット・オーストラリア空港×ルックJTBとのタイアップキャンペーンで、関空一番機にのってオーストラリアへ旅した経験もあるのだそうでビックリ。

さらに、太郎は8月25日より大阪ではじまる『世界陸上』にて宝塚の女優さん20名と共に開会式を盛り上げるという大役も任されているとか(その日はいつもの店頭から太郎の姿が消えるはずだそうなので、地元の方はぜひくいだおれ本店の店頭に注目してみてくださいまし)。
さすが長男、やるときゃやります。

ちなみに、「同じ人形が100体ある」というのはまったくのデマだそう。よ〜く見るとくいだおれ人形ってちゃんと目玉があって、口が動くようになっていたりとすごく手が込んでいるので、確かにそんなに量産できるものではなさそうだ。柿木さんによると、この人形をつくることができる職人さんもいなくなりつつあるそうで残念な限り。

さらに驚いたことに、くいだおれ一族にはかつて兄弟の「親父」もいたらしい。創業時の看板人形で、片手でお盆の上にビールをのせてくるくる回転するのが特徴。
太郎や次郎のようなチンドン屋スタイルではなく、そば屋のような格好をした人形だったとか。ところが本物のビールを持っていたため、まわるたびにビールがお客にかかり、それが不評ですぐに引退してしまったという(泣!)。最後に、これまでの話をまとめると、

「くいだおれ太郎」……長男。くいおだれ本店の店頭に毎日いる
「くいだおれ次郎」……次男。「バンザイ」が得意で、国民的行事や大阪のお祝いごとの時だけ登場
「くいだおれ楽太郎」……兄弟のいとこ。洋行帰りで、「ウラ・くいだおれ」のマスコット的存在。

「くいだおれの親父」……創業当時の伝説キャラ。不評のため、闇に葬り去られる

ということでした。ここまできたら、「くいだおれのおふくろ」をメインキャラに“おふくろの味”をウリにした割烹かお弁当屋さんなどもつくってほしい……と、ひそかに妄想してしまった私でした。
(野崎 泉)

大阪名物くいだおれHP
ウラ・くいだおれHP