ちっちゃ! マイクロトマト
上/「あかいスライムがあらわれた あかいキングスライムがあらわれた」なわけではありませんが。普通の「桃太郎トマト」が、ありえないぐらいビッグサイズなトマトに見えてしまう。中/こんな感じに、ぶらさがっています。下/約6分の1サイズのジャクソンさんのドールの手に持たせてみたら、ちょうどいい大きさのトマトに見える。「ポー!」
「ちっちゃ!」
京都・錦市場の青果店で、思わずつっこんだ。とにかく、ちっちゃいのである、トマトが。
脇に「世界最小」とか書いてあるし。

「ちっちゃいトマト」なら、ミニトマト(プチトマト)が昔からあるが、「マイクロトマト」というこのトマト、それどころじゃなく、ちっちゃい。直径は1センチに満たず、細い枝にいくつもぶらさがっているさまは、ブドウかなにかみたい。

なんでこんなにちっちゃいのか。新種だとしたら、どうやって開発したのか。
マイクロトマトを出荷している愛知県の三河温室園芸組合にたずねてみたところ、
「いつの間にか、なっとったんですよ」
風で種が飛んできたのかもとも言っていたが、気づいたらちっちゃいトマトが「できていた」らしい。

それで、「見とったら、面白いんでねえ」とのことで、生産して商品にすることになっていったらしい。

市場に出回るようになったのは、昨年後半のこと。
「糖度なんかは、普通のトマトより高いんじゃないですかねえ」
と組合ではいうが、口にしてみると、こんなにちっちゃいのに、酸味と甘みがしっかり主張している。1粒でちゃんと、「トマトを食べてる」という感じがする。

おすすめの食べ方をたずねると、
「私どもでも、これで、というところまでまだいってないんです。それぞれのお客さんに、おまかせというか(笑)。
レストランなんかでは、サラダの上にのせたり、料理にちょっと添えたりとかで食べられとるようですが」

そもそもこのマイクロトマト、品種的にはどうなのか。トマトやミニトマトとの“血のつながり”みたいなものは、どの程度あるのだろうか。
「それもまだ、よくわかっとらんのですよ。ルーツをたどっとるんだけどね」

どこからきたのか、何者なのか。食べ方はどうすればいいのか。
いろいろ「正解」がまだ見つからない存在のちっちゃいトマト。

謎は多いが、なかなかうまいことと、見た目がカワイイことだけは、確かだな。
(太田サトル)