全話欠かさず見ていた熱心な視聴者からしたら、青天の霹靂だったに違いありません。

9月17日。
福士蒼汰と川口春奈が共演したドラマ『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)の最終回で、まさかの告知がされました。

“本当の完結編”はHuluで

なんと、地上波で放送された最終回で終わらず、“本当の完結編”はインターネット動画配信サービスのHuluじゃないと見られないというのです。
「これではHuluのPRドラマではないか」ネット上ではそんな批判も飛び交いました。(後に日テレは「Hulu版はあくまでも"番外編"であり、誤解を招いたと釈明)

さて、「完結編の別売り」で思い出されるのが、1992年にフジテレビで製作された作品『パ★テ★オ』です。「ドラマと映画の連動型企画」として立ち上げられた同作は当時、大いに期待されたものです。


近年増加するドラマと映画のメディアミックス


昨今、テレビドラマと劇場映画のメディアミックス展開は、決して珍しいものではなくなっています。
特によくあるのが、ドラマの続編を劇場で公開するパターン。最近だと、『THE LAST COP/ラストコップ』(日テレ)や『信長協奏曲』(フジテレビ)などが、その形式に則って展開されました。

いずれもドラマはドラマ、映画は映画でそれぞれ独立した完結型のストーリーになっているのが特徴。ゆえに、「続きが気になるから、観に行かなくちゃ…」などという強制感はありません。

ドラマと映画が連動していた『パ★テ★オ』


しかし、『パ★テ★オ』は違いました。同作は完全なるドラマと映画の連動型。PART1とPART2を2時間のドラマ枠『金曜ドラマシアター』で放送し、完結編となるPART3を劇場公開するという手法を取っていたのです。


ストーリーは謎の秘宝「パテオ」を巡るサスペンスもの。突如姿をくらました婚約者(保坂尚輝)と彼の居場所の鍵を握る「パテオの赤いバラ」なる幻の宝石を探すべく、フィアンセ(菊池桃子)と彼女の古くからの友人(加勢大周)が、同じくパテオを狙うマフィアや政府に追われながら、世界中を旅する話になっていました。

「最後は劇場で会おう!」と言ったが……


オーストラリア・香港・タイ・インドネシアを股にかける壮大なスケール感に、マフィアや国家までも絡む、謎が謎を呼ぶ展開。いったい「パテオ」と何なのか……?
と、良いところでドラマ版は終了。「最後は劇場で会おう!」と、映画館へ誘導する文句と共にテレビ放送は〆られています。

が、劇場まで会いに来た人はあまりいませんでした。
というのも、鳴り物入りで放送されたドラマ版は、PART1からPART2にかけて視聴率がだだ下がり。
当然、PART3の動員数も伸び悩んだというわけです。ちなみに「パテオ」の正体は、かなり肩透かしなモノとなっていました。

あれから25年。インターネット技術の進歩により、映画館へ行ってチケット代を払う必要もなく、自宅にいながらクリック一つで“完結編”が見られるようになったことを考えれば、かなり便利になったともいえるのではないでしょうか。
(こじへい)

※文中の画像はamazonよりパ★テ★オ〈劇場版〉 [VHS]