1990年代、“超魔術師”として人気だったMr.マリック。仕事の方は順調そのものであったが、忙しさのあまり家庭をかえりみず、崩壊してしまったことを今年放送の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』で本人が明かした。


大ブレイクしたMr.マリック


Mr.マリック(本名:松尾昭)はサラリーマン時代から趣味でマジックに没頭。それが高じて転職し、マジック用品の店頭販売を始めた。
やがて海外のマジックコンテストで日本人として初めて優勝し、日本の一流ホテルのラウンジでショーを行うようになった。その頃にテレビ局のディレクターと出会ったことが、メディア進出へのきっかけとなった。

Mr.マリックがテレビ番組に出始めた1980年代後半から1990年代というと、オカルト・超能力ブームの時代。観客の目の前でまるで魔法のようにマジックを披露するMr.マリックの芸も“超魔術”と称され、大ブレイクを果たした。

娘の誕生日も分からない状態だった


もともと凝り性で職人気質というマリック。人気が出た後もさらに一流の“超魔術師”となるべく、努力を怠らなかった。

そのため、家にいる時も考えていることは常にマジックのことばかり。家族とほぼ会話をすることなく、自宅でも舞台衣装のまま生活していたという。

マリックは「金を稼いでいれば家庭はまったく問題ない」と考えており、子育てはすべて妻任せ。なんと娘・LUNAの誕生日さえも分からない状態だった。

こうした父の姿を幼いながらに見ていた一人娘のLUNAは、その異様な雰囲気に嫌悪感を抱き、いつしか父親に話しかけることさえしなくなった……。

グレた娘……家庭は崩壊


LUNAは父がマリックであるために、「スプーン曲げてみせて」などと学校で弄られ、かなりのストレスを抱いていた。
こうしたことも影響し、グレてしまった彼女は、中学校を退学になってしまう。
(通っていたのが私立中学だったため、義務教育でも退学制度があった)。

そして、マリックの仕事も超魔術ブームが下火となったことで激減。娘はグレたままで父と口をきこうともしない。さらに子育てのすべてを抱え込んでいた妻は飽和状態。マリック自身もストレスで顔面麻痺を発症した。

家庭が崩壊し、初めてマリックのなかに家庭と向き合う意識が芽生えた。


決意を新たにしたマリックと娘


一念発起したマリックは、まず荒れる娘の更正を図ろうと覚悟を決める。ある日、「やりたいことがある」と語るにも関わらず、家でダラダラしているLUNAを見かねて、「ダラダラしてないで何か夢を見つけろ!」と初めて怒鳴ったというマリック。

初めて叱られたLUNAは決意を新たにし、“歌の世界で生きていく”事を決意。現在ではヒップホップ・R&B歌手として精力的にライブ活動を展開している。
そしてマリックのほうも、現在も様々なライブイベントやショー、テレビに出演し、精力的に“超魔術師”としての活動を続けている。
(せんじゅかける)

※文中の画像はamazonより日用品だけでできるMr.マリックはじめての超魔術