2016年末に突如として現れ、NHK紅白歌合戦にも出場するほど(しかもかなりオイシイ立ち位置で!)、歌手としても芸人としても大ブレイクを果たした「ピコ太郎」。その人気は、一時よりは落ち着いたかに見えるものの、まだまだ留まることはなさそうだ。

誰も予想だにしなかったピコ太郎の快進撃は、全世界に配信される動画サイトYouTubeの特性を活かしたものでもあり、今の時代らしい現象といえるかもしれない。

しかし、過去にも強烈なキャラクターでブレイクし、歌手デビューした芸人がいた。
その中でも忘れられない存在が「ゴリエ」だ。

『ワンナイ』が生んだゴリエ


ゴリエとは、その名の通り、ガレッジセールのゴリが扮するキャラクター。ガタイのいい体型に、派手なギャル風(当時の)メイク、金髪ツインテール、カラフルなチアダンス衣装……。
破壊力ありすぎなこのキャラは、今はなきテレビ番組『ワンナイR&R』(フジテレビ系)の中で生まれた。雨上がり決死隊、DonDokoDon、ガレッジセール、ペナルティ、小池栄子がレギュラー出演するこのコント・バラエティ番組は、大人気でありながら「親が子供に見せたくない番組」ランキングの常連。


その番組の中で、2002年2月の初登場の時点では「ワンナイ学園」のコギャル女子中学生という設定だったゴリエだが、のちにコントのタイトルが「もんじゃろ学園物語」となった2005年11月より「教師」に着任。
そんなゴリエのフルネームは「松浦ゴリエ」とされているのだが、当時一世を風靡していたアイドル松浦亜弥はその妹というとんでもない設定が。その「あやや」も実際に妹役としてコントに出演することもあったのだから自由すぎる。
ゴリエのコギャル風メイクはどことなく松浦亜弥を意識したようでもあり、女装してあややのモノマネをしていた故・前田健を彷彿とさせる。

オリコン1位を記録した『Mickey』


2004年にリリースされたファーストシングル『Mickey』はチアダンスの振り付けとともに大ヒットし、オリコン最高1位を獲得。翌年のセカンドシングル『Pecori Night』もオリコン最高3位というヒットを飛ばした。
ゴリエの口癖「ペコリ。」「ヨロコビ〜。」「カナシミ〜。」などは、当時の10代女子を中心にちょっとした流行語になった。


2005年以降ゴリエの人気は加熱し、女性ファッション誌『Cancam』(小学館)の専属モデルに就任するという、異色の存在に。ちなみにゴリエは2003年にすでに『Popteen』(角川春樹事務所)の専属モデルに就任しているのだが、2003年から2005年の間にキャラクターが「コギャル」から「教師」へと変化していることにあわせて、「ギャル雑誌」から「きれいなお姉さん雑誌」へと、活動の場の変化も意識していたのだろう。

紅組として紅白出場も!


こうして多方面で人気者となったゴリエは、2005年末の『第56回NHK紅白歌合戦』にも出演。女装キャラであるゴリエが紅組に出場することには、賛否両論があったが、とにもかくにも「ワンナイ」番組内のキャラを超えた一種のアイコンであったことは間違いない。
ちなみに、2006年には当時の環境大臣・小池百合子(現東京都知事)から「チーム・マイナス6%応援団長」(チーム555)に任命されている……。

ゴリエとCD売り上げを競ったくず


「ワンナイ」から生まれた人気コントキャラとして忘れてはいけないのが、「くず」だろう。
山口智充・宮迫博之扮するこのデュオは、明らかに「ゆず」のパロディなのだが、2001年にシングル「ムーンライト」でデビューして以来、アーティストとしてもヒット。

2003年にリリースされた「くずアルバム」には、GLAYや宇多田ヒカルも参加するという豪華っぷりだ。
2005年には、ゴリエのシングル「Pecori Night」とバッティングする形でシングル「その手で夢をつかみとれ!」をリリースし、売り上げを競ったが、くずはオリコン初登場8位にとどまり、ゴリエの勝利となった。

ゴリエがヒットした当時といえば、ガレッジセールのゴリはNHKの人気朝ドラ「ちゅらさん」シリーズにレギュラー出演していた頃。ゴリエが大好きだという設定もあった相方・川田広樹も、芸人としてだけでなく俳優としても活躍していた。
最近はテレビで見ることも以前よりは少なくなってきたが、ゴリエ復活を待ち望んでいる人もいるのではないだろうか?
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonよりMickey