月にあって太陽にない、砂浜にあって海面にない。これなんだ?

「あるなしクイズ」「マジカルバナナ」などで90年代を代表するバラエティとなった日本テレビ『マジカル頭脳パワー!!』。
平均視聴率は20%〜25%、最高視聴率は31.6%(関東地区)、瞬間最高視聴率では40%を記録したこともあるオバケ番組である。

【クイズからゲームへのシフト】


「あるなしクイズ」「マジカルシャウト」「エラーを探せ!」など人気クイズを次々と世に送り出した『マジカル頭脳パワー!!』。回答者のバランスもよく、所ジョージのひらめきの凄さ、俵孝太郎の往生際の悪さ、間寛平の強烈なボケなど番組を盛り上げた。(所ジョージがTBS『世界ふしぎ発見!』からスーパーひとし君を持ってきたこともあった)

マジカル全盛期に流行したのが「マジカルバナナ」。「♪マジカルバナナ、バナナと言ったら〜」と連想するものを次々にリレーして答える形式で、テンポが悪いと「リズムに乗ってない!アウト!」と板東英二のさじ加減ひとつで失格になることもあった。マジカルバナナが成功した辺りから「マジカル伝言バトル」など、クイズからゲームへと番組がシフトしていく。
『マジカル頭脳パワー!!』のクイズは特別な知識を必要としない「ひらめき型」のものだったので、視聴者もテレビの前で参加できた。
対してゲームは、テレビの中の芸能人が奮闘する様子を見るだけになる。マジカル全盛期はクイズとゲームのバランスがちょうどよく、後期はゲームに重きが置かれるようになって衰退していった感がある。

番組開始当初は、なぞなぞや「仲谷昇探偵事務所」のガチな推理クイズがあり、視聴者からも問題を募集していた。
番組で問題が採用されると、賞品として「番組特製・時価10万円相当の純銀のパズル」がもらえた。正方形をいくつかのパーツに切り分けた「タングラム」というパズルで、銀色に光り輝いていた。
実はこの純銀のパズル、高校時代に僕の友人がもらっているんです。



【「純銀のパズル」は本当に純銀なのか?】


ある日、ぼんやりと『マジカル頭脳パワー!!』を見ていたら、「この問題は宮城県のAくん(仮)からいただきました」と板東英二が友人の名前を読み上げて、ビックリしたのを覚えている。
翌日、学校で聞いてみると確かに本人とのこと。すごい。マジカルで問題が採用されるなんて本当にすごい。あの純銀のパズルがもらえるなんて。

で、どうしても気になっていたことを確かめたくなった。
「純銀のパズルは本当に純銀なのか?」ということ。
「時価10万円相当」なんて言ってるけど本当だろうか。純銀なんて言って銀メッキなんじゃないか。ケンちゃんラーメンだっていつまで経っても「新発売」だ。大人にはダマされない。

しかしどうやって純銀であることを確かめればいいのか。
まさか削り取るわけにもいかない。そこで協力してもらったのが科学部だった。方法は簡単。純銀のパズルの重さと体積を測る。密度が判れば銀かどうか判別できるというわけだ。削り取って成分を調べるほど厳密ではないが、大体のことがわかればいいのである。

後日、学校に持ち込まれた純銀のパズル。本物だ。ケースには「マジカル頭脳パワー!!」の刻印も押されている。パズル一片の重さを測り、メスシリンダーで体積を測る。果たして鑑定の結果は……。

科学部曰く「銀っちゃ銀」だった。

確かに密度は銀を示しており、銀メッキで中は別モノ、ということはない。ただ、純銀かと言われると微妙。銀は酸化しやすいので、酸化物がついてしまっているかもしれない。とのことだった。
そういえば銀食器は手入れが大変だと聞いたことがある。空気に触れると黒ずんでしまうのだ。当時全国に送付された純銀のパズルも、いまごろ表面が真っ黒になっていないだろうか。どうかご家庭に純銀のパズルがある方はご確認いただきたい。

ちなみに、冒頭のあるなしクイズの答えは「足跡」。Aくんが作った問題でした。
(井上マサキ)
「マジカル頭脳パワー!! PARTY SELECTION」