中国では昨年、エビにゼラチンを注入し販売していた業者が摘発されていたが、こんどはベトナムでエビをより大きく見せるために増粘安定剤「カルボキシメチルセルロース(CMC)」を注入している実態が明らかになった。工場内で撮影された映像はSNSで拡散し、消費者からは怒りと不安の声があがっている。


問題のビデオは今年初め、ベトナムのテレビ局が国内のあるエビ加工工場を撮影したものだというが、その内容はかなり衝撃的だ。

映像では、工場で働く従業員がまだ生きているクルマエビを手に取ると頭部、胸部、腹部に手際よく針を刺し、どろっとした透明の液体を次々と注入していく。

英メディア『thesun.co.uk』によると、注入されているのは粘度が高い「カルボキシメチルセルロース(CMC)」という物質で、糊剤、増粘安定剤、乳化分散安定剤、保護コロイド剤などとしてアイスクリームの他、歯磨剤、下剤、水性インク、界面活性剤に至るまで幅広く使用されている。植物繊維の成分であるセルロースを主原料にして製造されたもので、毒性はなく水にも溶けるという。

このCMCを注入すると、1キロのエビが1.15キロから1.2キロになり生産者の儲けはアップする。エビは大きく膨らむだけでなく、より新鮮に見えるそうだ。


しかし工場ぐるみの食品偽装行為に対し、SNSでは「食品に使用されているものを使っているからって安心とはいえない。工場ぐるみで大胆。高く売れるからといってこういった手段をとるのは恥ずかしい。消費者を見くびった行為だ」といった怒りや懸念の声があがっている。

「海洋保全協会(Marine Conservation Society)」によると、世界で消費されているクルマエビの70%は養殖で、そのうちの99%は発展途上国から輸出されるという。しかし養殖場の環境は高密度で劣悪な場合が多く、化学飼料や抗生物質が混ざった水が排出されることにより、周辺では深刻な水質汚染が報告されている。
また生産されるエビは薬漬けで危険であるという実態もかなり前から指摘されている。

日本は世界でも1、2位を争うエビの消費国だ。てんぷらに寿司、グラタンやパスタまでエビを使った料理をあげればきりがない。しかしこのように儲け第一主義で生産されているエビに対し、消費者がノーを突きつける日もそう遠くはないかもしれない。

出典:https://www.thesun.co.uk
(TechinsightJapan編集部 A.C.)