ハンバーガーチェーンのマクドナルドが、上場以降で最大の赤字と伝えられ、今年1~9月期連結決算では最終損益が292億円もの赤字(前年同期75億円の赤字)となった。一般的には昨年7月の使用期限切れの鶏肉を使っていた問題と、今年1月の異物混入問題で家族連れの客離れが進んだことが響いたと解説されているが、飲食業界に詳しい業界コンサルタントからは「マックの凋落は今に始まったことではない。

根本的な問題がある」という意見も聞かれる。

 実際、ネット上で見ても「マックに行かなくなった」という声が増えていたのは5年以上前からのことで、前述の不祥事はそのダメ押しとなる形にも見える。

 コンサルタントによれば、凋落のきっかけは、なんと「テイクアウトしても、手提げ袋をくれなくなった」という不満から始まったという。2008年にマクドナルドがレジ袋全廃した際、たしかに客からの不満の声が噴出していた。以降、サービスに関する批判が定期的に聞かれるようになり、12年にはレジカウンター上にあったメニューの撤廃にも批判が渦巻いた。その後の「100円メニュー」終了ではメディアからも「迷走」と書かれる始末で、今年に至ってはランチタイムの割引販売「昼マック」の廃止もやり玉に挙げられた。
「昼マック」は昨年10月からの歴史の浅い企画だったにもかかわらず、だ。

「こうして振り返ればわかるとおり、習慣的に利用していた人々がマクドナルド側の変化によって足が遠のいているんです」とコンサルタント。

 そこで都内某所のマクドナルド前、店をチラッと見ながらも通り過ぎた人に「なぜ店に入らなかったんですか」と聞いてみることにした。11月上旬、約50名に質問したところ、前述のサービス変化を上げる人が多く、不祥事に関しては3割程度だった。ほかにも聞かれたのはこんな声だ。

「ポテトの量が減ったので行かなくなった」

 実は4年前ほど前から、マクドナルドではフライドポテトで各サイズに定められた規定量より実際の商品が少ないという声が上がっていた。
たとえばMサイズだと135グラムと記載されているが、この日に実際に購入してみると126グラムだった。購入者からは「ひどいときは110グラムしかなかった」という怒りの声も聞かれる。

 また、「前に入ったとき店内が汚れてて、それからイメージ的に行かなくなった」という若い女性や、「コンビニのコーヒーの質が上がったからマックには足を運ばなくなった」というサラリーマン風の男性もいたが、これらはサービス面への不満ではなく、品質や信頼が問われた問題だ。

「もともとファーストフードは手軽さが売りだったわけですが、そもそも値段は決して安くはないマクドナルドには、ブランド力があったんです。それが一時的に激安商戦に参入したため、商品自体が安っぽく感じられるようになってしまった。結果として、値段が高いと割高に感じ、安くても信頼の低下が『何かあるんじゃないか』と不安に思わせるようになってしまった印象です。
期限切れ食材や異物混入はその不安にお墨付きを与えてしまったもので、ブランドイメージの回復は容易ではないと思います」(コンサルタント)

 マクドナルドはドコモの決済サービスを利用するとポイント付帯で割引となる新サービスを導入し巻き返しを図るが、問題の根が深そうなマック離れだけに、根本的な解決となるのか不安視される。
(文=片岡亮)