嵐・櫻井翔の父親・俊氏が総務省トップ・事務次官の就任することは本サイトでも既にお伝えしたが、多くの週刊誌や夕刊紙でもこの話題が取り上げられ始めた。

 例えば「週刊文春」(文藝春秋)7月30日号では、「『息子の頼むワインは違う』桜井新次官の息子翔自慢」と題し、俊氏が総務省にとって"待望の次官"であり、また人柄も気さくで、飲み会では息子の自慢話を周囲にしていることを報じている。



「『息子から直島の旅行をプレゼントしてもらった』と嬉しそうに話していました。ワインをよく飲みますが、『息子が頼むワインは違うんだ』とも」(同誌より)

 また、「アサ芸 plus」は翔パパが退官したら父子で番組を持つのではないか、「東スポ」では櫻井翔がキャスターを務める『NEWS ZERO』(日本テレビ系)に"次官就任親子対談"が実現する、といった憶測記事まで登場している。

 しかし、今回の翔パパの事務次官就任はそんなふうにノーテンキにはしゃいでいられる話ではけっしてない。

 総務省はテレビ局の電波免許を所轄する官庁だ。特に安倍政権発足後はテレビ局への圧力の省庁として機能している。 NHK『クローズアップ現代』のやらせ問題の際、高市早苗総務相が異例といえる厳重注意を行っただけでなく、行政指導文書を出したことなどはその最たる例だ。


 そして、櫻井俊氏の新次官就任は安倍政権によるさらなる報道圧力強化の布石だと指摘されているのだ。

 俊氏は自民党、特に安倍政権にべったりの官僚として知られている。菅義偉官房長官や安倍首相の親衛隊であり、総務族の世耕弘成議員とはNTT分割以来の盟友関係。俊氏は安倍政権が発足するや、菅官房長官の肝いりでナンバー2の審議官に抜擢されている。そして今回の次官就任も菅官房長官の意向が大きく働いた。

「実は俊氏の次官就任は昨年の予定だったのですが、しかし菅官房長官が翌15年まで次官就任を延期させたと言われている。
15年は安保法制や原発再稼働など、国民の反発を買う政策が控えており、さらなる報道への締め付けが必要。その先兵として俊氏に役割を果たさせるためです」(総務省関係者)

 この人事に関し、菅官房長官は息子・翔の存在も考慮したと言われている。総務省次官として俊氏がテレビ局支配を強めると同時に、テレビ局にとって"絶対的タブー"のジャニーズをも利用しようというものだ。テレビ局を「所管の総務省」と「ジャニーズ」という"二重のタブー"に縛り、総務省批判、安倍政権批判、官僚批判を封じることがより容易になる。テレビ局も自主規制をさらに強化する。

 さらに出版メディアも"ジャニーズタブー"から、トップアイドル櫻井翔の父親の批判をして、機嫌を損ねたら一大事とばかりに過剰な自粛を行う──。


 まさかそこまで、と思うかもしれないが、実際、メディアの自主規制は既にスタートしている空気さえある。冒頭で紹介したように俊氏の事務次官を伝える報道は「エリート一族」「総務省待望の次官」「気さくな人柄」など櫻井親子に対して好意的であり、かつて俊氏が自民党総務族と共謀し、民主党政権が進めた「電波オークション」の規制緩和を潰した"過去"については一切触れていない。

 また、俊氏はかなりの権力欲の持ち主で、子どもの存在を平気で利用できるタイプの官僚だという。たとえば、櫻井の妹は2009年に日本テレビに入社。報道局で検察や国税庁の担当記者をしているのは有名な話だが、これも俊氏が動いた結果といわれている。

「櫻井の妹の入社は当初、翔のコネじゃないかといわれていましたが、実際はお父さんのほうから日本テレビの幹部に話があったようです。
報道局に配属になったのも、将来のことを考えて頼み込んだらしい」(日本テレビ関係者)

 総務省内では、将来、俊氏が自民党から選挙に出馬し、息子や娘に全面応援させるのではないかという見方さえ流れている。

 いずれにしても、テレビメディアを牛耳る総務省トップとマスコミタブーのジャニーズ王国トップアイドルによる最強コンビの動向には十分注意を払う必要がありそうだ。
(田部祥太)