経産省から日本絶賛本が登場「世界が驚くニッポン!」
コンセプトブック「世界が驚くニッポン!」

2020年の東京オリンピックに向けて各地で様々な取り組みが行われているなか、経済産業省は日本の「感性」や「価値観」を世界に向けて発信するためのコンセプトブック「世界が驚くニッポン!」を2017年3月8日に発表した。これがあまりに自画自賛の内容であるとして、SNSでは批判的な意見が続出している。


日本の自然が日本人をオンリーワンに?


「あなたは日本がこんなにも注目されていることを知っていますか?」という言葉で始まるこの資料の第1特集「世界は、日本に驚いている!」では、外国人の日本に対する絶賛コメントが並ぶ。

「外国人旅行者に対してオープンで親切。しかもその見返りを求めない」(フランス)
「毎日使っている食器に神が宿るという考え方に驚いた」(イギリス)
「寿司も和食もラーメンも、食べ物の盛り付け方がとにかく美しい」(インドネシア)

中では職人よる工芸品を紹介しているほか、「日本人らしさとは、自然観にあり」というキャッチフレーズのもと、日本人の美意識や身体感覚など、精神性な事柄についても特集。日本の四季を取り上げている。「擬音語の多さにも、その自然観は表れている」「日本人の価値観のベースに自然がある。その独特の感性が、日本人を“オンリーワン”にしている」といった具合だ。

これでもかと日本をゴリ推ししまくりの内容に対してネットでは、「自らをクールって自慢するのは日本らしくなくてカッコ悪い…」「こういう事をやり出すと日本ってやっぱり下り坂なんだなって分かるな」とかなり辛辣な声が多く上がっている。


日本語話者は脳の構造も違う?


さらに、中には「これってホントなの?」と疑ってしまいたくなるような内容も。「『外なる自然』と『内なる自然』が日本人のコンセプト」というテーマの特集では、日本語に擬態語や擬音語が多く存在する理由を次のように解説。「これは世界でも類を見ないほど母音を多く使う言語である日本語を話すことで、自然界の音を、まるで言語を聞くかのように処理する脳構造になっているからだ。たとえば『虫の音』を音楽や機械音、雑音などと同じように右脳で聴く外国人に対し、日本語話者は左脳で聞く」と書かれている。

これにはSNSなどで「虫の声が日本人以外には雑音にしか聞こえないって、経済産業省が出してる資料でそんなこと言ってるのか」「ただの神経神話にしか思えない。これを世界に発信するのはマズイでしょ」という声が上がった。
東京医科歯科大学名誉教授の角田忠信氏によるものを下敷きにしているようだが、科学的根拠については疑問の声もある。

今後この資料は、在京大使館、政府・政府関係機関、地方自治体、企業関係者などに広く発信し、電子書籍として無償配付することも検討しているという。