「ゴロー ガ、ツカマッタ?」

敵に捉えられた稲垣吾郎。「あんた、おかしいよ」敵を睨みつける稲垣、歯向かうも椅子にしばりつけられたまま殴られ、口元には血がにじんでいる。

ゴローちゃんが捕まった知らせを受け、助けにきた4人。敵から銃を向けられると、SMAPも負けじと銃を構える。中居くんがぷっと噛んでいたガムを吐き出すと、それが合図のように、木村から順に両手を大きく広げてビルの屋上から羽ばたく……。
SMAPのDVD年末までに全部レビューその12。中居「激しく踊ってないと小さくみえちゃう」
稲垣「来年もまた屋外で!」、香取「また来年の夏にお会いしましょ」メンバー直々に来年の約束を伝えていたのが感動的。

「SMAP 1999 TOUR "BIRDMAN"」


『LIVE BIRDMAN』は1999年7月からスタートしたツアーで、9月の横浜スタジアムファイナル公演が収録されている。VHSは1999年12月22日、DVDは2000年1月1日発売。

『Fly』のMVからはじまった「SMAP1999 TOUR "BIRDMAN"」。映像が終わると、大きなバイク2台に先導されて、赤いオープンカーに乗ったSMAPが登場。
5人は正面を向いて横一列に並んで銃を構える――。映像の続きをみているようなシーンが続く。演出や編集が施されたMVはもちろん、ステージ上で見る姿だってカッコイイ。
再生して3分、まだ一言も発していない。黒いスーツ姿でネクタイをきゅっと締めた5人が並ぶ。中居が、被っていたハットを投げると宙を舞って、まるで映画のワンシーンのよう。
SMAPは全員、演技もできるのだ。
木村がサングラスを外して投げると『Fly』がスタート。『idea』の間奏で木村から順に挨拶をした。
「今日は最後だからさ、そうなんです、もりあがるんですよ!!」木村のテンションが高い! 稲垣、草なぎ、香取とマイクをつないで最後は中居。
「イエァァァー! みんな楽しいか? 幸せか? SMAPに会えて嬉しいか?」
静かな始まりも、気づけばボルテージがあがっている。中居の煽りに会場も勢い良く声をぶつけていく。
SMAPに会いたい!!

『朝日を見に行こうよ』では一部をファンに託したのだけど、それがものすごい声量で。そのあとも、口ずさむファンの姿が映って、スローテンポのリズムに合わせて会場全体を愛おしそうに見つめているメンバー。

『Stayin’Alive』からソウルナンバーが続いた。「せーのっ!」でスタートした『ジンギスカン』は、花道に縦一列に並んだメンバーがセンターステージへ移動。途中で曲を止めてC&R(コールアンドレスポンス)。
「一発目!!」木村の合図でSMAPが「ウーッ」と言えばファンが「ハーッ!」と返す。
「男もやれよ!“俺は彼女に誘われてきただけだ”って顔すんなよ」厳しい指導の慎吾ちゃん。それを見て笑ってしまうゴローちゃん。会場のおじさまも苦笑い。
『SHAKE』の合間は、木村と草なぎが肩を組んで歌い、スマスマのキャラ、ホストのヒカルもいた? カメラを向けられるとピースサインの中居くん。「ケンカしたり〜」の歌詞に合わせて慎吾ちゃんがゴローちゃんのお尻を軽く蹴ったかと思えば、ゴローちゃんのお尻を撫でてる、この二人のツンデレ感ったら……。戻して何度も見たくなるほど、細かい芸が詰まっている。


「4月の23?24?秋田からはじまりました、SMAPのライブ。もう一年に一度という形でしかみなさんにはお会いできませんが、今回はBIRDMANと題しまして、今日、今日ですね、9月の26日を持ちましてこの横浜のライブを……」
中居がコメントしている最中に、香取がくしゃみをする。ああ、やっちゃった(笑)
「おい!ちょっと待てよ」中居くんに突っ込まれると「ごめんなさい」とすかさず謝る香取。マイクを外せと指導を受けるついでに髪型をいじられてしまう。
全体的に長めに伸ばした髪にパーマをかけた香取。
「それは、どこに向かってるの?髪は…」、「それはどこのおばさんをイメージしてるの?」
中居くんにいじられて拗ねた慎吾ちゃん、それをニヤニヤしながらみつめるつよぽん。
髪型問題はファン投票、そしてゴローちゃんへと飛び火。さらに、木村もパーマをかけていたので、香取が見方だといわんばかりに近づいていく。草なぎ色白すぎ問題と、トークは二転三転していく。

札幌公演ではステージの真上に虹


1999年7月31日。札幌公演の非公開リハーサル、ライブのレポートがあった。
(JUNON/1999年10月)
発券されるかどうか分からない当日券を求めて、雨の中朝からファンが並んでいたこと、機材を運ぶBRIDMANトラックが8台あったこと、当時の人気を感じる様子が記されている。リハーサルでは「滑りやすくなっているから注意するように」とアナウンス。そんな花道のスロープを滑るようにして移動する木村に、そのあとに続く“しんつよ”。『サタスマ』のキャラクタースマッペちゃんが陣中見舞いにきていた。
霧雨の中行われたリハーサル。しかし、開演前に一瞬雨が止みステージの真上には小さな虹が出現したとある。2014年の『FNS27時間テレビ』のライブでも直前で雨があがったことを思い出す。

札幌公演の2日間はあいにくの雨。中居くんはちょっと予定変更を余儀なくされたよう。
「雨降ったほうが結果的に僕らにとってもお客さんにとっても、印象に残るライヴになるからね。悪いばっかじゃないよ。ただ、踊れないっていうのはねー、ツラかった(苦笑)僕はほかのメンバーよりカラダがちっちゃいんで、とりあえず激しく踊ってないと、ホントにちっちゃく見えちゃうんだよ。だからいつも動きで一生懸命目立つようにやってるんだけど、今回それができなかったから」(JUNON/1999年10月号)

滑るステージで激しい踊ることができないと、中居は秘かに策を練っていた。
「左右に動くとツルッといくから、上下に力強く動くという。まあ、それやってもスベるものはスベるんだけどね」

1999年、森くんA級昇格


1997年7月、オートレーサーに転向した森且行も奮闘していた。
1999年10月、ランキングもA級に昇格! それも同期5人中2番目、川口オートの全92選手中16位という好成績をおさめていた。
残念なことに、このインタビューの半年前の報道では、“いじめが原因で引退”という誤報が流れた。
「みんな大人ですから、いじめはないですよ。でも、昔からそうですよね。悪い時に話題にされて、いい時には全然取り上げませんからね」
(プレイボーイ/1999年10月12日号)
「昨年の2月に入籍しました。息子は1歳2ヶ月です。最近、歩き始めたんですよ」
レースがはじまったら宿舎に缶詰の生活を送り、休みの日も疲れをとるために家で寝たり子供と遊んだりと、家庭を築きながらレース中心の生活を送っていた。

中居「1年のうち半分くらいは、ライヴのことを考えてる」


今回のステージ構成に大きく関わった中居。ベースを組み立てて、細かいところはメンバーの意見を聞きながら構成した。
メドレーを組みやすくなるからと、アルバム制作段階からラップやポップスなど、色んなジャンルを入れてもらうようにリクエスト。また前年を省みて、ダンスメドレーを増やした。

「去年はダンスメドレーみたいなのがなくて、ちょっと踊りが少なかったから、去年から温めてた『five true love』をみんなで盛り上がれる曲として入れて。途中の“タクヤ!”とか“シンゴ!”って掛け声も、“ああいう感じで入ってれば、ファンじゃない子でも言えるんじゃないかなー”とか考えながら」
メンバーにはあらかじめダンスが増えることを予告しておいたそう。

「客席を回るリフターを使ったのも、僕のアイデア。あれは、お客さんの顔がかなり近くで見られてよかったね。もう手を伸ばせば届きそうだったもん。お客さんにも喜んでもらえたんじゃないかと思うけど、どうだろう?」
ファンにもメンバーにも、全方位に気くばりをしながらステージを作っていた。
SMAPにとってライヴは集大成と語る中居。
「僕は基本的に、いつもライヴのことしか考えてないんで(笑)。ツアーが始まる半年くらい前、2月3月くらいからずーっとライヴのこと考えてるし。音に関しては一年中、頭から離れられないですね」
ライヴが始まる2、3ヶ月前になると、今度はデビュー当時のアルバムから最新盤までSMAPのCDを聞き込むという。この時点で、アルバムだけでも『BIRD MAN』を含めて12枚ある。この他にCDシングル、カップリング曲とあわせれば膨大な曲数になる。

「自分で構成を考えるときに、常に頭の中にあるのは、やっぱりメンバーとお客さんが“同じ目線で楽しめる”こと。お客さんもメンバーも、みんなが楽しめればいいなと思って考えてみる。僕らは「(見上げてウットリと)SMAPだ〜」っていうよりも「(目の高さで明るく)SMAPだ〜」って感覚のほうが好きだし、それSMAPのよさだと思うから
当時、語っているこのスタンスをずっと貫いてきたSMAP。

俺、SMAPのライヴは、今自分が知ってるライヴのなかでいちばんおもしろいと思ってるんで。それを自分たちの手でつくってるっていうのがすごくうれしいから、どんなに大変でも、このスタンスはずっと守り続けて行きたいんだよね」
(JUNON/1999年10月号)

ハードロック、ソウル、バラード、激しいダンスステージもあればリコーダーの演奏もある。歌が上手い人もいれば、メンバーが倒れるほどの音痴な人もいる。演技もコントも、音楽も、全く異なるジャンルを組み合わせて構成されているのに、最後はSMAPならではのステージとなる。

木村はライブの終わりにこんな言葉を残した。
「今年もこうやってみんなと一緒にたくさんの時間を過ごすことができました。これは別に自分がSMAPのメンバーだということも含め、すごくたくさんの友達に囲まれて自分が普段生きてるからだと思います。本当に今日来てくれた、この会場に来てくれた人は、確かに名前を知らない人もいますが、この時間をこう一緒に過ごしたってことで、まあ、いくらも自分のことを友達だと思ってください。本当に、本当にありがとうございました」
(柚月裕実)