折り返し地点ということで、大きくドラマが展開した日曜劇場『IQ246〜華麗なる事件簿』(TBSテレビ系・日曜21:00〜)第6話。
「IQ246〜華麗なる事件簿」今夜7話。織田裕二からディーン・フジオカに主役交代か
イラスト/北村ヂン

いやぁー、ビックリしましたわ。


数々の犯罪を裏で操っていた黒幕「13」こと「M」こと「マリア・T」の正体が、中谷美紀演じる監察医・森本朋美だったなんて……。

舞台挨拶で「シリーズを通しての大きな謎」とまで言っていた「M」の正体が、まさか、ここまで単純な謎とは。逆の意味でビックリさせられてしまいましたよ!

とりあえずそれは置いといて、今回の事件。

机の上の宝くじをひと目見て当選していると見抜くMEGUMIの推理力


「M」の正体の件で衝撃を受け過ぎて、メインの事件の方は頭からすっ飛んしまいそうになったけど、まあそれくらい今回の事件はしょーもないものだった。

発端となったのは、工場で真面目に働く地味な男・鈴木守(今野浩喜)が宝くじで6億円当たったこと。

「宝くじが当たっても、誰にも話しちゃいけない!」というのはよく言われることだが、当選に浮かれてしまったのか、なんと鈴木はソッコーで、投資の相談をしに行った証券会社の社員・笠原亮次(和田聰宏)に自慢してしまうのだ。

しかも当選券はまだ換金前&そのまんま持ち歩いて見せびらかす始末。


というわけで、借金で困っていた亮次は、どうやって後をつけたのか分からないけど(そのまんま証券会社を抜けだして尾行したわけじゃないよね!?)「ろくおくえ〜ん」というオリジナルソングを熱唱しながら歩いている鈴木にそーっと近づいて、後頭部を鈍器でガツーン!

めでたく6億円の当選券をゲットしてウキウキになっている亮次のもとに、離婚協議中の妻・葵(MEGUMI)が訪れるのだが、机の上に宝くじが置かれているのを見た葵は「ははーん。コイツ、宝くじに当たったな!」と見抜いた(見抜けるか!?)。

で、葵は、裏で不倫関係にあったと思われる亮次の兄・壮一(平岳大)に「アイツ、宝くじ当たったみたいやで!」とタレコミ。そこに例のごとく「M」から「完全犯罪」の指南メールが届くのだ。

そのトリックは、自宅を訪ねて後ろからそーっと薬品をかがせて意識を失わせ、階段から突き落として殺すというもの。

一応、殺害した後に亮次の電話を使ってアリバイ工作をしてはいるものの、いつも通り「完全犯罪」というわりには、何の工夫もない犯行だ。


それにしても「自宅に宝くじがあった」という情報オンリーで弟を殺害してしまうとは……。

大事そうに封筒に入れていたので、当選しているんだろうなということは推測できたとしても、何等かまでは分からないだろうに。わざわざ殺してまで宝くじを盗んだのに当選金額が5万円くらいだったら目も当てられないよ!

そして、今回の事件の被害者たち、6億円の当選券を持ち歩きすぎ!

殺害されて、ちょろっとポケットを調べたらすぐに当選券が出てくるなんて……。そんな貴重品は大事にしまっておくか、さっさと換金するかしようよ!

いつものように頭脳を使わず体当たり捜査で事件を解決


こんな雑な犯行、IQ246の持ち主である法門寺沙羅駆(織田裕二)ならソッコーで解決できる……かと思いきや、これまた例のごとくパッとしない推理で、犯人が壮一であることは突きとめるものの、決定的な証拠はつかめず。

結局、沙羅駆が壮一の罠にわざとハマッたふりをして、後頭部をバールのようなものでぶっ叩かれ(帽子に鉄板を仕込んでおいたから大丈夫!)「殺したった!」と思っている壮一が安心してベラベラしゃべった内容を録音するという、ゴーインな謎解きで事件を解決する。

わざと罠にハマッたふりをするにしても、壮一がバールじゃなくて、ナイフで背中を刺してきたり、ロープで首を絞められたりしたらどうするつもりだったのか……(背中や首にも鉄板を仕込んでおいたのか?)。

まあ、その辺をバッチリ予測できるあたりがIQ246なのかも知れないけど。


主役交代か!? ……と思ったのに


まあ、事件はもういいんだよ。問題は「M」の正体!

第1話の当レビューでも、主要登場人物の中でイニシャルが「M」なのは森本朋美しかいないから、「M」の正体は森本なんじゃね? ……と予想していたが、その後もちょいちょい「M」=森本説を裏付けるような情報が「分かりやす〜く」登場していた。

「シリーズを通しての大きな謎」だけに、いくらなんでもこんなに分かりやすく情報を出すわけがない! これはミスリードを誘うための罠だ! ……と思っていたんだけど、そのまんま「M」=森本でしたね。

結果的に正体が森本なんだとしても、せめてもうちょっと「いや、やっぱり違うんじゃ!?」と思わせてくれるようなエピソードを入れてから正体をバラして欲しかった……。

第6話の最後で、沙羅駆は「M」が仕掛けた毒ガス(?)の罠にハマッてしまい「私が倒れた後はお前しかいない、分かるな!」と賢正(ディーン・フジオカ)に言い残して意識を失ってしまう。

いつになくシリアスな展開に「まさかこれで沙羅駆が再起不能になり、主役が織田裕二からおディーン様に変わるというミラクル展開もあるのか!?」と一瞬、テンションが上がったのだが、直後の次回予告で、元気いっぱいの織田裕二の姿が映し出されていてズコーッ!

どうしてこのドラマは、どうでもいいトリックの謎解きはやたらと引っ張るくせに、面白そうな展開のネタばらしをさっさとしてしまうのか!?

織田裕二はピンピンしているみたいだし、「M」=森本ということも分かっちゃって、このドラマへの興味がシュルシュルとしぼんでいくのを感じていますが、沙羅駆と「M」の過去の因縁や、「3年前のロンドンで死んでいた」という情報。
森本はマニキュアしていないのに「M」はしている……などなど、気になるポイントはまだまだあるので、その辺に注目しながら観ていきたいと思います!
(イラストと文 北村ヂン)