3月17日に任天堂の新しいサービス「Miitomo」およびスマートフォンアプリの提供が始まった。3DSやWiiUで使われているMiiを使ってコミュニケーションをする、SNSのようなサービスだ。

任天堂「Miitomo」を超ていねいに解説してみた
3月17日より公開のMiitomo(iOS/Android)
Miiを使ったゆるいコミュニケーションのSNSと考えるといいだろう

サービスが開始してから1日以上遊び続けてみたが、かなり面白い。ただ、始まったばかりということもあって、操作や用語にわかりにくい部分も多く、とまどっている友人もいる。できるだけていねいに順を追って説明したい。

なお、本稿はiOS版(iPhone6s)で試した結果に基づいている。

任天堂ユーザーほど始めるのが難しい?


サービスが始まったとき、今までのNintendo3DSやWiiUなどでMiiやMiiverseを使っていた人ほど、うまく開始できないという現象が発生した。少しややこしいので、何が起きたのか順に説明していく。

Miitomoを遊ぶためには、ニンテンドーアカウントが必要になる。
2015年12月から登録開始された、新しいポイントサービスだ。ところが、3DSやWiiUを遊ぶために使っていたものはニンテンドーネットワークID(NNID)。似ているが、違うアカウントだ。

Miitomoを遊ぼうとして、NNIDを入力しても当然遊ぶことはできない。
事前にマイニンテンドーでニンテンドーアカウントを作成し、もしNNIDを持っている人がいたら連携させてしておくといい。Miitomoを中断してニンテンドーアカウントを同じ端末で作ろうとすると、少し挙動がおかしく、うまく認証できない場合があるからだ。


次に陥りやすいのが、Miiの登録。Miitomoでは最初に自分の分身となるMiiを作成しなければならない。このとき、NNIDを連携させていれば、NNIDで使っているMiiをそのまま使うことができる。

ところが、このMiiが「コピー不可」に設定されていた場合、エラーが出て登録することができない。
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ニンテンドーネットワークIDに登録されているMiiをそのまま使おうとしたとき、コピー不可だと登録ができない

コピー設定を解除するためには、3DSかWiiUなどが必要になる。さらにややこしいのが、それぞれの機種によってコピー設定の場所が異なることだ。


・Nintendo3DSの場合:「Miiスタジオ」から設定する
・WiiUの場合:「ユーザー設定」(左上の自分Miiアイコン)から「Miiを変更する」で設定する

WiiUにもMiiスタジオはあるが、そこで設定をしようとすると「ユーザーのMiiはユーザー設定から変更/手直しできます。Miiスタジオでの手直し/消去はできません。」と出てしまうので、選んではならない。

しかも、そうやって修正したデータがすぐにNNID側に反映されて、それがさらにニンテンドーアカウント側に反映されるかというと、少し時間がかかるようだ。なので、3DSやWiiUで修正した後はQRコードを作成し、Miitomoで読み込ませる方がいい。

まとめると、以下の点に注意したい。

1.ニンテンドーアカウントとニンテンドーネットワークID(NNID)があるので注意
2.ニンテンドーアカウントとNNIDは事前に連携させておく方がいい
3.NNIDで使っているMiiを使いたい場合は、3DSやWiiUで「コピー許可」に設定しておく。
その場で修正するときにはQRコードが便利


なお、あらたにMiitomoでMiiを作ってもいい。面白いのがカメラを使ってMiiを作る機能で、実際に写真を撮らなくても顔認識だけで次々とMiiの候補が出てくる。これを修正して作成してもいい。MiitomoのMiiでは声のトーンや表情の豊かさなど、従来のMiiには無かった要素を設定できる。
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カメラの顔認識を使うと、次から次へと新しい顔がどんどん出てくる。照明の具合で顔の色が変わるのも面白い(左)
MiitomoのMiiは喋るので、イントネーション等をきっちり設定しよう(右)

一番最初に作るMiiが「自分」で、以後は他のユーザーと交流するときにはそのMiiを使うことになる。手直しはできるが、しっかりと設定したい。

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0から作ることもできる。白熱日本酒教室/白熱洋酒教室(星海社新書)でおなじみの、むむせんせいを作ってみた

基本はゆるーい質問で交流


ようやくMiitomoを開始したら、まずはフレンドを増やそう。フレンドと交流をするゲームなので、ある程度人数がいないと面白みが無い。

フレンドを増やす方法は、対面認証、Facebook連携、Twitter連携の3通りしかない。自分のMiiのQRコードを作成することができるが、これはフレンド登録用ではないため注意が必要だ。後述のMiiフォトのための機能になる。

SNSでの連携では、フォロー/フォロワーの関係にある人の中からMiitomoをやっている人を選んで友達申請できる。対面認証では目の前の友達と一緒に4つのパネルの中から同じものをタップするという形式だ。

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位置情報をオンにし、お互い近距離で同じパネルを押すことでフレンド登録できる

ここにも罠があり、執筆時点ではTwitter連携をしたときにフォロー/フォロワーが多すぎる場合、Miitomoが強制終了したりエラーで連携に失敗することがある。フレンド申請時にTwitterアイコンがGIF形式の場合、Miitomoが強制終了してしまう(Android版は修正バージョンが出ている)。

登録可能なフレンド数は1000人。NNIDでは100人だったことを考えると、このためにニンテンドーアカウントとして分けたのかと思わなくもない。

フレンドが揃ってきたら、自分の分身にタッチをしてみよう。すると、質問をしてくる。それに答える。これを繰り返そう。なんとなく「どこでもいっしょ」を彷彿とさせる。
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基本は質問されたら答える。この繰り返しだ

そうこうしているうちに、フレンドが自分の部屋に遊びにきて自分のMiiと話し出す。そこで、情報交換を行っているようだ。フレンドの情報は、Miiの吹き出しにアイコンが表示されるので、そこをタッチすると聞くことができる。

こうして、自分の質問に対して「いいね」をもらったり、「コメント」がついていたらそれに返事をしたり、フレンドの応えに「いいね」したり、コメントをつけたりして交流をしていく。これが基本的な遊び方だ。回答はSNSに公開もできる。
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SNSに公開されるときには専用の画像が作られる。答えを隠すシークレット設定も可能

このとき、Miiは実に滑らかに喋るし、表情豊かにリアクションをしてくる。全角の「w」をきちんと「わら」と読むのには驚いた(半角だと「ダブリュー」と読む)。また、会話の中に「戦う」という言葉が入っていたらファイティングポーズをとったり、「?」があったら首をかしげるし、「お金」に関する言葉があったら目がお金になる。
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「現金」という言葉に反応したリアクション

ひたすら友達の答えを見て、それに対するMiiのリアクションを見ていても飽きない。

なお、フレンドが質問に答えていても見ることができない場合がある。同じ質問に対してフレンドがどう回答したのか見ることができるが「?????」表示になっているものがある。
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答えの情報をまだ手に入れていないときには「?????」表記になる。見るためにはキャンディが必要

これは、まだMiiがその情報を得ていないからのようだ。すべて見ることができないというのが、なんともゆるいコミュニケーションで面白い。この答えを知りたかったら、そのフレンドの部屋に行って情報交換をさせるか、ログインボーナスやミニゲームでもらえる「キャンディ」を消費すると見ることができる。

基本的に質問と答えは、フレンドしか見ることができない。また、質問によっては特定のフレンドと2人だけしか見られないものもある(「僕は芸能人に例えると誰に似ている?」等)。なので、しっかりとお互いを知っている人同士でやる方がいいし、答えに窮さない。最初のうちはフレンドを増やしすぎない方がいいかもしれない。

自由度の高いMiiフォトとコーディネート



コミュニケーション以上にはまる人が出そうなのが、Miiフォトだ。Miiにさまざまなポーズをさせて、背景画像と一緒に写真を作ることができる。
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自分の撮った写真に、Miiを配置し、スタンプやコメントなどを自由に書き込める

このときに使えるMiiは自分のMiitomoに登録されているマイMiiと、フレンドのMiiを合わせて5人まで。前述のQRコードは、ここに登場させるMiiを簡単に受け渡しできる機能だと思っていい。

背景はあらかじめ用意されたものでも、スマートフォンに入っている写真でもいい。Miiに自由にアクションをさせ、表情を変え、スタンプを使ったりコメントを入れたりと、面白い写真をいくらでも作ることができる。
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表情を変えたり、スタンプを押したり、かなり自由に写真を作れる

これが、とても面白い。できあがった写真は端末に保存をしたり、FacebookやTwitterやInstagramといったSNSに公開したり、LINEやメールで友達で送ることができる。

Miiを着飾らせるための服は、ショップで購入するか、ミニゲームで入手できる。帽子やトップス、ボトムス、ソックス、シューズ、アクセサリの6カテゴリがあり、男女兼用のため、組み合わせはかなりの量になる。好きなコーディネートを楽しもう。もちろんこれらは自分のMiiだけではなく、マイMiiにも着せることができる。どうぶつの森やトモダチコレクションみたいでとても楽しい。
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服はショップ(左)や、ミニゲーム(右)で手に入れることができる。ミニゲームの服は基本的には非売品となる。入手するときに色の指定も可能

購入はゲーム内通貨のMiitomoコインで行う。ゲームをやっているとどんどん貯まっていくが、有料で購入することもできる。こういった服を購入するゲームの中では、かなり安いレートに抑えられていると思う。
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この金額が安いと思うか、高いと思うかは人によって異なるだろう

コーディネートを決めたら、Miiフォトを撮ろう。そのうちMiiが「こないだ撮ってもらった写真、他の人に送ってもいいですか」と言ってくる。そうして公開した写真に「いいね」がたくさんつくと、ファッションランクが上がっていく。ランクがあがるごとにゲーム無料券や新しい帽子などがもらえる。

時間泥棒になるのは間違いない



基本的にはゆるいSNSといった感じだが、『どうぶつの森』や『トモダチコレクション』にはまった人、『いつの間に交換日記』にはまった人、『どこでもいっしょ』にはまった人は楽しめるだろう。

すっかりはまって、気がついたらMiitomoを遊んでいる。アクティブに遊んでいると通知がひっきりなしに飛んでくるため、「各種設定」である程度通知を抑えないといけないほどだ。

4時にログインボーナスが切り替わるが、一度Miitomoを終了させてからもう一度起動させなければ再ログインにならない。最初はそれに気づかず、どうやったらログインボーナスを得られるのかと悩んでしまった。ぐらいには遊び続けている。

ただ、問題点もないわけではない。例えばロードが多いという点。マルチタスクにうまく対応していないというか、少しでも他のアプリに切り替えたりすると、ロード画面になる。ゲーム内でも、何かするたびに小さなロードが発生するため、テンポは全体的にゆっくりしていると考えた方がいい。ここは今後バージョンアップで改良されていったらいいと思う点だ。

ひとつ心配なのは、いつのまに交換日記などで問題になったのと同じことが起きないかということだ。インターネット掲示板などで、フレンドコードで知り合った人が、公序良俗に反する画像を送り合うといったことがあった。そのため、『うごくメモ帳3D』などの当時あった写真を送り合うサービスがすべて停止になってしまった。

Miitomoでは対面かTwitterやFacebook経由でないとフレンド登録ができないようになっているため、全く知らない不特定の人とフレンドにならないようになっている。かなりはまっているサービスなので、問題が発生せず(もしくは発生してもすぐに適切に対処できる仕組みになっている)続いて欲しい。
(杉村 啓)