TVアニメ「結城友奈は勇者である」
ある部分に大変凝っているアニメです。

アニメ「結城友奈は勇者である」の徹底したバリアフリー描写が凄い
日常は消え、少女たちはこの世界を守るために戦う。好きな食べ物はうどんです。

讃州中学校に通う女子5人が、アプリを使用して戦闘形態に変身する、魔法少女アニメ。
舞台は香川県観音寺市がモデル。
彼女たちは神樹の作った結界の中で、世界を殺すためやってくる敵を撃退していきます。

現時点では、何がどうなって戦うはめになっているのか、ほとんど明かされていません。
毎回いやーな感じのフラグが立っているので、見ていてちっとも安心できないアニメです。
 
凝っているのはどこかというと、バリアフリー描写です。

メインヒロインの一人、東郷美森は、足が動かず、車いすを利用しています。
どうしても動きに制約がでてしまう。
しかし、このアニメでは徹底的に、車いすでどこでも行けるように、現実にあるバリアフリー設備をふんだんに取り入れています。

1・移動用施設
結城友奈と東郷美森が通う学校には、階段に小型エレベーターが設置されています。
壁沿いにレーンが設置されていて、そこに車いすをのせて上にあげる仕組み。
1話でほんのちょっとだけ出てきます。
あまり設置されていない器具なので、ネットでは多くの人が反応していました。

ヒロインたちの好物は、全員うどん。
東郷も、結城たちとうどんをたべに行きます。
帰りは「デイサービスセンター たすけあいのこころ」という車が来て彼女を乗せていきます。
結城友奈も、この車に乗って帰ります。
誰が手配しているのかは不明。
二人が乗って帰る、という事実だけが描かれます。

2・部室のレイアウト
基本的に結城友奈が東郷の車いすを押して、学校内を移動します。
気づいたら押しているので、特に「押してあげる」「押してもらう」という会話はなし。
車いすが出やすいように、教室の扉のすぐ側が東郷美森の席なのは、細かい配慮です。

彼女たちは「勇者部」と呼ばれる、なんでも屋をやっています。
部室は、東郷美森が車いすで不自由なく移動できるようにレイアウトされています。

アニメ「結城友奈は勇者である」の徹底したバリアフリー描写が凄い
車いすが動きやすい配置。必要な場所すべてに車いすで移動できる。

入り口から入ってすぐ左に曲がれば、彼女がメインで使用しているPCデスクに。
そこから一旦下がってバックターンで、みんなの打ち合わせ机に。
ミーティング場所も、東郷の車いすが出入りしやすいように調整されています。
 
3・教育活動
車いすの学習で最も難しいのは、体育。
アニメ3話では水泳の時間のシーンがあります。
この時、身体障害者用プールレーンが描写されています。

プールのへりまで車いすで移動、そこからゆるい階段が水中に向かって伸びている。

授業自体は、他の生徒と一緒ではありません。
身障者専用の先生がついて、専用レーンでマンツーマンの水泳授業を受けさせています。

4・リゾート施設
7話では海と温泉に行きます。
東郷はタイヤがバルーン型の三輪車いすをレンタル、海水浴を楽しみます。
海水浴用車いすは実在しています。

車椅子ランディーズ
こちらは超低圧バルーンタイヤを使うことによって、水辺や砂浜、石畳や草原も動かせる、リゾート用車いす。
長崎県柳の浜海水浴場などで設置・レンタルされているようです。
ARE 障害者スポーツ・レクリエーション用品専門店
こちらにある「ヒッポキャンプ」は、砂浜などで自走できる三輪車いす。
高さが低くて、海辺の水遊びを存分に楽しめます。
この2つを組み合わせたような車いすが作中に登場。補助の人がついて押してくれることで、彼女も海水に浸かることができます

また温泉シーンでも、車いすで彼女は入浴しています。
重度身障者用のお薦め温泉(本庄ネット)
温泉施設で、足の不自由な人向けに設計されている場合は、大きく分けて3タイプ。
1・手すりがついていて通路が広い、貸し切りがある。
2・入浴用リフト、または入浴介助機が設置されている。
3・スロープがあり、入浴用車いすが設置されている。
アニメで描かれるのは3。
入浴専用車椅子はいろいろ種類があります。
車椅子(入浴用)
お風呂なので基本的には手押し。自走式のものもあります。
タイヤがこまめに動かせる、ある程度重さがあってひっくり返らない、座位が保てる、座っている椅子の部分からお湯がちゃんと抜ける、というのがポイント。

東郷美森という一人のキャラを通じて、ありとあらゆる場所でのバリアフリーを表現しています。
施設類の説明は、一切ありません。
キャラクターも、東郷の足について一切語りません。
少女たちだけでなく、東郷の補助に多くの大人がついてくれています。
結城友奈たちの住む世界では、これが一般的です。

中盤以降、大きな展開がありました。これがバリアフリー表現と関わってくるかどうかは、現時点ではわかりません。

(たまごまご)