米大統領選挙、クリントンVSトランプがついに決着へ 両者の政策と日本への影響とは

米大統領選挙、クリントンVSトランプがついに決着へ 両者の政策と日本への影響とは

日本時間で11月8日の午後8時から投票が始まり、9日に開票が始まるアメリカ大統領選。民主党のヒラリー・クリントン候補と、共和党のドナルド・トランプ候補は、票の上積みを目指し、接戦となっている。7日に発表されたブルームバーグ・ポリティクス・セルツァーの最終世論調査によると、ヒラリーへの支持がトランプをポイントで3%上回ったとされているが、どちらが大統領になってもおかしくないという意見が多いようだ。

ヒラリーVSトランプ、ついに決着へ 米大統領選挙、日本時間8日夜から投票、9日9時から開票

長きに渡り米大統領の座をかけて戦ってきたヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏。日本時間8日夜から投票が行われ、9日9時には開票が行われる模様。世界を代表する大国・米国の今後が左右される一大選挙ということもあり、世界中から注目が集まっている。
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【続報】トランプ氏が当選確実


ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏両候補 政策に関する主張の違いとは

世論調査でドナルド・トランプ候補を上回ったヒラリー・クリントン候補。
政策としては、オバマ大統領の政策を継承するものが多い。具体的には、同盟重視、TPP反対(オバマ政権の承認は容認姿勢)、イスラム国を念頭に置いた「敵」の打倒や、雇用の創出、銃規制強化、不法移民の市民権獲得を支持、賃金引上げなどを掲げている。

クリントン氏は演説で指名受諾を表明し、より自由、公正で強い米国実現のため「団結すればもっと強くなれる」と呼び掛けた。

国家安全保障面では、イラクやアフガニスタン、フランスで頻発するテロとフロリダ州での銃乱射事件を例示。過激派組織「イスラム国」(IS)などを念頭に「われわれは覚悟を決めた敵に対処しており、打倒しなければならない」と決意表明した。
経済政策では、「全ての米国人がより良い生活ができる」ことを目標に設定した。そのために機会・雇用の創出、賃金引き上げを「大統領としての主要任務」と位置付けた。
【図解・国際】米大統領選・クリントン氏とトランプ氏の政策比較(2016年7月)-時事ドットコムニュース

対するドナルド・トランプ候補は、「米国第一主義」を掲げ、オバマ現政権に不満を抱える人達からの支持を募っている。具体的な政策としては、IS打倒、TPP離脱、銃規制強化に反対、オバマケアを撤廃、不法移民阻止、法人税の引き下げや相続税の廃止、パリ協定の阻止などを主張している。
ドナルド・トランプ氏(70)は8日、自動車産業の集積地、中西部デトロイトで演説し、法人税の最高税率を現行の35%から15%に引き下げるなど大規模減税を柱とする経済政策を発表した。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関しても「自動車産業にさらに大きな災難をもたらす」として、離脱の意向を重ねて表明した。

トランプ氏は税制改革に関し、法人税率の引き下げのほか、育児費用の全額税控除▽所得税率を現在の7段階から3段階に簡素化▽相続税の廃止ーなどを主張。演説で、トランプ氏は「レーガン元大統領による税制改革以来、最大の税制革命をもたらすことになる」と述べた。

また、「グローバリズムではなくアメリカニズムが私たちの新たな信条となる」と語り、米国第一主義を基本として自由貿易協定を見直す考えを強調。
トランプ氏が経済政策発表 大規模減税やTPP離脱-産経ニュース

主要政策の大きな違いは下記
■外交の考え方
ヒラリー氏:同盟強化
トランプ氏:米国第一主義
■経済の考え方
ヒラリー氏:TPP反対(オバマ政権時代は容認)、一部国民・企業を対象に所得税や法人税の増税、クリーンエネルギーなどによる雇用創出
トランプ氏:TPP反対、富裕層に対する所得税の減税、法人税の引き下げ
■対日政策の考え方
ヒラリー氏:日米同盟重視
トランプ氏:駐留米軍の負担増額を要請。在日米軍撤退も視野に入れている(※後述)
■移民に対しての考え方
ヒラリー氏:移民の市民権獲得を視野に入れた包括的な制度改革を検討
トランプ氏:不法移民阻止を支持
■環境政策の違い
ヒラリー氏:地球温暖化対策を強化
トランプ氏:地球温暖化対策として、温室効果ガス排出量の削減を取り決める「パリ協定」からの離脱を検討
■銃規制の違い
ヒラリー氏:銃規制強化を支持
トランプ氏:銃規制強化に反対

エリート政治家クリントン&不動産王トランプ 大統領候補の経歴を総ざらい

接戦を繰り広げる2人の候補の経歴をサラっと紹介しよう。

まずは女性初の大統領誕生に期待がかかるヒラリー・クリントン候補。元々政治家として活躍しており、ビル・クリントン元大統領夫人として、彼女を知る人も多いだろう。

ビル・クリントン42代大統領の大統領夫人としてペンシルベニア通り1600番地で暮らしたことがある。2001年にニューヨーク州初の女性上院議員となり、2006年に再選。

2年後の2008年に民主党大統領予備選に出て、米史上で最も多くの代議員や予備選を獲得した女性候補となる。民主党がバラク・オバマを指名し敗北。その後、国務長官となる。

4年の任期は2013年に終わるが、死者が出た2012年のリビア・ベンガジ米総領事館襲撃事件をめぐり議論が起きている。2度目の大統領選出馬を2015年4月12日に表明
2016年大統領選 候補者一覧-CNN.jp

一方のドナルド・トランプ候補は不動産王。大統領になれば、公職や軍の要職を務めたことがない初めてのアメリカ大統領となる。過激発言が目立つが、熱狂的な支持者が多いことでも有名だ。
全米にホテルやカジノ、ゴルフ場などを所有し「不動産王」として知られる実業家。資産額は日本円で約5000億円。アメリカン・ドリームを象徴する存在とも。政治家としての経験はない。

テレビ番組の司会を務め、「ユー・アー・ファイアード!(君はクビだ!)」の決めぜりふで有名に。過激な発言を繰り返し、共和党主流派が指名獲得阻止に動くも、既成政党に不満を持つ層に幅広い支持を得る。
異例の共和党大会-NHK NEWS WEB

日本外交への主張は? トランプ氏あ過激発言に日本政府は危険視 自衛力強化も?

この2人のどちらが大統領になっても気になるのが日本への影響。

ヒラリー・クリントン候補は国務長官に就任後、最初の外遊地としてアジアを訪れていた。そのため、日本・アジアとの外交を重視するのではないかという見方が強い。ただ、夫・ビル・クリントン氏が現職大統領時代に行ったように「ジャパン・パッシング(日本ではなく中国を重要視する姿勢)」を行う恐れもあると言われている。

ヒラリーは、日米同盟などの二国間同盟体制を維持しながらも、日本やオーストラリア、韓国との国家同士の横のつながりや、より機動的なネットワークが必要だと主張している。よって、ヒラリー政権が誕生した暁には、このアジアを重視した「アジア旋回」の戦略が、中心的支柱となることは確実といえる。
ヒラリーの政策・信条・人脈と日本への影響を読み解く-ダイヤモンド・オンライン


一方のドナルド・トランプ候補は、これまでに日本との外交の見直しなど、大きな転換が訪れることを示唆する発言を行ってきた。今回、トランプ氏が勝利した場合日本への悪影響が大きいと言われている。
トランプ氏は日本に対して駐在米軍の負担を求めるほか、円安で日米貿易で米国側で大きな損失を被ったと批判した。トランプ氏が当選すれば、日本政府は日米外交、軍事、経済、貿易などの政策を大幅な見直しと転換を迫られる。
もし「トランプ大統領」誕生なら… 日本、中国、欧州への影響は?-大紀元
日本が駐在米軍の負担を行わなければ、在日米軍を撤退させる可能性についても言及しており、仮に撤退した場合は世界のパワーバランスが一気に変わってしまう恐れが。日本が「自衛力強化」を行う必要性も出てくるかもしれない。

ネバダ州ラスベガスで開かれた3回目のテレビ討論では、ヒラリー・クリントン氏(民主党)とドナルド・トランプ氏(共和党)が、外交政策についても互いに持論をぶつけ合った。

クリントン氏は「核兵器の使用という言葉をトランプ氏は気安く口にしている」とした上で、過去にトランプ氏が日本など同盟国の核保有の可能性について発言したことを痛烈に批判。これに対しトランプ氏は「日本や他の国を守る限り、我々は大金を失う」「核については述べていない」と猛反論した。同盟国との関係見直しを示唆。互いに一歩も譲らない展開となった。
トランプ氏「日本を守る限り大金を失う」同盟関係の見直しに言及【アメリカ大統領選】-The Huffington Post

流出メールで発覚! ヒラリー・クリントンが「尖閣諸島の日中対立は日本の国粋主義者のせい」と発言していた

嫌われ者同士で史上最低の戦い!? 私用メール・クリントンVS女性蔑視・トランプの泥仕合

そんな2人の大統領選は、本題となる政策や外交といった話以外に、揚げ足取りのような過去の行動や発言、スキャンダルについての口論が度々交わされており「史上最低の戦い」と酷評する声もある。

ヒラリー・クリントン候補は、国務長官時代の“メール騒動”が問題になっているようだ。

米国務省はヒラリー・クリントン前国務長官をはじめ複数の元国務長官が、メール利用にあたってセキュリティー管理が不十分だったとする調査結果を発表した。同省監察総監室による調査報告書は、クリントン氏が使用記録保管の決まりを守らず、私用メールを許可なく公務に使ったと指摘している。

報告はその上で、メール使用記録の問題点はクリントン氏の着任以前から続いており、「以前から続く組織的な弱点」だったと書いている。
クリントン前国務長官のメール問題、規則違反と国務省-BBC NEWS JAPAN
FBI長官は、ヒラリー氏の行動を「極めて軽率」としたものの、法律には違反しないと結論づけ、追訴しないことを表明した。

一方、数々の過激発言、暴言を放ってきたドナルド・トランプ候補がもっとも追及されているのが“女性軽視発言”だ。本人は「控室で言った冗談のようなものだよ」と開き直る発言もしているようだが……。
米メディアによると、女性蔑視発言はトランプ氏が2005年に出演したテレビ番組の待機中に男性司会者と雑談していたテープが流出し、判明した。魅力的な女性に「迫ったがだめだった」などと語ったとされる。

一連の発言はバラエティー番組に出演したトランプ氏の待機中の会話をマイクが拾い、記録されていた。メラニア夫人と結婚した直後だったが、「私は魅力的で美しい女性に磁石のように引き寄せられ、キスを始めてしまう」などと話した。
トランプ氏、相次ぐ党内の撤退要求を拒否 女性蔑視発言-日本経済新聞

ヒラリーの奇行がヤバすぎる! 目を見開きヘドバン、突然口を開けて… “深刻な持病”疑惑まで浮上=米

大統領決定後、日本や世界への影響・変化とは

世界中から注目が集まるアメリカ大統領選だが、その影響は各国に広がるとみられている。
大統領選後の変化を、クリントンパターンとトランプパターンに分けて予想してみよう。

ヒラリー・クリントンが当選した場合、基本的に「オバマ路線継承」となるようだ。

クリントン氏は安全保障に関する限り、民主党の中ではかなりのタカ派で通っている。国務長官時代にイラク戦争の開戦を肯定し、イスラム国やアサド政権(シリア)に対しても「封じ込めではなく打倒を」と強硬姿勢を示してきた経緯がある。

ただ、同盟国重視という戦略論ではオバマ路線継承の現実派だ。とりわけ日米同盟を中心に据えたアジア重視への転換を志向しているとも見られている。

他方で、通商政策では、まだまだ高い成長率を示す中国へは強硬な姿勢を示す。中国の不公正貿易に対する報復をクリントン氏は示唆しており、日本を含む為替安に誘導している国に対しては批判的でもある。本来的には、民主党は保護貿易に、共和党は自由貿易に傾く伝統を持っており、今回はその点ではねじれの関係にあると言えるだろう。
クリントンVSトランプ 日本にとって望ましい米大統領はどっち?-ZUU online

一方、過激な主張が目立つドナルド・トランプ候補が大統領に就任した場合、日本のみならず世界各国の外交が大きく変化する可能性が予想される。
トランプ氏の主張は過激で、「イスラム教徒の入国禁止」など無謀にさえ聞こえる発言は党大会での指名受諾演説以降やや抑制的となったかに見えるが、「不法移民対策として国境に巨大な壁を建設」、「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)もNAFTA(北米自由貿易協定)も、米国にとってより公平なものに改定しない限り破棄」など、目を剥くような主張を連発する。

ほかにも、中国の知的財産権侵害を批判し、暗にではあるが日本の円安誘導にも否定的だ。安全保障に関してはオバマ政権の中東外交の拙劣さがイスラム国の台頭を産んだと非難。「弱体化した米軍を再建し、NATO(北大西洋条約機構)を含め米国が防衛する国々に相応の負担を払うよう求める」とも語り、在日米軍駐留経費負担の見直しや日韓両国の核保有による自衛を促す姿勢さえ示したこともある。
クリントンVSトランプ 日本にとって望ましい米大統領はどっち?-ZUU online

日本の岸田外務大臣もアメリカ大統領選に大注目。どちらの候補がアメリカ大統領になっても連携を続けていくと述べた。世界が固唾を飲んで次の大統領誕生の瞬間に注目している。
岸田外務大臣は、閣議のあと記者団に対し、「接戦だと聞いており、注目をしている」と述べました。
そのうえで、岸田大臣は「誰が大統領になっても、日本外交にとって日米同盟は基軸だ。日米で引き続き連携しながら、2国間関係のみならず、アジア太平洋地域、国際社会における平和と繁栄のために協力していかなければならない」と述べ、新しい政権とも緊密に連携していく考えを示しました。
外相 米大統領選に注目 新政権とも緊密に連携-NHK NEWS WEB

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