風俗も遊びも人生経験? 男子の本音と生態について考える

都会の片隅でぼんやりと灯をともす、とあるバー。仕事帰りにふらりと立ち寄り、見知ったり見知らなかったり、とりあえず隣に座った男性と酒を酌み交わし、男の生態について考える酒屋探訪記。今回は、バツイチ30代の男性との「風俗や遊び」に関する本音トークをご紹介すす。

浮気話や風俗ネタ……男性の本音って?


本日の本音トークのお相手はバツイチ、30代でオシャレに余念のないイケメンK君。
彼とはかれこれ二十年以上、お互いケも生えない頃からの長ーい付き合いなので、我々の間にロマンスの香りなどは一切なく、明け透けに浮気話や風俗ネタを披露してくれる。酔っぱらって2人で店を出たとしても誰に疑われることもなく、タクシーを相乗りして帰るだけの悲しくも清々しい関係である。

そんなK君だが、顔はイケメン。モテないわけではないので遊ぶ女の子には困ってはいない様だが、風俗というのは別物らしく、やたらとそちらの事情に詳しい。デリヘルでぽっちゃり系をリクエストしたら関取級が来てさすがに勃たなかった、コールガールを家に呼んだらコワモテの男が出てきて揺すられそうになった……などなど、単なる笑い話から段々エスカレートし、最後には決して活字にできない犯罪すれすれの所行まで披露してくれた。若い頃のことだとは言うけれど、途中からどん引きしているこちらの顔色を気にしたのか、取り繕う様に彼が言った言葉がこれだ。

「まあ風俗も浮気も人生経験だからね」
――男がよく使う言い訳「人生経験」「自己責任」。

でも、そんな簡単な言葉で切り捨てられる程、世の中割り切れる簡単なことばかりではない。
無責任な「自己責任」と同様に、経験を生かしきれていない「人生経験」ほど恥ずかしいものはない。風俗や遊びで経験したものが実になっていればいいのだが、いい年をして相も変わらずチャラチャラと女遊びをくり返している彼から成長の跡は見て取れない。

山口百恵の『プレイバックPart2』ではないが、「坊や、一体何を教わって来たの?」である。

あの時間があったから今の自分がいる、と言うなら分かるのだが、経験を積んでそれ(現状)かい! と突っ込まれるくらいなら、使わない方がいいと思うのだ。「人生経験」なんて大層な台詞。
 
「若い頃遊んでないと結婚した後が大変」などと言われることが、彼ら「ビバ! 人生経験」族に勇気を与えてしまっているとしたらとんでもない勘違いだ。その先に成長があればこそ、「経験」も語れるというもの。階段を上らないうちに振り帰った所で見える景色は変わらないのに、なぜ遠くを見る様に「人生経験」などとうそぶく。下手な言い訳をするよりも「いくつになっても風俗大好き!」と言っている方がまだマシだと思うのだが。

その経験を糧に、いつかちゃんと本当の愛をつかめよ。なんて心の中でK君にエールを送りながらグラスをかたむけていると「お前もそろそろ良い相手見つけろよ」なんて心配されてしまい、「あら、そう言えば立ち位置変わらないわ」という悲しい事実に気付く丑三つ時であった。
(本木たま)

この記事を書いたライター

本木たま
放浪癖のあるフリーライター、コラムニスト。恋愛に関する記事を執筆中。最近ハマっているのは神楽坂の小路散策。

関連記事