ジャッキー・チェン(63)の非嫡出子である17歳の娘エッタ・ンが、インスタグラムでレズビアンであることをカミングアウトした。毒母に育てられた彼女が、自殺未遂で2カ月間も入院した後、無数のリストカット痕をつけて歩く姿をパパラッチされてから数カ月がたつ。今は年上のSNSアイドルと超ラブラブとのことらしく、ネットユーザーたちは「やっと真の幸せを見つけたのでは」「若すぎて今後が不安」など、複雑な反応を見せている。
エッタがインスタグラムで突然レズビアンだとカミングアウトしたのは、先週末のことだった。
エッタが「盗まれたミルクティー」を意味する「stolenmilktea」というアカウント名でインスタグラムに投稿を開始したのは、10月5日のこと。最初の投稿は、2005年に拳銃自殺した伝説のフリージャーナリスト、ハンター・S・トンプソンの「クレイジーでいるのなら、それなりの対価を払わなければならない。さもないと捕まっちまう」という名言とともに、プラチナブロンドに染めた坊主頭を抱えて前かがみになっている写真だった。次に「過去写真。髪の毛があった頃の自分」という言葉と共に、ピンクのベリーショートヘアの横向き写真を投稿。目元には、抗不安薬として有名なザナックスの錠剤がコラージュされており、メンタルに問題を抱えていることを暗示しているように見える。
次にエッタは同性愛者を象徴するレインボーカラーをバックにした逆光写真に、レインボーの絵文字と、「lgbtqai(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア、Aセクシュアル、半陰陽)」「lgbt」「lesbian(レズビアン)」「androgynous(両性具有)」のハッシュタグをつけた写真を投稿、レズビアンであることをカミングアウトした。
#lgbtqai #lgbt #lesbian #androgynous
@stolenmilkteaがシェアした投稿 - 2017 10月 5 12:43午前 PDT
そしてさらに翌日には、膝の破れたジーンズに黒のトップと黒のジャケットにサングラス姿という全身真っ黒な写真とともに、「これほどまでにたくさんのサポートと愛を注いでもらえていることに、畏怖の念を感じてしまう。自分のガールフレンドのアカウントと、このアカウントに、たくさんのポジティブな言葉を残してくれたフォロワーたちに、ホント、言葉が出てこないです」と、感謝の気持ちをコメントした。
エッタは続けて、「香港のメディアは彼女と自分のことをバカにして、おもしろおかしく書き立てているというのに、世界中の人たちからたくさんの応援をもらえるというこの事実。自分はネガティブで了見の狭い世界に育ってきたけど、己の経験を、そして真実を語ることで、自分と同じ境遇の人たちを救う時が来たと感じてる」「無気力で、生きてる意味などあるのかと不安定だった頃の自分から、だいぶ成長した。たくさんの愛をくれて、そして自分たちを受け入れてくれてありがとう」と、恋人のアカウントにタグ付け、香港メディアや社会に反発しつつ今後、活動家として活躍していく構えを見せた。
エッタの“彼女”は、「リアルドール」と呼ばれSNSで人気を集めているアンディ・オウタムという女性。セーラームーンが大好きで、腕にピンクを基調としたセーラームーンのタトゥーを彫っており、年齢は29歳だといわれている。
アンディも同じ頃、自身のインスタグラムにエッタとの写真を2枚投稿。1枚目には「彼女のような人が、この世の中にいるなんて。自分が何を考えているのか表現していいんだよって、彼女はそんなチャンスを与えてくれた」「批判しないで、理解だけしてください。みんなに反対され、私たちは何度も押しつぶされそうになったけど、一緒に手を取り、乗り越えられるんだって知っているから。今年たくさんの困難に襲われたけど、やっと正しい方向に進むことができるね」「家族、友達、香港社会から、たくさんの差別を受けている。国際的な都市に住んでいるのに、たくさんの人たちが心を閉ざしている。でも、そんなことどうでもいいの。だって、毎朝起きたら、横にはあなたがいるんだもの。愛しているわ」と、2人がかなり前から交際していることを示唆する文を添えている。
andiautumnさん(@andiautumn)がシェアした投稿 - 2017 10月 6 10:44午前 PDT
翌日に投稿した2枚目の写真は、顔出ししたエッタとのツーショットで、サポーターたちに感謝の言葉を贈った。坊主頭にしたエッタは、ジャッキーに似ていることもあり、とても男らしく、また17歳には見えないほど大人っぽい。実際、エッタは、17歳の少女には似つかわしくないほど苦労の多い人生を送ってきている。
女性に優しく無類の美女好きだとされる父ジャッキーには恋愛のうわさがとても多く、その中で最もタブロイドに書き立てられたのは美貌を誇る香港の女優エレイン・ン(45)との不倫愛だった。元ミス・アジアのエレインは、ジャッキーと逢瀬を重ねるうちに子どもを身ごもり、出産することを決意。このとき生まれた子どもが、エッタだった。
ジャッキーは出産予定日の9日前に会見を開き、「世の中の男性なら誰もが犯すような過ちを犯してしまった」とだけコメントした。妊娠させたことは潔く認めたものの、「過ちだなんて、生まれてくる子がかわいそう」「女をバカにしている」と非難が殺到した。
エレインは1999年1月18日にエッタを出産。上海でシングルマザーとして子どもを育て始め、しばらく表舞台から消えた。
生まれてきた娘のことについてジャッキーは多くを語っていないが、04年に受けたインタビューで、「自分は娘にとってよき父親ではない、失望させていることは確かだ。しかし母親があんな女だから、娘をどう扱っていいのかわからないというのが本音だ」と発言。エレインが計画的に妊娠したのだということを遠回しに示唆して話題になった。
2011年になると、エレインは突然エッタを連れて香港に戻り、女優業に復帰する。その際にも「娘がジャッキーと会いたいなんて言ったことはない」と断言し、一切関わり合いがないことをアピールしていた。14年にエッタが事故に遭って7針縫うケガを負った際も、エレインは「ジャッキーは娘のことを心配して病院に見舞いに来るわけでもなく、医療費を払うわけでもない。金銭的援助は一切受けていない」と発言し、あらためてジャッキーは何もしない無責任な男だと暴露した。
しかし、15年にエレインが娘への虐待容疑で逮捕され、世間は騒然とする。エッタが通う学校の職員に「母が酒浸りで心配」と相談し、「母と言い合いになり、肩を叩かれたことがある」とも明かしたことから学校が警察に通報、エレインが逮捕される事態になった。
すぐに釈放されたエレインは、自宅でエッタの目の前で逮捕されたこと、エッタが「ママは私のことをぶってなんかいない!」と警察官に訴えていたと言い、「自分は娘に暴行など加えていない」と主張。そして、これまで根強く流れていた「エレインはジャッキーから手切れ金として3000万香港ドル(約4億円)、養育費として毎月1万香港ドル(約14万円)を受け取っている。条件は、ジャッキーの妻を刺激しないよう、上海に住み続けること。しかしエレインは香港に戻ってきてしまった。怒ったジャッキーは養育費の支払いを停止し、エレインは金に困るようになった」といううわさについて、「手切れ金も養育費も、受け取っていない」と強く否定した。
だが「警察はエレインの自宅からマリファナを発見した」とも報道されたため、「エレインは相当な毒母」「アル中、ヤク中の、ひどい母親」だとゴシップされるようになっていく。
エッタ自身は、この騒動の直後、英大手タブロイド紙「Express」のインタビューに応じている。当時15歳だったエッタは、ジャッキーのことを「父なんかじゃない。なんの感情も沸かない。生物学的な父ではあるけど、私の人生には存在しない人」「ジャッキー・チェンは俳優でしょ? って感じ」と発言していた。
この記事では、エッタがスイスの学校で教育を受けてきたことも明かされ、ジャッキーの愛人の子だといろいろ言われてきたと激白している。「私の名前はエッタ・ンよ。誰になんと呼ばれようが気にしないわ。もう傷つかない」と述べたと報じた。さらに同紙は、エッタの言葉を裏付けるように「ジャッキーは、この娘について話すのを拒否することが多い」と書き、2カ月前に取材した際には「話さないほうがいいこともある。自然にまかせればいい」という彼の発言を紹介した。
そして今年3月、エレインが再度「娘への虐待容疑」で逮捕され、世間の注目は再びこの母娘に集まった。今回はエッタ自身が警察に「母から虐待を受けている」と通報したと報じられ、地元タブロイドは大盛り上がりした。エッタはこの騒ぎから逃れるように、香港を脱出。SNSに「ちょっとの間香港を離れようと思う。明日、たつ」「心配している人へ。私はまだ生きています」と意味深な投稿をしていた。
釈放されたエレインは弁護士と会見を開き、「15年に逮捕されて以来、仕事がもらえず無職状態にある。でも毎月1万7,000香港ドル(約24万円)に上るエッタの学費と生活費は捻出しなければならない。ジャッキーに『少しでも娘のために援助してほしい』と頼んだが、『お前たちには、びた一文渡さない』と突き放された。エッタが生まれてから今日に至るまで、ジャッキーから1ドルももらっていない」と主張。精神的に追いつめられていると語り、「私には家族と呼べる人がいない。娘しかいないの」と号泣し「早く家に戻ってきてほしい」と呼びかけた。
さめざめと泣くエレインの姿の一方、ジャッキーに似て丈夫で健康そうなエッタの姿を見た世間はエレインに同情したが、3カ月後、同情は一気にエッタのほうに集まった。左手に無数のリストカット痕をつけた痛々しい姿がパパラッチされたからだ。
香港メディアは、「母親の逮捕後、エッタはタイで休暇を過ごしていたが、香港に戻ってすぐに自殺未遂を図り、病院に救急搬送された」と報道した。医師とソーシャルワーカーの監視のもと2カ月間入院し、数日前にやっと退院できたという。退院したエッタは、再びエレインと暮らし始めた。エレインも母娘関係に問題があることを認めて、ソーシャルワーカーの定期的なチェックを受け、もし関係がこじれるようなことがあったら、早めに離れて、互いに気持ちを落ち着かせるように努めることを約束したとも報じられた。
エッタは15年にエレインが最初に逮捕された時も、学校で「自殺したい」と語っていたと報じられている。当時エレインは「思春期にありがちな一過性のもの」だと説明していたが、事態はかなり深刻だったようだ。そのため、彼女の母親としての対応のまずさを批判する声も上がった。
なおエレインはラジオ番組で、エッタがリストカットしたのは家族間の問題が原因ではなく、クラスメートとの問題が原因だと主張している。「娘に、『もうこんなことしないで』と懇願したら、『しないように頑張る』と言ったわ」「学校とも話をして、生活を把握するよう努力しています」と娘への愛を語った。
こうしたエレインの態度もあって、ジャッキーから「過ち」だと言われ、「ビタ一文払わない」とないがしろにされているエッタがかわいそうだと、世間は激しく同情した。父親としてまったく育児に関わろうとしないジャッキーの無責任さに、落胆する声も上がった。その一方で、「妻と息子との暮らしを守りたいのは当然だろう」とジャッキーを擁護する声も出ていた。
しかし、ジャッキーは、妻で台湾人女優のジョアン・リンについても「妊娠は事故だった」という発言をしている。これは15年にジャッキーがインタビューで明かしたもので、「彼女と結婚するなんて思ってもいなかったけど、妊娠しちゃったから。結婚しなければいけないと、強要されたような気持ちになって」と語っているのだ。
ひどくがっかりさせられる発言だが、それでもジャッキーはジョアンが産んだ現在34歳の長男、ジェイシー・チャンのことはかわいがっている。俳優としてはパッとせず、14年に北京の自宅マンションから大麻が発見され逮捕された時にも息子をサポートした。その後も、ステータスのある仕事に就けるようにと何かと手を回しているのだ。
不倫の末に生まれた子といっても、「子どもに罪はないのだから、娘ともきちんと向き合うべきだ」とジャッキーに非難が集まる中で、今回、エッタがレズビアンだとカミングアウトしたのである。
エッタがいつからアンディと交際を始めたのかは不明だが、ここ1年程度の付き合いであると見るのが妥当だろう。
インスタグラムで見る限りは、相思相愛のかっこいいカップルに見える。とはいえ、エッタの不安定な精神状態や、まだ未成年であること、学生であること、年の差などを考え、「共依存のようになってしまうのでは」と懸念する人もいる。
ちなみにジャッキーは、13年に「中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟」のCMに出演している。「自由のために、平等のために闘う人を応援する。僕自身も、たくさん闘っているファイターだからね」と言い、笑顔でクローットから出てきて「平等のために闘う人たちの友人として、クローゼットから出てきたよ(=カミング・アウト・オブ・ザ・クローゼットの意味)」と、LGBTQへの支援を語っていた。それゆえ「エッタがレズビアンだとカミングアウトしたことは、応援するだろう」とジャッキーファンは見ているようだが、ネット上では「偽善者だから、あれはCMの演出にすぎない」「娘のことなんて、どうでもいいんだろう」という声が多い。
長年ジャッキーにとって、「愛人が計画妊娠して勝手に産んだ子」だったエッタの存在は触れたくないポイントだった。エッタ自身が今後どんな発言をしていくのか? また、ジャッキーは、それにどう反応するのか? アンディとの恋愛やエレインとの複雑な母娘関係はどうなっていくのか? 当分、目が離せそうにない。