「仕事をするうえで学歴は関係ない」という意見がある一方で、「それでもやっぱり学歴があるに越したことはない」という考え方もあります。自身が東大卒であることでも有名な林先生は、学歴についてどう考えているのでしょうか。

勉強が苦手なら、大学に行かなくてもいい

 結論から言うと、学歴は関係ないですね。テレビ局のスタッフなど、いろいろな方とこの話はしてきましたが、実社会においては、学歴の高い低いに関わらず、仕事ができる人はできるし、できない人はできない。『学力の経済学』の著者、中室牧子さんも「官僚以外に差は出ない」とおっしゃっています。

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写真/花井智子

 こんな話があります。僕の教え子2人の例なんですが、彼らはたまたまある商社の同じ職場にいて、その上司も偶然、僕の知り合いでした。1人は現役で東大に受かり、もう1人は東大に2、3点足りずに落ちて早大に行ったんですが、知り合いである上司に「どっちが仕事できる?」と聞いたところ、間髪入れずに「早稲田」という答えが返ってきました。


 その東大出の教え子には、早くも「勉強はできたかもしれないが、使えない東大出」というレッテルをすでに張られているような印象を受けました。この先の人生は長いんですから、何とか巻き返してほしいんですがねえ。

 たとえば、東大と早稲田大学を比較すると、東大のトップの学生と早大の学生の間には、学力という点では相当な差がある。ただ、東大の下のほうの学生と、早大の上位の生徒には、さほどの差はありません。(だから、僕は浪人反対論なんですよ。若い貴重な一年を、ただ受験勉強のために費やしても、将来的に得られるものは大きいとは思えません。

一生懸命頑張ったという事実にこそ、意味があるんですから。)

 結局、受験勉強のやり方の差も大きいんだと思います。言われたことを素直に聞いて、点の取り方だけ覚えてよい大学に入っても、自分の頭で考える力が低ければ、社会に出て苦労する。自分でいろいろ工夫しながら、その結果大した大学に行けなくても、その際の工夫が社会に出て生きるんです。
 このコラムにも何度も登場する、僕の(極悪)マネージャーは法政大学卒なんですが、実に仕事ができます。そんな彼の口癖は、「妙なプライドがないから、社会に出たらうちの大学とかのほうがいいんですよ」と。

一理ありますよね。

 そもそも勉強が苦手なら、嫌いなら、大学に行かなくてもいいと、思っています。絵が上手いとか、料理が上手いとか、他人より秀でている部分で勝負できる土俵を探すほうが大切ではありませんか。
 

明日の第二十回の質問は「Q20.東大のレベルが下がっているって本当ですか?」です。
※この記事は2月15日(水)までの限定公開です