芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!

 日本のショービジネスの一翼を担った、東京・六本木一等地の“いわくつき”ビル「TSK CCCターミナルビル」が、住友不動産に16億円という格安の値段で売却されたのは3年前。この時、地上げを担当した新橋の不動産会社「双海通商」が、関西の暴力団を使って犯罪まがいの行為をしていたこと示す資料が今になって流出し、警視庁が慌てているという情報を入手した。



「情けない話ですが、地上げによる犯罪で逮捕者が出なかったのは、双海通商が“田門のフロント企業”と呼ばれるほど、警視庁の幹部連中と親しかったからですよ」(警視庁捜査関係者)

 TSKビルは、広域暴力団「東声会」(現・東亜会)の初代会長の故・町井久之氏が実業家の夢を託して築き上げたビルで、そのほかに町井氏は「東亜相互企業」という会社を所有し、大型クラブを何店舗も経営していた。TSKビルのオープン当初は、セレブが集まるクラブやレストランが入っていたが、その後、“ムード歌謡の女王”と呼ばれた故・松尾和子さんやデヴィ夫人がママを務めたクラブが、外国からアーティストを招へいして、ショーを開いていた。その後、バブル崩壊でビルに入居する店は次々にクローズ。幽霊ビルといわれた。

 また、TSKビルはオープン当初から芸能人が集まることから、“芸能人御用達ビル”ともいわれたが、2002年にオーナーの町井氏が亡くなってから売却話が持ち上がり、六本木の一等地のビルに日本全国から暴力団や詐欺師・事件屋や地上げ屋が群がった。朝鮮総連本部ビル売却問題で逮捕された、公安庁調査庁の緒方重威元長官まで暗躍したといわれる。


 そんな日本のワルたちが群がったTSKビルだが、今回流出した資料によると、双海通商は関西の暴力団を利用して、競売に参加した人間の頭を灰皿でカチ割ったり、牛の死骸の頭を競合会社の自宅前に置いて嫌がらせするなど、犯罪と呼べるような悪質な手口を繰り返してきたというのだ。ところが、これらの行為は一度も事件化していない。しかし、筆者は、親しいマル暴捜査関係者から「双海通商の関係者を逮捕するべく動いたんですが、いつの間にかうやむやになっていました」という情報を得ていた。なぜ、事件化しなかったのか?

 当時から、双海通商のA社長と警視庁幹部との癒着がウワサされていた。双海通商の幹部は、毎日、警視庁の幹部と麻雀することが仕事といわれていたほど。

 ちなみに、このA社長は、人気子役タレントの鈴木福小林星蘭らが所属する「総合芸能学院テアトルアカデミー」も運営している。
子どもたちに夢を売るビジネスの裏では、ヤクザと警察を狡猾に利用しながら地上げを行う大人たちの姿がちらついているのである。

 この地上げの実態の資料を入手した民族派団体「大日本新政會」はすでに双海通商に対して街宣車で抗議行動を起こし、その模様をホームページ(http://www.dainipponshinseikai.co.jp/)で紹介しているが、メディアが本来問題にすべきは、こうした企業をはびこらせる、腐りきった警視庁の体質だろう。
(文=本多