1日発売の東京スポーツが、フジテレビの人気音楽番組『新堂本兄弟』『僕らの音楽』の打ち切りが決定したと報じ、大きな話題となっている。この動きについては同局の音楽番組を一手に担ってきた名物プロデューサーへの“粛清”と見る向きもあり、フジに激震が走ることになりそうだ。
両番組は長年視聴者に親しまれており、打ち切りを招くほどの低視聴率や大きなトラブルがあったわけでもない。それがダブルで終了するというのだから、穏やかな話ではなさそうだ。
二つの番組に共通するのは、フジの名物プロデューサーだった「きくちP」こと、きくち伸氏が主宰する番組制作集団「音組」が手掛ける番組ということ。東スポでは“名物プロデューサー”として名前が伏せられたが、彼の存在が終了の大きな要因になったという。
昨年3月、きくち氏は「口パク禁止令」を発動し、番組に出演する歌手に対して生歌を強制する方針を示した。ネット上では「さすが!」といった声も聞かれたが、レコード会社や大手芸能プロなどが猛反発。
さらに、きくち氏が担当した音楽番組で人気アーティストの扱いをめぐって同氏と事務所が衝突。制作側から「あんたらの事務所は出入り禁止にするぞ!」といった言葉が飛び出し、これに事務所側は売り言葉に買い言葉で「フジからの全面撤退」をチラつかせたという。最終的にフジの亀山千広社長が事務所サイドに謝罪する事態になったといい、これが“粛清”の発端となった。
亀山社長は6月下旬に大規模な人事異動を実施したが、そのタイミングで粛清が断行されたというのだ。
「フジの全社員の3分の2にあたる約1000人が人事異動になるという“大ナタ”でした。
名物プロデューサーということで権限が大きく、巨額の制作費で豪華な番組づくりをしていたが、それも予算削減を進めたい上層部にとっては悩みのタネになっていた。それも粛清の要因になったようだ。
これだけなら、きくち氏は音楽番組づくりに対する真摯な姿勢が原因で上層部ににらまれ、現場を追われてしまった“悲劇のヒーロー”のように思える。だが、同紙はきくち氏の“悪いウワサ”についても言及。記事では名前が伏せられているものの、人気アイドルグループのリーダーに「俺と付き合うか、二度と番組に出ないか、選べ!」と迫ったり、3人組バンドのボーカルに告白してフラれ、その腹いせにしばらくバンドを出禁にするなどといった目に余る“公私混同”があったという。
かねてから言動が問題視され、そこに芸能事務所やレコード会社との衝突という決定的な出来事があり、それが番組の終了決定につながってしまったということなのだろうか。
いずれにせよ、視聴者を無視してお家事情で番組を潰すようなことをすれば、余計に世間の“フジ離れ”は進行してしまいそうだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)