森重樹一 ジャパメタ界隈でも異端児、テレビの世界でも異端児、居場所がなかった/インタビュー後編2

■森重樹一(ZIGGY)/『ZIGGY SINGLE COLLECTION』インタビュー後編(2/2)

――インタビュー後編1より

ニューアルバムのタイトルは『2017』
2017年にZIGGYがあるという厳然たる事実以上のリアリティは、今ない


――そこで重要なのは、ZIGGYが当時、ZIGGYのままお茶の間に進出していったということだと思うんです。急に髪を切ったり、洗練された服装で小奇麗にイメージチェンジを図ったりしながら出ていくのではなく。

森重:たしかに。そういうところでの対応が上手かったなら、もうちょっと違う人生だったろうとも思うんですけどね(笑)。ただ、どうやったらみんなに気に入ってもらえるかなんて当時も今もまったくわからないから、そういうことが“たられば”の話にもなり得ないというか、想像もできないわけですよ。それとやっぱり、時代的にバンドブームの最中ではなく、その到来前だったというのが肝だったと思う。
森重樹一 ジャパメタ界隈でも異端児、テレビの世界でも異端児、居場所がなかった/インタビュー後編2

――というか、ZIGGYやBUCK-TICKの成功が、バンドブームへの導入部のようになったともいえるわけです。

森重:そうなんでしょうね、きっと。ZIGGYの場合、BUCK-TICKとは出自が違っていて、むしろデビュー当時にはPRESENCEとかDEAD ENDと同じカテゴリーにあると認識されていたわけですよ。ジャパニーズメタルの流れにあるものというかね。そういう枠内にいたZIGGYのシングルが売れて、ジャパメタ界隈から見ればすごく異端児という感じになっていったものの、逆にいざテレビに出てみれば、そっちの世界でも異端児。ホントに自分たちにとっての居場所がなかったというか。ちやほやされているようで実は誰にも望まれてないんじゃねえか、と疑心暗鬼にもなるわけですよ(笑)。

――どこのカテゴリーにいても異端児だけども、音楽的にはものすごく王道。それがZIGGYなのかもしれません。

森重:そう見てもらえるなら嬉しいですね。少なくとも音楽については、何ひとつ奇をてらったことをしていたわけではないし。ジャパメタとかインディーズ、バッドボーイズロックといったキーワードが有効だった時代、自分たちもそうしたカテゴリーにいたはずなのに、どれからもすぐに外れちゃって、かといって芸能人になったわけでもなく……。だから不思議なバンドキャリアを辿ってきたなあと思わされますよ、今でも。
森重樹一 ジャパメタ界隈でも異端児、テレビの世界でも異端児、居場所がなかった/インタビュー後編2

――ただ、その当時に違う道を選び、3ヵ月に一度ヒットシングルを出すことが仕事上の責務のようになってしまっていたなら、森重さんは2017年をこういう形では迎えていなかっただろうと思うんです。

森重:間違いないですね。それが当時の自分のモチベーションになっていたなら、俺はこうしてふたたびZIGGYをやってはいなかったと思う。どうして10年もやっていなかったZIGGYをやるのか。自分以外に当時のメンバーが不在の状態でありながら、なぜZIGGYを名乗るのか。ぶっちゃけ、ビジネス的に考えたらまったく有効じゃないわけですよ。だけど実際この形になったのは、結局、これまでの自分の歴史のなかで繰り返してきた“ここでは、こっちに進みたい”という選択を今回もしたからなんです。もちろん俺自身、いつもバンドとして正しい選択ができていたとは言わないですよ。今回にしたって、デビュー当時の4人で集まって活動したほうが世の中的にはわかりやすいだろうし、きっと成功を求めやすいんだろうとも思う。だけどそれを今の自分がやるというのは、かつての自分が3ヵ月おきにシングルを出さなきゃいけない状況になること以上に苦痛なんです、申し訳ないけど。
森重樹一 ジャパメタ界隈でも異端児、テレビの世界でも異端児、居場所がなかった/インタビュー後編2

――このあたりの話は、また別の機会にしっかりと掘り下げてみたいところです。今の発言にもあったように、現在は森重さん自身がZIGGYを名乗っている状態。この春には『CELEBRATION DAY』という新体制での初シングルが出てツアーも行なわれ、この10月にはアルバム発売が、11月には次なるツアーの開幕が控えています。

森重:はい。アルバムのレコーディングは、すでに終わりました。タイトルは『2017(ニーマルイチナナ)』に決まっていて。

――そうしたシンプルな表題が示すように、まさに“今”が体現されているということですね?

森重:ええ。それ以上に何かを象徴するようなコンセプトというのは、まるでなくて。2017年にZIGGYがあるという厳然たる事実以上のリアリティは、今ないだろうと強く思うわけです。そこで意味深長な一語を掲げようとしてみても、あまりにも紆余曲折を通り過ぎてきたこのバンドに似つかわしい言葉というのが見つからなくて。だから次に出すアルバムのタイトルには年号を掲げるしかないと前々から思っていたし、2017年のうちに絶対出したいと思っていたんで。だから、なんの先入観もなく、これが2017年のZIGGYなんだと思って聴いてもらいたいですね。
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――デビューから30年。2017年は、1987年と同じくらい大切な年になりそうですね。

森重:そうですね。バンドブームの前夜、日本経済のバブルが膨らみ切ってない頃のデビューだったし、当時は打ち上げ花火のあだ花でもいいかなと思っていたんだけども(笑)。でもやっぱり、自分は結局シンプルにみんなでシンガロングできるようなロックを作りたかったんだろうな、ということが今になってよくわかるんです。時流のなかでそこにいろいろな要素を加えてきたりもしたけど、今はそこに何かを盛り込まなくてもいいんじゃないかと思うし。シンプルなロックンロールバンドが、いちばんカッコいい――それを今やれたらいいなと思うし、自分のなかではそれをかなりいい感じでやれているんじゃないかという自負もあるんです。控えめに言ってもね(笑)。

――インタビュー前編へ
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≪リリース情報≫
『ZIGGY SINGLE COLLECTION』
2017.08.09リリース
TKCA-74544 / ¥3,500(税抜)


≪ツアー情報≫
【ZIGGY TOUR 2017】
森重樹一(Vo)
<サポートメンバー>
カトウタロウ(Gt)、Toshi(Ba)、CHARGEEEEEE…(Dr)、佐藤達哉(Key)
2017年11月2日(木)新横浜 NEW SIDE BEACH!!
2017年11月3日(金)神戸 VARIT.
2017年11月5日(日)広島 セカンドクラッチ
2017年11月9日(木)HEAVEN’S ROCK 宇都宮
2017年11月10日(金)仙台 HOOK
2017年11月19日(日)東京 TSUTAYA O-EAST
2017年11月22日(水)新横浜 NEW SIDE BEACH!!
2017年11月23日(木・祝)静岡 Sunash
2017年11月25日(土)岐阜 Club roots
2017年11月26日(日)金沢 GOLD CREEK
2017年11月30日(木)札幌 cube garden
2017年12月1日(金)旭川 CASINO DRIVE
2017年12月3日(日)函館 Club Cocoa
2017年12月7日(木)梅田 CLUB QUATTRO
2017年12月8日(金)名古屋 CLUB QUATTRO
2017年12月10日(日)博多 DRUM Be-1
2017年12月16日(土)沖縄 Output
2017年12月17日(日)沖縄 Output ※FC限定ライブ

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