普段、あまり目にすることのない数字やデータに光を当てて多角的に分析、ビジネスパーソンにとっておきの「お役立ち情報」をご紹介する『ダイヤモンドDATAラボ』。2回目の今回は、東証1部上場企業を対象に、独自に試算した「40歳推定年収ランキング」を大公開します。

(週刊ダイヤモンド編集部 小島健志)

トップは年収2276万円の
M&Aアドバイザリー会社GCA

 厚生労働省が発表した2016年度の実質賃金(毎月勤労統計調査)は前年度に比べて0.4%増えたそうです。前年度比プラスは実に6年ぶりのことです。

 そこで今回は、東証1部上場企業を対象に年収ランキングをお届けします。いずれも40歳時点の推計年収の比較となります。

 堂々の第1位は、M&A助言を専門とするGCAの2276.2万円でした。経営再建中であるスカイマークの取締役会長も務める佐山展生氏らが創設、世界10か国に14拠点を置くグローバルM&Aアドバイザリーファームです。

 M&Aを手掛ける企業では、6位に日本M&Aセンター(1376.2万円)もランクインしています。こちらは事業承継に絡んだM&Aを得意としている企業ですが、ここ数年M&A案件が過去最高水準で推移するなど、市場が活況を呈していることもあって、給与水準も高くなっているようです。

 ランキング2位には産業用ロボット大手のファナックがランクインしました。1497.9万円と、電気・精密業界の平均年収654万円と比べてかなり高い水準となっています。リーマンショック前の2008年と比較しても56.9%増と大幅に躍進しており、東証1部上場企業の中でも3位の増加率を誇っています。業績の好調さに連動し、多額のボーナスが支給されていることに要因があるようです。

 さらに3位の野村ホールディングス(1442.7万円)、4位の朝日放送(1404.9万円)、5位の三菱商事(1382.9万円)と続きます。大手証券会社や放送局、大手商社などは毎年上位にランクインするおなじみの顔ぶれです。

 さて、今回掲載したランキングの算出方法を述べておきます。

 まず今回のデータは、「有価証券報告書」で公開されている提出会社の平均年間給与(年収)を基にしています。期間は2016年1月期から12月期です。ただし、この公開データは各社の平均年齢がばらばらのため、本来横並びで比較することができません。

 そこで、厚生労働省「賃金構造基本統計調査2016年」を基に、8業種(建設、製造、情報・通信、運輸、商業、金融・保険業、サービス、その他)の賃金カーブを多項式モデルによって作成。それを各社のデータに当てはめて、40歳時点の推計年収を求めました。

 ただ、このデータのやっかいなのが、持ち株会社と事業会社が混じっていることです。持ち株会社(ホールディングス会社)として公開している企業の中には、経営企画や人事系など少数の幹部社員のみしか在籍していない場合があります。すると、その企業の実態よりも年収が高く出てしまう傾向があります。そのため、提出会社が100人未満の会社など、一部の会社はランキングで除外しています。

 一方で、公開年収が低い企業の中には、一般社員よりも年収の低い契約社員を含めている場合があります。他にも、定年退職者の雇用を積極的に進めているビル管理業系の企業や、地方に本社を構える企業も年収が低くなる場合があります。

 こうした事情を踏まえて、以降のランキングをご覧ください。参考までに決算期時点の対象従業員数も示しました。

 なお、給料の実態について知りたい方は、今回のデータ元となった週刊ダイヤモンド2017年4月18日号の「知らないと損する 給料の秘密」もご覧ください。「もらい過ぎ企業ランキング」など、さまざまな視点で作成したランキングを掲載しています。