12月31日付けの解散ということで、SMAPが話題を独占していた感のある昨年末。数多くの著名人や芸能人たちが、その解散劇について語っていたが、本質を突くようなものはほとんどなかった。

なぜSMAPが解散せざるを得なかったのか、なぜマスコミは真実を伝えなかったのか、なぜジャニーズ・タブーは温存されたままなのか。誰もそういうことに触れようとはしなかった。

 だが、そんな中で、2人の女性作家から鋭すぎる発言が飛び出した。直木賞選考委員もつとめる大御所作家・林真理子氏と、ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ)の原作者で人気急上昇中の宮木あや子氏だ。

 林氏は、これまでジャニーズのタレントのコンサートに足しげく通い、SMAPメンバーや飯島三智元マネージャーと個人的親交もあることで知られている。一方の宮木氏も今井翼、そしてジャニーズJr.らの公演にも足を運ぶほどのコアなファン。


 そんな2人が、今回、「週刊文春」(文藝春秋)1月5・12日合併号で、「ジャニーズが青春だった」と題する対談を行い、ジャニーズ愛について熱く語っているのだが、SMAP解散の話題になってさらにヒートアップ。他では聞けないようなコメントを連発したのだった。

 まず、林氏は公開生謝罪のことを持ち出し、メリー喜多川副社長をこう批判する。

「あれも文春のメリーさん(メリー喜多川副社長)へのインタビューがきっかけだけど、その後"公開処刑"と言われた放送がありましたよね。「ジャニーさんに謝る機会を木村(拓哉)君が作ってくれて、僕らが今ここに立てています」っていう、言わされている感じのあまりに切ないシーンがあって。あれでファンはみんな怒ったわけですよ。
メリーさんひどいって」

 林は今年1月にSMAP騒動が勃発した直後の「文春」連載コラムでも、『SMAP×SMAP』(フジテレビ)での"公開生謝罪"を取り上げ、メリー氏を批判。さらには〈あの会見のキムタクのドヤ顔〉〈それにしてもキムタクのあれは演技じゃないと思いますよ〉などと、キムタクにまで皮肉を放っていた。林氏はこのときの怒りをこのスペシャル対談で、再び持ち出したのだ。

 だが、さらに踏み込んだのが宮木氏だった。宮木氏は解散騒動で、SMAPと嵐のファンの間で対立ができたと、ディープなファンならではの話をした後、いきなり「普段友達と話していることをここで吐き出させてもらってもいいですか?」と、こんなことを語り出した。

「あのインタビュー自体は悪いものではなかった。
でも文春なら、あそこを入り口にして、ジャニーズ事務所のいろんな瑕を炙り出せたんじゃないかと。だって、普通の企業に置き換えて考えたら、副社長が自社の目玉商品のダメな点を週刊誌にわざわざ言いませんよね?」
「もし株式公開していたら総会で糾弾されるでしょうし。どうしてそういうところに突っ込まなかったのか」
「芸能界がいくら特殊な場所だとしても、もし、文春があのあと継続してしつこく追及していたら、事務所内部での意識改革的なものがあったかもしれないし、中の人が目をつぶっていたことや見えていなかったことに気づいて、SMAPにも違う未来があったかもしれない。いままで文春は、世間の悪を暴いてきたのに、今回はただ聞いたこと、見たことを書いただけじゃないですか」 

 宮木氏のいう「あのインタビュー」とはもちろん、2015年1月に「文春」に掲載されたメリー氏のインタビューのこと。メリー氏はSMAPを「踊れない」と罵倒したうえ、飯島氏を呼びつけて、記者の面前で「飯島、私はこう言いますよ。SMAPを連れていっても今日から出て行ってもらう。
あなたは辞めなさい」とパワハラ。これがきっかけで飯島氏が追い詰められ、SMAPもまた独立に動かざるを得なくなった。

 宮木氏はこのメリー氏の言動に対して"株式公開していたら総会で糾弾されるような愚挙"であると、真っ当すぎる批判を口にし、さらに"「文春」がきちんとジャニーズの体質を追及していたら、SMAP解散はなかった"と、文春批判にまで踏み込んだのだ。

 文春批判については"八つ当たりじゃないか"と思う人もいるかもしれないが、これもある意味、本質を突いた指摘だ。たしかに「文春」のメリー氏インタビューは、「編集者が選ぶジャーナリズム大賞」を受賞するくらい中身の濃いものだったが、しかし、文春はそのパワハラや、事務所の体質を批判してはいない。それどころか、インタビュー以降、文春はジャニーズ事務所とパイプをもつようになり、SMAP騒動ではむしろ、メリー・ジュリー派よりのスタンスをとるようになった。


 SMAP独立の動きについても、「文春」はスクープした「週刊新潮」(新潮社)よりも先にキャッチし、年末から中居正広らメンバーや飯島氏を尾行していたが、これもメリー副社長周辺からの情報だったといわれている。

 さらに、騒動が表面化すると、「文春」は誌面にメリー氏の腹心であるジャニーズ事務所顧問の小杉理宇造氏を登場させ、"SMAPは15年前に壊れていた""飯島マネージャーがキムタクと静香の結婚に反対したがメリーが守って結婚させてくれた"など、その言い分を垂れ流した。

 宮木氏がいったように、もし「文春」があそこでメリー氏側になびかず、ジャニーズ事務所やメリー氏の体質を批判するキャンペーンを張っていたら、たしかに流れは変わっていたかもしれないのだ。しかし、それを「文春」誌上で口にするとは......。ジャニーズ愛恐るべし、という他はない。

 この後も、2人は飯島マネージャーの功績を讃えるなど、芸能マスコミとは全く違う角度からの鋭い分析を連発。
林氏からは「私は飯島さんとは親交があって、この間も会ったけど、すごくお元気でしたよ」という発言まで飛び出した。

 そういう意味ではかなり興味深い対談だったが、しかし、一方で引っかかるのは、こうした本質をつく発言がジャニーズ愛のある2人の作家の口からしか聞けなかったという事実だ。しかも、こんなに面白い発言がいまだ、テレビでもスポーツ紙でも一切取り上げられていない。

 ここまでの騒動を引き起こし、当のファンからも激しい事務所批判が起きているのに、テレビをはじめとする芸能マスコミはこれからもジャニーズ・タブーを温存していくのだろうか。
(林グンマ)